サポーターズコラム
「選ぶなら死に近いほうを」借金数百万・メンバー解散・サービス閉鎖の死の谷を越え、満足度98%・3,000人参加で拡大中のTECH::CAMPに至る軌跡(株式会社div 真子 就有CEO)【festivo起業家インタビュー】
一歩先行く先輩起業家、事業家や特異な視点をもつ起業家の今を切り出すインタビュー企画、festivo起業家インタビュー『Our life is our flame.-情熱に生きる僕らの今-』。今回はTECH::CAMPが好調でForbes誌「注目のUnder30起業家10人」にも選出された株式会社div 真子氏に登場していただきました。
まるでドラマのような数々の苦難と葛藤の末の現在、真子氏のこれまでとこれからをインタビューしました。
・成長は手段でしかなく「自分の人生を最高に幸せなものにすること」が大事
―― 学生時代から起業に挑戦しようと考えていたのですか?
真子:漠然とではありますが、でかいことやりたい、みたいなことは思っていましたね。中学生ぐらいからずっと。うちの父親は個人事業主で、後に株式会社化しましたが、人と同じことするなという雰囲気がありました。
人のまねをすると叱られ、創意工夫すると褒められる。そういった教育を受けていたために、影響を受けた部分はあると思います。
―― 元々プログラミングやITに造詣があったのですか?
真子:プログラミングは独学で学びました。じげんに入る前にもエンジニアとして別の会社でインターンをしていました。ただ、最初は全然できなくて。名刺の肩書はエンジニアでしたが、仕事はほとんど人事の仕事をやっていたんです。
当時のじげんは25人ほどの規模で、僕が最初の内定者でした。社内では、やっぱり平尾さんが圧倒的で、「この人には勝てない」って思ったんです。
そもそも、なぜベンチャーに入ろうと思ったかというと、成長したかったんですよ。このまま起業してもやっぱり失敗するという恐怖感があって。ただ、実際に働いてみると、働き方なども含め、自分では及ばないな、と。
そこで改めて「なぜ成長したいんだろう」と考えてみると、成長自体はただの手段でしかなくて、いかに自分の人生を最高に幸せにできるかが大事だということに気付きました。人はいつか死にますし。死ぬときに後悔しないために、どう生きるかと考えたときに、人生やりたいことだけをやろうって思ったんですね。
―― 自分の中ではまだ準備が必要だと思いつつも、じげんに入ってみて「俺の人生これでいいんだっけ」と感じてしまった。
真子:そうです。きっかけは、岡本太郎の『自分の中に毒を持て』という本です。その本に「人生における成功とは、自分の信念をいかに貫いたかで決まる」と書いてあって。なるほどと思ったんです。
岡本太郎さんは、若いころ、描いた絵が認められなくて、「お前の絵はゴミだ」と言われていて。でも、自分の信念をつらぬいた。結果的に認められ、世界的なアーティストになりました。そうした生き方をカッコいいと思ったんですね。
また、こんな言葉もありました。「人生つねに2択。一方はこれまで通りの道が続く安全な道。もう一方はこのまま行くと絶対ヤバいし、死ぬって思うけど、先は全く見えない道」。まさに「死の道」ですね。人生つねに死を選べ、と。
それらの言葉が心に突き刺さり、読んだ次の日に、退職の意思を伝えました。
・話題性のあるサービスをリリースするも、遠い収益化
―― 最初に作ったサービスが、「log」というサービスとのことですが。
真子:当時はフェイスブックが日本に来たばかりで、ユーザー数もまだ2百万人ほどでした。今は2千万人です。フェイスブックがソーシャルな関係をオンラインに置き換えたサービスだとしたら、今度は人の興味にフォーカスしたサービスがくると思いました。
人の興味関心をネット上に記録するようになり、そこを中心にして交流が生まれる世の中になるのだろう、と。そういう文脈で、自分の好きな映画とか本とか音楽とか、興味があるものを何でもきれいに記録して、その趣味を通じて出会い、交流できるサービスを作ろうって思ったのがきっかけです。
リリースして2日で4万投稿くらい集まり、初期は一見順風満帆のようかに見えました。社内のメンバー5人で大盛り上がりでしたね。あとはこの記録からコミュニケーションをうむところまでつながれば、これはもう勝ちだと思いました。こんな最高なサービスは日本にないだろう、と。
ところがその後、満を持してそういうコミュニケーション機能を追加したんですが、びくともしない。ユーザーは何も使おうともしなかったんです。3~4か月、本気でやってきたのに。そこでキャッシュが尽きたんです。それで、受託をやるしかなくなってしまいました。
―― 受諾をしていた期間はどのくらいですか?
