~side:茉莉~
「そんな…」
「スズネーっ!」
お姉ちゃんが呼び寄せた魔女はすべて倒した。けれど鈴音の遺体。そして砕け散ったソウルジェム――こんなのひどいよ。悲しいよ。スズネも死んじゃった、それにお姉ちゃんも、何もなくなっちゃった。
「は、はは…」
「アンタ――!」
激情のまま、アリサがカガリに切りかかった。カガリは抵抗するそぶりを見せない。止めないと。しかしその鎌がカガリに届こうとした瞬間。黒いメイスに阻まれた。
「何してんの、キリコ!」
「やめろ、お前が手を汚す必要はない。コイツはもう何もない。じきに魔女になり死ぬ。…それに、ななか達との契約があるからな。」
「だからって、これじゃあ…あいつの勝ち逃げじゃない!」
「…引きなさい、アリサ。」
…わからないよ。あの時の白いフードの子がキリコだったとしても、図書館でトーマスとジュリについて熱く語っていたときの楽しそうなキリコと、今の冷たくて暗いキリコが全然合わない。
「教えなさい、キリコ。あなたの目的は何なの?それに…あなたはあの時結界で…」
チサトがキリコに質問する。チサトの視点ではキリコは死んだように見えたらしい。
「そうだな。まず結界内のことだが…すまない。お前に覚悟を決めさせるためのものだった。お前の解除はカガリに対して有利に動けるから。」
「俺の目的は鈴音による襲撃事件の解決と、助っ人として来てくれたななかの記憶を戻すことだ…ななかは結構面倒な記憶の消され方をしててね。ただ解除するだけでは無理。記憶をいじれるやつがいい。」
「…そのためにカガリをかばったってこと。…じゃあスズネが死ぬことも予定に入れてたっていうの!?」
「いや、本来ならカガリを拘束して魔法に制限をかけてコネクトなりでやる予定だった…始めていいか。」
キリコが残念そうな顔をするが、すぐにナナカをお姉ちゃんのもとに連れて行こうとする。とりあえずマツリもお姉ちゃんのところへ…!
「マツリ…?」
「…マツリからも言うけど、記憶を戻してあげて?まだ、償うことはできるはずだから。」
「マツリの頼みなら、ね。それで、治してもらいたい子は?」
「――常盤ななかです。よろしくお願いします。」
お姉ちゃんがナナカの額に手を当てる。時折お姉ちゃんは何かを探すような表情をしているけど、記憶を真摯に直しているんだろう。少しした後、手を放す。
「これで終わり。」
「ええ、…ありがとうございます、霧子さん。混沌はあなたが討ったのですね。」
「…そういうと、お前の獲物を俺が倒しちったってことか?なんか悪いな」
「もういいかい。ボクたちは持ち場に帰る。」
「カガリの護送、監視は俺がやる。」
ナナカたちが帰っていく。キリコはお姉ちゃんを監視するために少し残るようだ。
つらいこともたくさんある。魔女化のことも。けど今は生きていくんだ。スズネの遺志も、ツバキの思いも守るために。
「どうするの、これから。スズネは死んで、カガリもあの状態だし…」
「まずは家に帰って、明日も町を守っていこう。マツリは、スズネの思いも、ツバキの思いも無駄にしたくはないから。」
「マツリは、強いのね。」
そして数日が過ぎて、スズネの葬儀も終わった。コウリョシボウニン?って言われてお葬式もなかった。お墓参りもできなかった。霧子も帰っていった。悲しいけど、数日の間街をパトロールして…
電話が来た。
「もしもし、俺だ、霧子だ。神浜市の夏目書房に来てくれ。いいニュースがあるぜ。あ、カガリにはナイショにしておけよ?ていうかカガリ抜きできてくれ。」
~sideout~
~少し前~
っぶねぇ!はい、今どうなってるかというとカガリが桜花使って炎ぶっぱしてる挙句魔女軍団を従えてます。その技はお前が使っていいもんじゃねぇんだよぉ!
…失礼、取り乱しました。まぁこの町に調整屋が来た時点で想定はできました。あいつら誰にも調整する武器商人チックな奴ですし。というわけでここからは
桜花に対応しつつ魔女の殲滅、ステルスカガリのジェム割りに警戒しながら魔法少女たちを守り、"計画"を実行する…やることが、やることが多い!
ほらやっぱり桜花が飛んできました。大剣一つを生贄にしてガード!さらに亜里沙の後ろによって来た魔女を銃撃して注意をひかせて剣で両断。周辺の使い魔は斧で薙ぎ払います。
「――桜花」
「来てくれたようですね。」
ナイスゥ!これでいくばくかは楽になりま…また炎!いい加減姿見せろや!さて、ここからが本題です。計画のためにはまず鈴音とカガリが一対一の状況を作る必要があります。そして今カガリは桜花という大火力技を引っ提げています。触れるだけで全焼レベルの火力です。要は結界中に糸を張り巡らせてやるだけで勝手に燃え移って位置を示してくれます。
見事に引っかかってくれましたね。これで鈴音がカガリに向かっていって…なんで茉莉がかばってるんや!まぁそういう子でしたよね茉莉は。また一騎打ちになることを祈りつつ魔女をつぶしていきましょう。
またチャクラム!双剣で防御しますが鈴音とカガリが桜花を撃ち合ってますね。もうすぐでしょう。ナラバァ、やることは一つ!負傷覚悟でチャクラムをそらす!ジェムに当たりさえしなければみんな軽傷なんだよォ!あ、ちょっとミスった感あります。肩口をバッサリいかれました。あーもうどうすん…
>パッシブスキル・即時縫合を一時的に開放します。
いよっしゃあ!これでまだ動けます。しかしこのスキル、切られたところがすぐミシンで打たれたようにつながるモーションはかなり精神にキますけどねぇ…バーサヤカーちゃんの亜種ともいえるスキルですし。そして美雨に念話を入れましょう。
(やるぞ)
(わかったネ!)
