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【1章完結】追放された助言士のギルド経営~鑑定を駆使し、不遇な素質持ちに一つを極めさせたら、いつの間にか化け物だらけの最強ギルドになってました~ 作者:柊彼方

1章 始まり

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3話 僕の実績

「さて、これからどうしようかな」


 太陽の化身の本部から出た僕は、すぐに頭を抱えてしまった。

 衝動的に会話を終わらせてきてしまったが、今の僕は実際に窮地に追い込まれている。


 僕は先ほどのアレンの対応からも分かるように太陽の化身を裏方で支えてきた。

 誰にも知られていないただの助言士(アドバイザー)

 最強のギルドに属していたところで、アレンのように名前が広まることもないのだ。

 なんとなくは想定していたのだが、まさか同じギルドメンバーからもあれほどまで認識されていないとは思ってもいなかった。


(はぁ。これからどうすれば……)


 僕はため息をつきながら無気力に歩いている。

 すると、背後から一人の女性に声をかけられた。


「ろ、ロイド様ですか!?」


 女性の容姿は金色の長髪に整った優しげのある顔立ち。まるでモデルかと思ってしまうほどすらっと整えられた体型に、溢れそうなほどの豊胸。

 まるで理想の女性像、そのものであった。


「ん? どちら様でしょうか」


 彼女は僕を見て、目をキラキラと輝かせていた。まるで僕の目とは真逆のような状態である。

 特に見覚えのない女性に僕は首を傾げてしまった。


「あっ! 突然申し訳ございませんでした! 私! エリスと申します!」


 彼女は腰を九十度折って、下げすぎ、とツッコんでしまうほど僕に頭を下げてくる。

 そんな光景に周りが少しざわつき始めた。


「おい、あれ大丈夫か?」

「男が女をいじめてるんじゃねぇのか」

「誰か助けてやれよ。可哀そうに」


 どうやら、僕がエリスという女性をいじめているように見えるようだ。

 街道でここまで頭を下げる人を見たらそう思うのも納得である。


 僕はすぐに彼女の頭を上げさせる。


「ちょっ! 頭を上げてください!」

「許してくれるんですか!?」


 涙目で訴えかけてくる彼女を見て、更に周りからの視線が強くなる。

 このままでは、誤って誰かが警備兵に通報してしまうかもしれない。


「いや、許すもなにも、ちょっと別の場所でお話ししましょう!」

「は、はい!」


 僕はエリスを連れて街道を足早にあとにした。







 結局、近くの居酒屋で話すことになった。


「落ち着きましたか?」

「す、すみませんでした。やっとロイド様と出会えることが出来たので」


 対面して座っている彼女は、顔をパタパタと扇ぎながら紅潮した頬を冷ましている。

 僕はその隙にスキル【鑑定】を行使した。

 すると、エリスの能力値などが周囲の空間に文字となって表記される。


[名前] エリス(19)

[肩書] 未所属・D級冒険者

[能力値]体力C/A 魔力 S/D 向上心 E/E 

        統率力 D/B 知力 C/B

[スキル]剣術の心得 E/D

[素質] ウォーターボール


「……は?」

「え? どうかしましたか?」

「い、いや。なんでもない、よ?」


 その鑑定結果を見て、たまらず素っ頓狂な声を上げてしまった。

 生まれてこの方、限界値をやすやすと超える結果を見たことは一度もない。


 ちなみに、鑑定の基準はこうなっている。


 S→100~85

 A→85~70

 B→70~50

 C→50~30

 D→30~15

 E→15~0


 点数に表すならばこのくらいになるだろう。

 Eはダメダメ。Dが少し苦手。C、Bは普通。Aが凄い。Sは天才。こんな感じに部類される。

 Sは千に一人しか見ない逸材だ。


 そして、スキルに関してだが、皆、必ず一人一つはスキルを所持している。

 僕の場合は【鑑定】。彼女の場合は剣術の能力を大幅に向上させる【剣術の心得】であった。

 中にはアレンのように二つ持っている者もいる。


 そして、最後に素質。これは未だに僕も理解していないところが大きい。

 今のところ個人の最大の可能性として捉えている。



 僕には【鑑定】の二段階目である【心眼】という能力がある。

 いわば、鑑定の上位互換のようなものだ。


 【心眼】は相手のジョブとその詳細を知ることが出来る。

 僕はこの自分の中で渦巻く疑問を解決するために、自分のスキルの第二フェーズに突入させた。

 先ほど空間上に映し出された文字に、上書きするように文字が並び始める。


[魔術師]

[能力値]   俊敏 D/A 耐久 A/A 腕力 E/C

[隠れスキル] ウォーターボール S/S


「え、えええええええええええぇぇぇぇぇぇぇ!?」


 店内ということも忘れ、僕はそんな鑑定の結果に大声を上げてしまったのだった。

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