真子:1年半ぐらいでしょうか。logのアプリ版や「Class」という同い年の男女5:5で1か月限定のクラスを作るというサービスもリリースしました。「青春時代をもう一度」というコンセプトで。大きくバズりましたが、こちらも最初だけでしたね。
自分はコンセプトメイキングには長けているんですが、UX作るとなると途端に不得意になるのだろうなと感じました。その後は、受託をしつつ新規事業を模索していました。
・人の気持ちは変えられない。変えられるのは自分だけ
―― 2回の失敗を経て、「この仕事は向いていないな」と考えなかったんですか?
真子:1回、2回で大成功するんだったら、みんなビル・ゲイツになれるって思っていましたからそういう思想にはいたりませんでした。iOSのバグが発覚し、ツイッターで大炎上したこともありました。AppStoreでは星1がズラッと並んで。
会社として全力をつくして開発してきたサービスなのであり気持ちとしてはやばいと每日焦っていたのですが、心のどこかで追い詰められている状況を楽しんでいる自分がいました。
―― 中には追いつめられてしまう人もいますが……。
真子:追い詰められてしまう人って、自分の人生の価値観を“他人”に置いているのではないでしょうか。他者の欲望や期待を自分がコントロールできるという大きな勘違いをしている。人の気持ちを変えることはできません。変えられるのは自分だけです。僕の軸はつねに自分のみです。
―― 金銭的な問題についてはいかがですか?
真子:当時、借金が300万円ぐらいあって、個人保証でした。でも、僕、絶望しないんです、基本的に。辛いことがあればあるほど楽しくなっちゃう人間なんです。1日2日は凹みますが、すぐに立ち直ります。
「仲間に申し訳ないな」とも思ったりします。でも、まあ、仲間の人生は仲間の人生、自分には関係ないと思って、開き直ってしまうんです。それに世の中には、もっと悲惨な目にあっている起業家もたくさんいますから。
自分のやりたいと思ったことをやり切りたい。それだけですね。
・メンバー離散。再スタートから生まれた「TECH::CAMP」
―― その後、TECH::CAMPをスタートされます。
真子:Classが終わり、今度はlogのiOS版を出しました。でもダメで。それで、現状を打開するためのミーティングをしていると、あるメンバーが「俺、辞めようと思ってるんだよね」と言いました。
息できなくなりましたね。「あっ、あっ」みたいな。言葉が出ないんですよ。何を言えばいいのかわからなくて。しかも、彼はキーマンだったので、彼がいなければ何もできません。さらに、隣にいたエンジニアも「実は俺も」と言い出して……。
もう会議どころではありません、しばらくして、今度は共同創業者も辞めると言い出しました。最終的に、一時期10人ぐらいいたメンバーが、僕とインターン生の2人だけになってしまいました。結果的にlogの継続はできなくなりました。
じゃあもうリセットしよう、と。まったく0から事業を作り直そう、と。それで、自分が得意なこととこれから伸びる市場とを勘案して、TECH::CAMPの原案が生まれました。プログラミングを教えるということは、自分がとても得意とすることで、プログラミング学習需要は、これから先伸びていくだろうなと思っていたので。
―― 受講生の数は、順調に伸びていますね。
真子:僕は、過去に受託業務をしていたとき、1人月100万円でエンジニアとして働いていましたが当然負担も大きかったです。でも、TECH::CAMPは最初から1人10万円で、50人申し込みがきたので売上見込としては500万円でした。「こんなに需要があるのか」と驚きましたね。しかも、1人で開発するより負担は少ないですし。
現在は、卒業生をテストした後に育て上げてメンターとして働いてもらうことで、自分が教える必要がありません。。受講生はもともと優秀な人ばかりなので、正社員のリクルーティングにも役立っています。さらに高い実力を身につけた方には、TECH::WORKとして、大きな仕事にも携われる仕組みを整えています。
・ビジョンにあるのはプログラミング教育の未来系
―― 今後のビジョンについてはいかがでしょうか?
