山中市長の横浜市が予算2億3000万円で「横浜版GoToEat」計画で物議

これで「コロナの専門家」?批判する市議を取材
2021年09月03日 17:00
ライター/SAKISIRU編集部
  • 山中竹春氏が市長に就任した横浜市がコロナ禍の飲食店支援で、“横浜版GoToEat”を計画
  • 横浜市議「GoToはまだ早い」。感染収束見通しの立たない中での懸念続出
  • 2億円余の予算を投じるポイント還元策にも事業効果を疑問視。9月の議会で審議へ

コロナ感染の収束が見通せないなか、横浜市は、就任前からお騒がせ続きの山中竹春新市長のもとで、“横浜版GoToEat”を計画していることが分かった。横浜市議会は9月10日から10月22日まで定例会を開会予定。議会で何について話し合いをするか、横浜市役所から各議員に議案の概要がこのたび配布されたが、早速ツイッターで問題提起した市議に話を聞いた。

井上さくら議員Twitterより

横浜市議「GoToはまだ早い」

議案を受け取った井上さくら議員(無所属)が言う。

議案は市長が議会に対して提出するため、山中市長も議案に目を通しています。山中市長は“コロナの専門家”をアピールしていましたが、コロナ対策補正予算案で唯一の新事業が『横浜版GoToEat』だったのです

議案では「レシートを活用した市内飲食店利用促進事業」として2億3000万円を計上。市内の飲食店で食事をした際にスマホアプリなどを使い、レシート記載の金額の5%を利用者にポイント還元するのだという。

2億3000万円のうち、2億円をポイント還元に使い、残りの3000万円でアプリシステムを作るとのこと。10月〜11月には民間企業などから受託事業者を選定し、12月〜22年2月まで3カ月間実施する計画だ。

コロナ感染の収束が見通せないなか、“飲みに行け、食べに行け”と飲食店の利用を後押しする政策を行なって、大丈夫なのだろうか。昨年、国がGoTo政策を行なった際は、感染者が急増した。

井上議員が言う。

協力金をスムーズに給付するなど、飲食店の支援は必要だと思います。ただ、GoToはまだ早いのではないか。どうしてこんな判断ができるのか、非常に疑問です

菅義偉首相は「10月から11月までの早い時期に、ワクチン接種を希望するすべての方の接種を終えたい」と発言。議案でも外食需要が「ワクチン接種の進展に合わせて高まることが想定される」と書かれている。

諸外国では、ワクチン接種が進んだあとも感染が拡大したケースもある。あまりに安直ではないかと思う

山中氏の就任記者会見ではIR対応や選挙中の疑惑に関する質問が続出(撮影筆者)

40円のためにスマホいじるか?

また、仮に実施したとしても経済効果は薄い可能性がある。5%ポイント還元ということは、800円のランチで40円、5000円の宴会でも250円にしかならない。そのためにチマチマとレシートの写真を撮ったり申請フォームを記入したりと面倒な手続きをするのは、バカバカしいことにならないだろうか。

事業効果は薄いと思います。こういうことに税金を使っている場合ではありません

このままではアプリ開発を請け負った事業者だけがトクすることになりかねない。また、これまでカジノ誘致のために計上されていた「IR推進費」については減額補正を行い、残った予算を無駄遣いさせないよう決めるべきだと井上議員は訴える。

IRは止めると決めたのだから、IR推進室の解散も盛り込むべきでしょう

コロナ対策とIR中止を呼びかけて当選した山中市長。今回の「横浜版GoToEat」を巡っては、ネット上で早くも「コロナ専門家って触れ込みで当選したのにこれでは」と懸念する声が相次いでる。山中氏のデータサイエンティストとしての力量を、早く発揮して欲しいものである。

 

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