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コラム

諦めながら諦めない。子どもの好き嫌いの話。【和田明日香の地味ごはん日記vol.2】

諦めながら諦めない。子どもの好き嫌いの話。【和田明日香の地味ごはん日記vol.2】

こんにちは。
和田明日香です。

地味ごはん日記、2回目の今回は、子どもの好き嫌いの話を書こうと思います。
料理の仕事をしていて、ましてや「食育インストラクター」だなんて肩書き(厳密には資格名なのですが)を名乗っているくせに、我が子の好き嫌いには苦戦しまくっている、なんてコラムを書いていいのだろうか。
まあ仕方ないですよね。本当なんだし。

我が家の3人きょうだい、一番上の長女は、なんでもよく食べる!
家族の誰よりも長い時間食卓に座って、じっくりしっかり食べています。
出されたものは米粒ひとつ残さない。
しいて言うならナッツが苦手。
苦手だとしても、出されたからには食べて、文句も言いません。

2番目の長男。
彼はとにかく海の生き物が苦手。
魚はもちろん、貝も、タコも、エビも、ワカメも。声をかければ頑張って食べてみてくれますが、しれっと残すことも多々。
肉のおかずはごはんをおかわりしてよく食べます。
肉だけじゃなく、出汁のしみた油揚げやナスも好物。
その辺は夫とそっくりです。

末っ子の次女、これが強敵。
長男と反対でお肉が苦手で、豚汁は豚抜き、焼き鳥もネギだけ。
兄と違って、「なんでわたしの嫌いなものを出すの!」と、大威張りで残します。
ただ、海の生き物に対しては好奇心旺盛で、サザエの肝や、イカの塩辛、魚の目玉だって、躊躇なく食べる勇者。
突然きのこにハマったりと、なかなかつかめない人です。

そんなわけで、魚を出すと長男が嫌がり、肉を出すと次女が食べない。
困っちゃいます。

▲同じように育てているはずなのに、どうしてこうも違うのか……

晩ごはんは、基本、わたしが食べたいものを作るようにしているんです。
食べたい!と思えるものじゃなきゃ、おいしく作れない気がするし、食べたくもないのに料理はしなきゃいけない、って、苦痛だと思うから。
なので、わたしが「今日は肉だ!」と思えば、次女が食べないかもしれなくたって、肉料理を作るのです。

でもね。
一口も食べなかったら栄養がかたよってしまうので、保険に魚の切り身も買っておきます。
肉を小さくして取り分けたり、楽しく盛り上げて口まで運んであげたり、ちょっと圧をかけてみたり、いろいろしたけどやっぱり食べてくれなかったときに、諦めて魚を焼いて出すのです。
最初から魚も焼いて出してあげればいいじゃないとも思うのですが、苦手だったとしても、はなから食べないと決めつけたくはない。
もしかしたら今日は味付けがヒットして、お肉も食べられちゃうかもしれないと、いつも期待して、そして裏切られる。
その繰り返しです。
好き嫌いと闘っているのは、当の本人より、親のほうなんですよね。

そう、そうなんですよ。
本人は嫌いなものを嫌いと言っているだけ。
それも立派な主張と受け止めて、親もさっさと諦めたらいい。
こちらがどんなに工夫したって、彼らは知ったこっちゃないわけです。
気が向かなければ食べたくないし、食べろ食べろとジロジロ見られていたら、余計に食べたくもなくなる。
食べるタイミングは自分で決めたいのに、勝手に一喜一憂されても困るんですけど……ってところですよね?子どものみなさん。

そうだとしても、なんでも食べられるようになってほしくて、頑張ってしまうのです。
肉が食べられなくたって、魚が嫌いだって、死にはしない。
でも、なんでも食べてみて、ひとつでも多くの「おいしい」に出合って、食べることが好きになって、自分の体や、大切な人の体を気にかけてあげられる人になってほしい。
求めすぎだよなぁと自分に呆れますが、こればっかりはなかなか諦められないんです。

そんな中、最近次女にヒットした肉料理があります。
題して「きのこそぼろ(肉入り)」
これはあくまでも、きのこのそぼろ(なんじゃそりゃ)で、お肉は、きのこの味を引き立てるために入れてあるだけです。
そう次女にプレゼンして出したところ、嫌なそぶりをまったく見せず、ごはんに山盛りのせて食べてくれました。
わたしも夫もガッツポーズ!
お弁当担当の夫は「これでまた弁当に入れられるおかずが増えたぞ!」と、喜んでいました。

これだって、次に作った時は食べてくれないかもしれない。
でもまあ、わたしのごはんを食べてくれるうちは、苦手なものとも出合わせ続けてあげたいです。
諦めながら、諦めない。
そんな気持ちで、好き嫌いと付き合っていこうと思います。

きのこそぼろ(肉入り)

<材料>
鶏ひき肉…180g
お好みのきのこ…180〜200g
米油…小さじ2
醤油…大さじ1
みりん…大さじ1
白だし…大さじ1
塩…少々

※白だしがない場合は、水大さじ2と細かい鰹節1パック(約5g)を加えてください。
そうすると少し塩分が足りないはずなので、味見しながら塩や醤油を足してもらえばOKです。

<下ごしらえ>
・きのこは粗めに刻む。我が家では、椎茸、しめじ、舞茸のミックスで作ります。椎茸は軸も入れちゃう。

<作り方>
1.フライパンに油を熱し、鳥挽肉をほぐしながら炒める。
2.挽肉の色が変わったらきのこを加え、焼き色がつくぐらいしっかりと炒める。この、焼き色が、うま味と香りを引き出すポイント。
3.調味料を加えて味をなじませ、味見して薄かったら塩で調整。冷めてもしっとり美味しいです。

★この連載に関するご意見、ご感想のほか、和田さんへの質問などがあれば、こちらまでぜひお寄せください。
kurashinista.henshuubu@gmail.com

♦PROFILE♦
和田明日香(わだ・あすか)
料理家。食育インストラクター。東京都出身。3児の母。料理愛好家・平野レミの次男と結婚後、修業を重ね、食育インストラクターの資格を取得。各メディアでのオリジナルレシピ紹介、企業へのレシピ提供など、料理家としての活動のほか、各地での講演会、コラム執筆、CM、ドラマ出演など、幅広く活動する。2018 年、ベストマザー賞を受賞。著書に『10年かかって地味ごはん。』(主婦の友社)『子どもは相棒 悩まない子育て』(ぴあ)『和田明日香のほったらかしレシピ・献立編』(辰巳出版)など。

和田明日香の「地味ごはん日記」
結婚前はまったく料理ができなかったのに、今や料理研究家として大活躍する和田明日香さん。試行錯誤しながら家族のために料理を作り続け、ようやくたどり着いたのが茶色っぽくて一見地味な「名もなきおかずたち」でした。いま話題...
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