簡単に言うと、崇拝好きの変態の話。
自分にとって恋の原型と呼べるものがあり、それは16歳だか17歳だかのときに経験した激しい嵐みたいな恋。
2年くらい片想いを拗らせていて、念願かなって付き合えたが、付き合ってからの記憶よりも片想いの時の胸が苦しくなる激情の渦、人をこんなに好きになることってあるんだろうかというのめり込みようのほうが鮮明に焼き付いている。
もちろんそれ以降も恋をしてきたが、崇拝に似た恋愛感情をあんなに長く維持したことはない。あるいはそれが思春期の多感な時期に、魔性の男を好きになったことと、私の性欲がバーストしていた頃だったにもかかわらず、性的な全てを禁じられた関係だったからこそこんなに強く記憶に残っているのかもしれない。付き合ったけど最終的には片想いだったので。(私は彼のタイプじゃなかったんだよね。シンプルに10代なかばの私は本当に不細工だったし…。肌も荒れててねぇ泣)
(でも付き合えちゃったんだからすごい)
私はオタクでド変態だったし処女を完全に拗らせていたので、ものすごい童貞ムーブ(???)をしまくった。多分めちゃくちゃ気持ち悪かったと思う。そして私が崇拝に近い気持ちを抱いているのを彼は完全に見抜いていた。「オタクくん笑」ってギャルがオタクを弄ぶみたいに多分弄ばれてた(残念ながら性的な意味でなく)
私が彼のどこをすきだったかというとまぁ全てが好きだったのだが、とにかくまず見た目。見た目。シュッとしてるとしか言いようのない体つきとツリ眉の垂れ目、ペン回しをする綺麗で長い指、直毛の黒髪とめちゃくちゃ白い肌、血色良くて赤い唇、なんか不敵な笑み。自分の強みを完全に理解している男だったと思う。何故彼を好きになったかは全然覚えていないが、たしか夏祭りに集団で行った時にたまたま集団とはぐれて、二人になって腕を引っ張られたとかそんなことから気になり始めたとかだったような気もするがやっぱ全然覚えていない。意識し始めてからはとにかく美しい男だなとひたすらに思い続けていた。
第二に声。声が本当に好きだった。かなり低くて癖のある声。つっこみがうまくて、彼が何か言うとめちゃくちゃ面白くて全部に笑った。独特の間があり、安易に共感せず、空気が読め、男子から好かれ、微妙にいじめっ子っぽい空気を纏わせ、自分に有利に働く状況を作るのが得意だった。そういう悪魔っぽいところがたまらなかった。そして少しだけワルだった。いわゆるワルではかったけど、本質的になにか少し邪悪なところがあった。今思い返すと、そういうコントロール不可能なタイプの悪が私を駆り立てて夢中にさせたが、どう考えても彼の悪とか弱い部分とかを引き受けるような器は私にはない。私は崇拝者であり、彼は単に私のことを自分の崇拝者としておそらく側においただけだろうと思うし、それが相応しいと思う。
2年も片想いを拗らせていて(あるときは羊耳を付けようとしたり(付けてくれた。写真撮った)、芋けんぴを手づからにあげようとしたり(当たり前だが手からは食べてくれなかった)、放課後にやっていた大富豪で永遠に彼の腕や顔を見続けたりしたが、風向きが変わったのは私に人生はじめての彼氏ができたことだったと思う。
私は罪な女なので(ゴミゲロブスだったが…)、彼のことがめちゃくちゃ好きだったが、色々あって良い感じになった男子(今考えると確実にこっちと長く付き合った方が幸せになれるし、実際別れてからこの人のことを想って戻りたくて泣いたりした)から告られて付き合ったのである。(ここには私から彼氏になったその男子への執着みたいな事情もあったが本筋から外れるので割愛する)
私が彼を好きだったことは周囲含め完全にバレバレであり、もちろん彼自身も確信を持っていたしその上で転がしていたんだろう。そんな女が、ある日自分の友達と付き合ってると知った。そのことで、おそらく「なんで?俺のこと好きなくせに」と、面白くない感情になったんだろう。そこから風向きが変わる。それは私への愛情とか恋とかでないことは容易にわかる。信者を失うことへの面白くなさ、そして執着だ。だがその執着を覚えられたことが私にとって異常な快感であった。
