テーラー 人生の仕立て屋の作品情報・感想・評価

テーラー 人生の仕立て屋2020年製作の映画)

Raftis/Tailor

上映日:2021年09月03日

製作国:

上映時間:101分

ジャンル:

あらすじ

アテネで36年間、高級スーツの仕立て屋店を父と営んできた寡黙なニコス。だが不況で店は銀行に差し押さえられ、父は倒れてしまう。崖っぷちのニコスは店を飛び出し、移動式の屋台で仕立て屋を始める。だが道端で高級スーツは全く売れない…。そんな時、思いがけないオファーがくる。「ウェディングドレスは作れる?」これまで紳士服一筋だったニコス。思い切ってオーダーメイドのドレス作りをはじめるがー!?

「テーラー 人生の仕立て屋」に投稿された感想・評価

87

87の感想・評価

3.0
セリフが驚く程少なく表情やカメラ回しで察するような映画だったが俳優さん達の演技力の凄さに感激した。シーンと音楽が個性的で邦画とはまた違った魅力があった
ただ予告が少しポップに作りすぎて本作とのギャップが有り少し残念でした。
 主人公ニコスの表情がいい。基本は無表情で大抵のことには驚かないが、時折見せる笑顔がとても幸せそうだ。仕立屋だから当然の如くスタイリストであり、自分で仕立てたスーツに身を包んだ姿は一部の隙もない。上着を脱いでチョッキの肩に黄色いメジャーを掛ければ、職人然とした佇まいに信頼感が漂う。いいスーツを仕立ててくれそうだ。
 景気がいいときであれば、金持ちの男性たちがこぞってスーツを仕立てに来たのだろうが、ギリシア全土を覆う不景気の影は、高級スーツを真っ先に見捨てて、アテネの街は皆Tシャツだ。スーツを着るのは結婚式か葬式くらいである。ニコスの出番はない。
 そう言えば東京の勤め人も、スーツ姿がだいぶ減ってきている印象だ。コロナ禍の人出の様子として毎日ニュースで映される渋谷駅前の交差点には、スーツ姿はちらほらである。新橋ならもう少しスーツがいるだろうが、戦後の高度成長期みたいに100%近いスーツの群れは、もはや東京では見かけることがない。東京で見かけないということは、日本のどこでも見かけないということだろう。
 ニコスの仕立てるスーツは800ユーロと言っていたから、大体10万円程度である。仕立てのスーツが10万円なら、東京ではとてもリーズナブルだ。銀座で仕立てたら50万円ほどである。安くても30万円だ。アテネの物価が安いといっても東京の半分までは安くない。ギリシアの不景気の程度がわかるというものである。

 なんとか仕立屋の仕事で客を増やそうと奮闘するニコスだが、どうにもその仏頂面が気になる。世界で一番セックスの回数が多いのがギリシア人だそうだから、隣人の色っぽい人妻オルガを見る目に、少しはエロさがあってもよさそうなものだが、清廉潔白のニコスは、若い女性のTバックにさえ目を背ける。
 心が通わないところに愛はない。50歳まで独身を貫いているニコスには、そんな思春期のようなプラトニックな雰囲気がある。身の上話をした日のオルガとの交わりは、ニコスにとって久しぶりに訪れた至福のときだったに違いない。よかったね。

 差押えを食らって店はもう使えないが、銀行を恨むのは筋違いだ。景気が悪くなれば銀行も背に腹は代えられないのだろう。こうなれば行商一本でいくしかない。50歳での旅立ち。別れは寂しいが、きっと出逢いもある。人にも出逢うだろうが、新しい生地にも出逢うだろう。仕立ての腕一本で生きてきた。どんな生地でも仕立てられる。これからも腕一本で生きていくのだ。明日は明日の風が吹く。とても清々しい作品だった。
maruco

marucoの感想・評価

4.0
テーラー 人生の仕立て屋観ました。
こんなん観たんやで(笑)
実は同日、テーラー鑑賞前に、
第一本命となるべく皆様から人気の
フリー・ガイを観たん。だけどな、
フリー・ガイはmarucoの懸念が
大当たり!あかん、これはやっぱり
ゲーム好きゲームを知ってないとあかんと感じた。ところどころの感動はあるもののやっぱり無理してしまったな…、
そんな切ない気持ち残念な気持ちが
残った。つまりは
ここでこのままでは帰れない!
そんな想いで急遽、人生2度目となる
同日二本連チャンの映画鑑賞となった。
それがこの
「テーラー」人生の仕立て屋やった
私はこれは好きやった❤️
私にはこんなんが合うてる(おうてる)
この仕立て屋のニコなる男の魅力に
引き込まれる。ニコみたいな人と出会ったらきっと恋すると思う。
ニコは静かで不器用で真面目腐ってながら言うに言えんオモシロイとこがある。
真っ正直で純情な人。
好きな人と二人並んで座るベンチの
25センチの距離を縮めることのできない人…、とこれはあくまでも、
marucoの独りよがりの想い。こんなに可愛いぃ人ていてる?決して若くもないのに…、
だからmarucoはニコが好きやねん❣️
物語はそれらニコの、
落胆から再生までの日々を優しく
叙情的に描いてる。色彩もキレイ!
出てくる人達も素朴で快い。
頑固でプライドの塊の実の父との確執、
大事な仕立て屋の廃業の憂き目、
素敵な人妻との束の間の恋、
その人妻の夫との気まずい絡み、
この人妻の愛娘にこよなく愛されるニコそのニコの胸を打つ立ち居振舞い。
本作は特に目を引く、
目を見張る秀作とは言えない。
だけどこの私の疲弊した心身に
押し付けがましくなくじわりとほわっと入ってきてくれる。
カッチンカッチンに凝りまくった肩を
揉みほぐしてもらったようなそんなええ気持ちがした。
ニコは初見やったけど、
ディミトリス・イメロス言うらしい。
ややこしい名前やなあ〰️(笑)
でも必ず憶えとく❣️

