家庭内での立ち位置を決めるうえで、よく取り上げられるテーマである。
これに関して僕の見解をいえば「NO!」である。
父親はお金を稼いできて、母親は家事・育児をするから家庭が回るわけだ。
夫婦で役割分担は異なるので、僕は「どちらが偉い?」なんて考えたことはなかった。
何よりも“偉い”という表現は抽象的で、人によって解釈が変わる。
「何をもって偉いとするか?」
それは曖昧なのだ。
だから「稼いでいる父のほうが偉いと思う?」なんて聞かれても答えは出せないが、
「稼いでいる父のほうが強かった!」というのは断言できる。
父は稼いでいたし、財布のヒモを握っていた。
この状況を偉いとは思わないが、間違いなく強かったのだ。
例えば、歯科に行くにも、塾に行くにも、父のお伺いを立てることになる。
「お父さん! どこどこの歯医者さんに行きたいんだけど~」という感じで。
父は決して自分勝手な人ではなく、何かをするときはみんなの要望を聞き、
希望を叶えてくれていたが……最終的な決定権は父にあった。
承諾をするばかりでなく、拒否も自由にできると。
そして この権限がとてつもなく強い。 “生殺与奪の権”とも言うべきかな。
省庁のなかで財務省のちからが一番強いと言われるが、これは予算を分配する権限があるからだ。
家庭内においても、稼いできて財布のヒモを握っている人は同様に強くなるのだ。
お金がなければ生活できない! そしてお金を持っているのは父であると。
言葉や態度で威圧するようなことは絶対にしなかったが、
それでも父の立ち位置が圧倒的に強いことは、家族の誰もが認識していた。