教授挨拶
消化器外科教授 若井 俊文
私こと、平成24年12月16日付をもちまして新潟大学大学院医歯学総合研究科 消化器外科学分野(旧第一外科講座)教授を拝命いたしました。これもひとえに多くの方々の格別なる御支援と御指導のお陰であると心から感謝しております。
私たちの教室(講座)は、初代富田忠太郎教授に始まり、第二代池田廉一郎教授、第三代中田瑞穂教授、第四代堺哲郎教授、第五代武藤輝一教授、第六代畠山勝義教授でありましたので、私は七代目となります。先達により築かれました外科学教室の伝統を受け継ぎ、消化器・乳腺・内分泌外科のさらなる発展に邁進し、臨床・研究・学生教育および後進の育成に専心努力する決意でいます。
医学部教育では、医師国家試験に対応した外科学テキスト(235ページ)を作成し、一貫性のある医学生のための医学教育を行っています。大学院教育においては、グローバル化に対応するために米国の大学・癌センター(ハーバード大学・ロズウェルパーク癌総合研究所)と連携した教育システムを構築し、海外留学を積極的に導入し、世界で活躍できる医療人の育成を行っています。
卒後教育では、外科専門医制度のプログラムとして、大学院(PhD)コース、外科全領域コース、領域発展コースの3コースがあり、各コースは自由に選択することが可能であり、若手外科医の希望に応じた柔軟な研修プログラムを組むことが可能です。将来を担う若手外科医の育成のために全力で支援いたします。
臨床の現場では、新しい医療の導入・開発を推進し、臨床に役立つ基礎研究を立案し遂行していきたいと考えています。目指すべき目標は、鏡視下手術・ロボット手術(da Vinci)、センチネルリンパ節生検など手術の低侵襲化です。平成30年度にはda Vinci Surgical Systemの保険収載が決定しましたので、若手外科医と共に新たな時代を創り上げていきたいと考えています。そして、Precision Medicine(精密医療/的確医療)を癌ゲノム医療として、臨床の現場に導入することを推進しています。
腫瘍外科学を専攻して以来、取り組んでいる研究テーマは「R0(遺残腫瘍の無い)手術の確立」です。基礎的研究により癌の進展様式・分布および“微小転移巣”の実態を解明し、腫瘍学的見地から根治性を向上させた術式を考案し、一貫して「術後の再発、癌遺残の根絶方法を開発して世界に発信する」という一念で研究を行っています。医学研究では、臨床における未解明な問題点を明らかにし、基礎研究とデータの積み重ねが重要です。研究志向を持ち、すべての研究は遠い将来であっても必ず臨床にフィードバックされるべきであると信じています。
私は、3つの“R”:residual遺残腫瘍ゼロ、recurrence術後再発ゼロ、regional medicine地域医療をスローガンとして掲げ、世界に打って出ることと、慣れ親しんだものを大切にすることは、両立するという強い信念を持って、新潟から世界へ向けて研究成果を発信し続ける人材の育成に尽力する決意でいます。
今後も医学研究を通じてエビデンスを創出し、世界へ向けて研究成果を発信し続ける人材の育成に貢献し、活気あふれる学問の場を提供し続けていきたい。そして、若手外科医の集まる魅力的な教室創りをし、若手を大切に育てていきたいと考えています。
関係各位におかれましては、これまで以上の御指導、御鞭撻を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。