マタアイマショウ改め、
マタアワセテクダサイ
サクセスストーリーとか美談を期待すると……。

この人物像・物語でそのラインは越えちゃいけないかな。
ギリシャ国民的にはオーケーなのかしら?
ラストも爽快さは無く、変な侘しさしか残らないし。
なんかウーマン・リブさんが
遺憾の意を表明しそうなラストを新人女性監督が
撮ったっていうのも不思議なものですね。

シーンの切り替わりごとにエピソードが進行してて
「さっきと空気感全然違う!何があったの??」
みたいなこちらの想像に委ねる展開が多いのも
好みが分かれるかも。

とは言えメインキャラの近所の女の子は
眉村ちあきちゃんみたいで可愛いし
思春期の奔放でオマセなところが魅力的。

あと、とにかく音と画のこだわりがめっちゃイイです。
革靴での貧乏ゆすり、レースやシルクを撫でたり
ハサミやミシンをセットする音は
大きなスピーカーで聴いて欲しいし
手元やパーツのアップ、対比のアングルとか人間の見せ方がバランスが良き。

内容は全く違うけどラ・ラ・ランドやガイ・リッチーの映像が好きな人には共感してもらえるかな?

このレビューはネタバレを含みます

個人的には本当に惜しい映画。淡々とした映像で説明していく物語、仕立ての道具や使った時に奏でる音、素晴らしく魅力的なキャラ、潰れそうな仕立て屋のニコスのキャラ素晴らしい。見惚れてしまう。良いです。そして取り巻き老人のお洒落なこと。そして街中、自然の素晴らしいロケーション。仕立て屋の作った移動式テーラー。洋服の色彩。もう話の後半まで今年1番くらい好きでした。そして物語もよく、全てがうまくいき人生こんなもんさではなく、捨てなければならないもの、また新しく見つけるもの、そこから生きていくことなどがおり混ざって良いです。ただ本当に一点。ニコスは近所の人妻のオルガに移動式テーラーのウェディングドレスの手伝いなどをさせるのですが(このオルガの娘っ子がとても良いこの映画ナンバー1のキャラだと思う。着ていた怪獣Tシャツ欲しい)オルガはニコスと関係を持ってしまう描写があるのです。これが本当に好きでないシーンで、なくても成立するんじゃあないかと感じました。好意は持っていることはわかるからなあ。これを抜きにしても後半の娘の行動や仕立て屋の事件などで十分哀しさは伝わるし、感じられると思います。残念です。ただ、抜きにしても良い作品だと思います。叙情的。ロマンティック。
まずは技術。
それからそれをどう活かすかの術(すべ)が重要。
この主人公でないと成り立たない映画かと。
風景の綺麗さとドレスの鮮やかさ。
冒頭ミシンを踏む音と音楽がシンクロして、おっいい感じの始まりだと期待が高まる。楽観できない状況でもニコスからは悲壮感も焦燥も感じられず、できることを探し飄々としている。自分の作った物を喜んでもらえることは1番の報酬かもしれない。
mii

miiの感想・評価

2.9
最初から最後までずっと平坦な作品でした
予告で1から10全て理解できてしまうような作品

良い朝ごはん食べたなっていう感じの感覚になりました😅(笑)

申し訳ないのですが大変失礼と心得ていますが、
何度見てもウンパルンパにしか見えなかったです🍫

靴の撮り方も🚕とのバトルもこれ必要だった??のかなあ?
とき

ときの感想・評価

1.5

このレビューはネタバレを含みます

邦題から、テーラーが初めて作るウエディングドレスに四苦八苦しながら一人の女性の人生を変えていく~みたいな話だと思ったのに全然違った。主人公の目的も性格も、女の子の存在意義も、店の間取りも、カメラワークも最後までなんもわからんままでモヤモヤするだけ。あんま好みじゃなかったかも
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