ある時、友達の家で飲むことになった。(何をとは言わない。)その日のキャスティングは何をどうしてそうなったかは忘れたが悪魔的なキャスティングだった。
片想いの彼、私、彼氏、そして友達、の四人。なんだこの悪魔的なキャスティングは。誰がキャスティングしたんだ。
その夜、片想いの人はかなり前後不覚っぽくなり、私の腕を強く引っ張ったのだ。
彼氏はそれを牽制していたが、私はその時にはじめてその人から私に向かう執着を感じた。残念なことにその日も私はめちゃくちゃブスであったが(その日、そんなことがあった後に、興奮しながら自分がどんな顔してるか鏡を見て実感したのだ。よく覚えてる)、あの時の腕を引かれる強さ。あの行動。そこにこもった執着。これはちょっと忘れることができない。
次の日には彼は普段通りにそっけなかったし、その日のその行動のことは誰も言葉にすることもなかった。
しかし、それ以降、なんかちょっと脈ありっぽいムーブをかまし始めたのである。もちろんそうとは言わない。絶対に認めないが、でも確実に脈があるムーブ。
例えば、「もうすぐ誕生日だったよね?なんか欲しいもんあげる」とか。絶対覚えてないと思ったのにまさかのものまでくれるムーブ。「あれ?脈ありますかこれ?」と携帯を握りしめてはぁはぁした。
それから夜遅くまでスカイプをするようになった。完全に脈アリだ。それまでは全然話してくれなかったのに。
そんなこんなで、彼氏とは別れた。
(ここに関して色々思うところあるが割愛する)
別れたその日のうちに、号泣しながら、私はふっきれようと思ってスカイプで洗いざらい想いを片想いのその人に打ち明けた。(内容は覚えていない。それが文面だったか、通話だったかも覚えてない)
「私はAくんと付き合っていたけど、やっぱりあなたのことが好きでつらいから、もういっそのこと玉砕して全部スッキリしたい」って言ったと思う。
そうしたら、「俺にはセフレがいるし、彼女とセックスはしないけど、それでもよければ付き合おう」って言われた。
「?!!!!??!?!?!!!!!」となったが、そのときの私は何をどうしたとしてもとにかくその人と付き合いたかったので、「わかった!いいよ!」と言った。実際付き合えるということで興奮しすぎてセフレがどうこうというのは二の次になった。待っ…セックスできないですか?!?!?!?!?!となったがそんなことより付き合(ry
当時の私に対して言えば、性欲が高まるそんな時期に彼女とセックスしないでセフレがいる時点でお前は性的対象じゃないと気づいて欲しい。
そう、私にとって彼は圧倒的性的対象(毎日セックスしたい)、なんならセックスシンボルだったが、彼にとっての私は圧倒的性的対象外だったのである。いわゆる生理的に無理ってやつか。
今でも悔しい気持ちがあるとすれば、この時にやれなかったことだ。この時やれていたら、私の圧倒的処女拗らせ人生は少し違ったものになっていただろう。そう、とにかく私は彼の造形と声となんかもう諸々がどタイプだったのでめちゃくちゃやりたかったのだ。でもできなかった。拗らせるわそりゃ。そのときは女としての自信も全くなかったので襲い受属性も発揮できず…。こんな童貞みたいな感情で彼氏と付き合ってたJKこの世におるんか?頭ん中は「キスしてぇ!やりてぇ!」しかなかったぞ!やれませんでした(完)
話を元に戻して、スカイプで洗いざらい吐いて、条件付きで付き合う提案をされ、私がそれを承諾したあと、「じゃあ、明日直接俺に告白して。そしたら付き合う。」って言ってきたのね。どんな魔性?
生で宣言させることによって、その様子を確かめたかったんでしょうか?でもなんか、気持ちはわかる気がする。言わせたいよね。誓約を聞きたいよね。「こいつこんなに自分のこと好きなんだぁ(暗黒微笑)」したいよね。わかります。
忘れもしません。彼氏と別れた翌日(!)、放課後、夜の教室で、二人きりになって、私はめちゃくちゃに息が荒くなって、「鼻息荒いね笑」って笑われて、それでも「す、好きです、付き合ってください」って言ったら、「いいよ、付き合おう」って返されたの。足がガクガクして蛍光灯の光が滲んで時止まって…!!!!あああ!!