真子:この1.5年で受講生の数は3000名を超え、Webエンジニアの教育分野では日本一の会社になりつつあると思っております。次は、就職、働く支援も含めた、エンジニアのプラットフォームをつくることをしていきたいと考えております。もちろん、デザインコースなど、他のコースも盛り上げていくつもりです。
プログラマーは、世界でこれから強く必要とされる職種だと思います。優秀なプログラマーをたくさん輩出できる会社になり、そこを軸に事業展開していきたいですね。もちろん、将来的にはグローバルなサービスにも挑戦していくつもりです。
ところで、学校教育に参入している企業もあるようですが、僕は自分で学校を作っちゃった方が早いと考えています。エンジニアリングと、コンピューターサイエンスと、デザインと、あと論理的思考力とか。そのうち、最強のグローバル人材を養成する学校を作ってみたいですね。
―― TECH::CAMPを大きく育てたあとに、教育事業を広げていく。
真子:そうですね。やっぱり、ベンチャーの戦略は局地戦の一点突破。大企業が入ってこないところで勝負するしかありません。
だからこそ、この1年半は教育の質を高めることに注力してきました。「人材紹介をやるべき」とも言われますが、そうした分野ではなく、教育のクオリティを上げることだけに時間を使ってきました。
とくに重視しているのは「満足度」です。受講者が「来て良かった」と心から思えること。無理やり教えても、「また来たい」と思ってもらえなければ、広がりませんから。事実うちは、受講後満足度は98パーセントで、新規の受講者の3割ほどが受講生の口コミ・紹介経由での受講です。
受講生が増えるごとに、紹介者の数もどんどん増えています。その結果、広告費をかけなくても受講生が増えていく。そういう意味においても、満足度は大事だと思います。
【おまけ企画】起業家の一日ウォッチング
「真子 就有さん」の一日
9時半に出社して夜1時頃まで働いています。起業してから4年間一度も休んだことはないですし、つらいとおもったこともありません。每日、ワクワクしながら働いています。
【起業家プロフィール】株式会社div 真子 就有CEO
1989年生まれ。青山学院大学在籍時代からエンジニアとして複数のITベンチャーに勤務。在学中に起業後、複数のサービスリリースを経験。「サービスを生み出すひとを増やしたい」という想いのもとTECH::CAMPを設立。TECH::CAMPでは開始からこれまでに2000人以上の卒業生を輩出している。2015年11月Forbes誌「注目のUnder30起業家10人」に選出。
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あらゆる産業がソフトウェア化されていくこの世の中で、そのソフトウェアを操る立場であるエンジニアの活躍の場が急激に増えていきます。
国内小中でのプログラミング義務教育化も本格検討開始され、近いうちにプログラミングは特殊スキルではなく標準スキルとなっていきます。未経験から1ヶ月でサービスをつくれるエンジニアになれるTECH::CAMPで、プログラミングスキルを習得し、人生を変える1ヶ月にしましょう。
(編集:山中 勇樹)
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