ハードモード1年放置神浜を実況プレイ   作:hukinoto

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黒江のドッペルがかっこいいけど不穏なので初投稿です


12:ホオズキ市決戦

夕暮れのホオズキ市。そこに剣戟の音が響き渡る。

 

「想像以上に…強くなりましたわねっ!」

 

「今日こそあなたを殺す。」

 

(おそらく鈴音も調整を受けた!ソウルジェムを守り、生き延びることだけ考えろ!)

 

舞い散る花びら。それを焼き尽くすような業火。刀で切り込むもそれは強大な火に阻まれ、跳ね飛ばされる。ななかが自己流で鍛え上げた技能でも鈴音の力を上回ることはできない。どう見ても鈴音が優勢である。そして鈴音の姿が消えた。

 

(右後ろ!腹部貫通狙いだ!)

 

「はぁっ!」

 

「私の【陽炎】を何度も…!?」

 

刀で鈴音の剣を防ぎ、勢いに任せて飛びのく。

 

蜘蛛の糸は顔面にでもかからない限り気づきにくい。それと同質の糸を霧子は周囲に張り巡らしている。それ自体がセンサー・ビーコンとなり、念話を通して鈴音の詳細な位置がななかに届けられる。それが陽炎を使える鈴音からソウルジェムを守り通せている理由だ。

 

(…もうすぐホオズキ市の魔法少女たちが来る。黒幕も動き出したから俺が助けられるのは一旦ここまで。生き残れよ。)

 

「そこまでよ!スズネ!」

 

「…きたのね。」

 

「スズネ、アンタをここで止める。」

 

「やってみなさい」

 

斬撃波が、槍が、銃弾が、光波が鈴音に降り注ぐ。対して鈴音がとった手段は武器の同時顕現・射出。それらは遥香たちのソウルジェムを撃ち抜く軌道だが――

 

「アリサ!コネクトを!」

 

「わかってる!」

 

「「魅了(アテンション)強化(ブースト)!」」

 

コネクトにより亜里沙の強化を受けた遥香が武器を集中。それらすべてを受け止める。

 

「背中ががら空きですよ!」

 

「エンフォースメント!」

 

背後からは体勢を立て直したななかが、正面からは正確無比の一撃が、同時に鈴音に迫りくる。

 

「――炎舞」

 

より大規模の業火がすべてを薙ぎ払う。特に先ほどから戦っておりダメージの蓄積も多いななかに狙いを定めるがそれはすぐに阻まれる。

 

「させないわよ!」

 

「っく!邪魔な!」

 

願いにより強化された亜里沙の膂力は鈴音を受け止めるのに十分。しかし技のほうは鈴音が一段上。すぐに鎌を受け流して背後に回る。狙いはソウルジェム。

 

「まずは、一人。」

 

「アリサーッ!」

 

注目(アテンション)!」

 

鈴音の注意が否応なしにハルカに向けられ、体勢を立て直したアリサが鈴音の凶刃を阻む。しかし剣の模様が光り、鈴音の姿が掻き消えた。

 

「皆様、気を付けて!自分のソウルジェムを守って!」

 

(チサト、マツリの魔法なら!)

 

「マツリ!?」

 

(マツリ、目が見えるようになることを願ったの!マツリの魔法なら見えないものも見える!)

 

茉莉が千里のもとへ疾走する。それを見逃す鈴音ではない。姿を消しながら切りかかるも

 

「そこっ!」

 

「ありがとう、ナナカ!」

 

「――!」

 

ななかが鈴音を受け止める。鈴音が再び姿を消すが茉莉の手は千里に届いた。魔法陣が顕れる。

 

「見つけた!これで…終わりよ!」

 

「うあああああっ!」

 

茉莉の魔法により鈴音を補足。そして千里の「解除」を込めた一撃。鈴音はたちどころに姿を暴かれ、剣は破砕され光にのまれた。

 

「ぁ…あ…私は…」

 

鈴音はその場にうずくまって動かない

 

「これで…一件落着…かしら?」

 

「何やら苦しそうですが…」

 

「いったいどうしたん…きゃあああ!?」

 

突如亜里沙の背後で魔力の奔流がほとばしる。亜里沙を守るように紫の魔法少女を抑えてるのは白フードの魔法少女。

 

「あ~、あ!おしかった、なぁ!」

 

「え…お姉ちゃん!?」

 

「お姉ちゃん!?どういうことなの、マツリ!?」

 

「カガリ姉ちゃん、どうして、マツリ忘れて!」

 

白いフードが、否、各部の偽装が黒い糸に分解され複数のライフルと化し、それがカガリに対して火を噴く。そして現れた姿は…黒い魔法少女。

 

「なんで覚えているのかなぁ…!」

 

「あなた、死んだはず!?」

 

「キリコ!?」

 

さらにカガリに向けて発砲。距離をとる。想定外の乱入者。しかしカガリの表情は喜悦をたたえていた。

 