私その場でガッツポーズした。外で待ってた友達と校舎を全速力で走り回って、ぴょんぴょん跳ねてとにかくガッツポーズした。めちゃくちゃ興奮した。人生でこんな興奮することってないですよ。とにかく嬉しかった。思春期ですね。なお、一生分の女性ホルモンが出たのか、次の日に全く予定していなかった生理が来た。一撃でホルモンバランスを崩す男。すごい。
その後、付き合ってからはなんかしょっぱい記憶がいっぱいなのですが、中にはいい記憶もあって、例えば放課後に、高校から自転車の後ろに乗っけてとある街まで連れて行ってくれたり。
興奮して全ての景色が輝いて見えて「空が綺麗だね」って言ったら「めちゃくちゃ曇ってんぞ」って言われたりとか、坂道をのっけたまま全力で漕いでくれたりとか。その時の畑ばっかりの景色とか、山田うどんのにおいと土の匂いが混ざった青臭い匂いとか風の感じとかは未だに覚えているしとても大切な記憶。
一回だけ、メールで「なんか最近かわいいね」って言われたりとか(マジで人生で最も興奮した瞬間これかもしれん。寝かけていたのだがメール見た瞬間眠気が一瞬で吹っ飛び、血が騒ぎ、のたうちまわり、全力でニヤニヤした。本当に興奮した。)
修学旅行で喧嘩したけど、沖縄の美海水族館のめちゃくちゃ風が吹き荒れてて全然エメラルドじゃないエメラルドビーチを歩いたりしたこととか。
あとは私の小説を読んでくれたりとか。
(なんかこれはね、ちゃんと読んでくれたんだよ。嬉しかったなぁ…。まぁセフレの話で、セフレと夜の学校の草むらでやる話だったと思うんだけど「草むらでやると痛くない?」みたいなことを言われた記憶だけふんわりとある)
付き合ったのは5ヶ月?くらい。後半の2ヶ月くらいはかなり辛い感じになって、全然幸せじゃなかったし、最後は「もう終わりにしよう」って駅で言われて「うん。」て言ってすんなり終わったのだが。(私も愚かだったので、死ぬほど好きなのに素直になれないことがあったり、嫉妬させたくてその人の昔の友達と親しくして通話したり、やっぱセフレいるのどうなの?!っていうか俺とセックスをしろ!!となり迫ってウザがられたりなどした)
思い返すとまったく好きって言われた記憶がないが、なんか「ちゃんと好きだよ」って言われた記憶があるような気がする。あとなんか、意味わかんないけど「あなたに夢中です」って書いてあるステッカーをもらった。これどういう意味?私が?みたいなことを聞いたけどはぐらかされたのか記憶がない。でも、ステッカーは未だに有るので事実。
気持ちは今ならなんとなくわかる。多分どこかで私のことを本当に好ましいと感じる部分もあったんだろう、一生懸命自分のことを好きなところとか。面白いな、まぁ可愛く見えなくもないな、みたいな。でもとにかく生理的に性的対象外だったんだろうな。よくわかります。
できることなら、彼にとっても性的対象で、めちゃくちゃメロメロになりあって、毎日ラブラブイチャイチャセックスに明け暮れたかった。性的対象だったとしたら、簡単に妊娠していたかもしれないな。もしそうだとしたらそれはそれでアリだったな。もう遺伝子レベルで好きだったので。普通、一緒にいるだけで発情しだしたりしません、私は。まぁ親が許すはずもないが。もしかしたらあれが私の唯一の生殖チャンスポイントだったのかもしれない。
イチャイチャしまくって快楽に蕩けるあの人をこの目で見たかったな。たぶん興奮して鼻血が止まらなかっただろうな。こちとらふんわりしたチューを何回かしかできなかったんだぞ!くそ〜!!!!本当に数えるほどしか…くそ〜!!!!!!
でもまぁ、くぅ!と思う点はあるんだけど、付き合えて良かったと思う。条件付きで、どう考えても見下されてるタイプの付き合い方だったけど、でも一時期だけでも死ぬほど好きな男と契約関係にあったんだよ?それを勝ち取ってたんだよ???すごくない???わっはっは。
俺はこれを功績だと思っている。
長くなりましたが、私の恋の原型はこんな感じ。
結論、やはり一番記憶に残るのは、めちゃくちゃセックスしたかったけど出来なかった恋人だな、という話です。
エピローグ。
再会して言われたのが、「香水のセンスだけはめちゃくちゃいいよね」って。(言い方!)
付き合ってすぐ、「あぁこれは絶対この人の匂い!」って香水をプレゼントしたんだけど。
それをすごく気に入ってくれたみたいで、大人になってから再会したとき…、なんとその匂いをつけてたんだよね。なんてセクシーなの?
そういうわけで、私の中でとある香水はその人の匂いなんですね。(付き合ってた時、その匂いに興奮しすぎて、彼用にプレゼントした後自分でも買った。嗅ぐ用に。変態なので)
もう何年も会っていないですが。結婚したのかな。知りたくないな。多分ショックを受けると思うので、彼についてのことはなにも知りたくないです。多分相当のショックを受ける。知りたくねぇ!彼に選ばれた女!絶対知りたくねぇよ!未練があるとかでは全くもってないのですが。(これは本当にない)
まぁ、この先何があっても彼は私の恋の原体験なことに変わりはないでしょう…終わり。