狙い時はスズネとカガリの攻撃が互いの体に当たった時!イキますよ~(タイミング測り)イキますよ~(タイミング測り)イクイク……ヌッ!(いまだ!)
(フルパワーで偽装を!)
(いわれなくても!)
美雨の偽装。これでもう先駆者様のRTAを見てきた諸兄はお判りでしょう。鈴音の氏を偽装します。
ホオズキ市に突入してからずっと組長との契約とカガリの始末の両立を考えていましたが…あふれだしてきました。頭に存在するチャートが。カガリは鈴音への復讐を果たした後虚無って魔女化氏するのはpart6に説明した通りなんですよね。今回はそれを利用します。
今鈴音を貫いた刀が消えてカガリが崩れ落ちています。すぐに鈴音のもとに駆け付けて何か言いたげな口をふさぎましょう!美雨の偽装は現実の状況と偽装の状況の違いが大きいほど多大な魔力を要します。そのためには…
「俺に念話をつないでくれ!」
(いったいどうしたの!?)
(今お前が死んだという幻覚をかけた。ソウルジェムを貸してくれ。これも長くは持たない!アンタの死体が必要になるんだよ!)
(ええ、…マツリも、私のことは忘れて生きていったほうがいいと思うから)
(そいつは無理な相談だ…まぁ、数日は眠っててもらうぞ。)
ではさっさと100メートル圏外に出ましょう。あと砕けたソウルジェムも作ってばらまきます。時間にして…おぉ、約2秒。これであとは鈴音の死体と砕けた偽ジェムが残るだけなので完全な魔法少女の死に様の完成です。
さて、ななか達のもとに戻…亜里沙何してくれとんじゃ!?気持ちはわかるけど、それはいろいろとまずい!メイスを出して相殺しましょう。…何とか止まってくれましたね。
さて記憶を戻しましょう。まぁその前に、ななかさん(魔法)ダイジョブっすか?
(…もう私の魔法に反応はありません。本当に、空っぽになってしまったということでしょうね。)
組長を連れていきます。カガリが組長の額に手を当てて記憶を修復してますね…組長の記憶消去は記憶封じではなく記憶破壊でした。今回は魔法の残滓から修復するしかないんですよね…下手に解除するとその残滓すら消えてしまうので千里には任せられません。だからカガリを使う必要があったわけですねぇ~。終わりました。ということでななか達は神浜市に帰ってもらいましょう。自分はホオズキ市に残ります。
鈴音の遺体は行旅死亡人として扱われます。魔女に家族皆殺しにされたので引き取り人がいないためですね。この後ホオズキ市の自治体が検死・葬儀を行い遺骨は無縁塚に納骨されます。茉莉たちは葬儀に参加できません。悲しいなあ…(ドルマゲス
さてこの鈴音の遺体ですが検死に関してはそのまま使わせましょう。この段階で偽物にすり替えようもんならあっという間に大事件ですしカガリに鈴音は生きてると悟られて今までの作戦すべてが台無しになります。
そして様々な手続きの間はカガリを監視しましょう…完全に虚無ってますね。魔女反応にも見向きしません。解除のコネクトで魔法を制限されてますので自身から魔女化するそぶりもありませんね…寝ずに監視します。
早送り後の深夜。手続きが終わったようです。霊安室には魔力でピッキングして侵入。監視カメラは移動する間ジャミングして姿を見せないようにして鈴音の遺体を修復します。その後黒い棺桶を生成。鈴音の遺体に保存を利かせて収容。そして精巧な偽鈴音遺体を作り出して安置。霊安室から出た後は証拠を隠滅して脱出、市外に待機させといた美雨とかこに引き渡します。(13歳に死体運びの片棒担わせる人間のクズ
火葬されるのでタイミングを見計らって骨だけにします。その後骨壺に収められて無縁塚への納骨を確認ヨシ!!神浜市に連絡して鈴音の蘇生ヨシ!!神浜市へ戻って中央区へ戦果報告の後感動の再開と行きましょう!それではご視聴ありがとうございました。
・朝倉霧子
凄まじい直感を持つマツリを騙しきるというすごいことをやってのけた。こんなに演技力高いのは過去に何があったからでしょうね~。なお金曜日から今まで徹夜してる。魔法少女は人間じゃないからね。シカタナイネ。
・即時縫合
糸系の魔法を使え、なおかつ魔法少女の真実を知り、その魔法少女が自身の体に頓着しない場合発動できるパッシブスキル。傷を即糸で縫合してダメージを抑え、行動を続行する。
・記憶破壊
文字通り記憶を完全に消してしまう。HARD帆奈が用いてくる。
鈴音の遺体をどう扱うか悩んだので失踪します。
アニメの"アレ"、実装しますか?
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はい
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いいえ