「っふ、それよりさ…スズネにかけた魔法、解除しちゃったよね?」

 

「どういうこと?」

 

「私は…取り返しのつかないことを…!」

 

 

 

"二度とこの悲しみを繰り返さないためにすべての魔法少女を殺す。"これが魔法少女殺しの鈴音のルーツ。しかしこの記憶と決意はカガリに捏造されたもの。その魔法がはがれた今、鈴音にのこるのは罪のない魔法少女たちを殺したという十字架。

 

「あ…あああああああああ!」

 

「アンタ、何が目的で!」

 

「え~、復讐だよ。私からツバキを奪ったスズネちゃんに、同じ苦しみを味合わせるために…」

 

「そのために魔法少女を巻き込んで!?…ふざけないでよ!」

 

亜里沙がカガリに攻撃を加えようとする。しかしそれは霧子に届いていた。カガリの魔法は記憶操作。自身の姿を別のだれかに重ねるなぞ朝飯前だ。

 

「何をしている!」

 

「え…!?」

 

カガリは鈴音に近づいていく。最後の一押しをするために。しかし鈴音の前には茉莉が立ちふさがっていた。

 

 

「やめよう、お姉ちゃん。マツリ、こんなの嫌だ。」

 

「マツリも邪魔をするの?コイツはいろんな魔法少女を殺して、何よりツバキを奪ったんだよ?」

 

それ(魔法少女殺し)を仕組んだのはお前だろうが。」

 

いつの間にかカガリのほうが包囲されている。総勢にして5対1。

 

「…へぇ、スズネちゃんをかばうんだ?」

 

「スズネに魔法少女殺しをするように仕向けた。それだけであなたに刃を向ける理由にはなるわ。」

 

「みんなして邪魔するんだ…っふふ」

 

「何がおかしい。」

 

「ホントはスズネちゃんを孤独にして魔女にさせるつもりだったんだけどその私がたった一人なんて、かっこつかないな~って。」

 

カガリの腕に魔力が満ち、四方八方に放出される。似た系統の魔法で魔女を操れるのは前に"飛蝗"を見たときにわかってる。ならばやるだけだ。

 

「魔女の反応だ!あたり一面からくるぞ!」

 

世界が切り替わる。目の前に広がるのは一つの結界に複数の魔女が詰まってるという異常な光景。さらにカガリが言葉を紡ぐ

 

「【私に手を出して?】スズネちゃん。」

 

鈴音がひとりでに立ち上がる。その手をカガリがつかむと魔方陣が表れ、カガリの胸の蝶を模した装飾が燃え上がる。その炎がレイピアに吸い込まれ――一本の刀に変生する。その業の名は【桜花】。かつての椿の切り札は、鈴音を絶望させ殺すために振るわれる。

 

「あっははははは!スズネちゃんのせいでここにいるみんなが死んじゃうんだ!ねぇ、そのまま魔女になっちゃえ!」

 

魔女が襲い掛かる。カガリの姿が消える。一番先に動いたのはななかであった。周囲の魔女を薙ぎ払う。そして茉莉がカガリを補足。いま千里を切り殺さんとしたカガリを抑える。

 

「死なない、死なせないよ!」

 

「どうしてマツリも邪魔をするのかな…あぁ、そういうこと?私からツバキだけじゃなくてマツリも奪うんだぁ…」

 

またカガリの姿が消える。霧子が剣を上段で構える。一瞬の間、霧子が剣を振り下ろし、金属音とともにカガリがその場に現れた。

 

「無駄だよ?」

 

「っ…!」

 

霧子の剣が焼却され、たまらず剣を放棄。即時に大剣を生成してカガリにぶつけて離脱した。カガリの姿はまた消え戦場は混迷を極める。

 

「チサト、解除を!」

 

「わかってます!」

 

千里の魔法によって魔女の操作をはく奪するも魔女はそれぞれの性質に従って暴走を始める。これでは遥香の魅了では対応できない。さらに無軌道に放たれる桜花の炎。数人がかりで防御しなければ即死級のものを防ぐ必要もある。そして先ほどの鈴音との戦闘で千里も亜里沙も魔力が切れかかっていた。このままでは魔女と炎に押され、死または魔女化しかない。しかしここにはまだ魔法少女がいる。

 

「――炎舞」

 

炎の奔流で魔女たちが切り裂かれ、焼き焦がされる。

 

「スズネ!」

 

緑色の風が炎を吹き飛ばし、白銀と蒼の魔法少女が魔女を打ちのめす。

 

「来てくれたようですね。」

 

「ななかさん!浄化を!」

 

「ありがとうございます。」

 

「…こっからが大詰めだな。」

 

カガリが鈴音の前に現れる。

 

「カガリ…あなたはここで…!」

 

私は魔法少女を殺した。けれど、そんな私を茉莉は見捨てなかった。私を救ってくれた大切な人を死なせはしない。この場から逃げるのは無理。そして茉莉たちは私を見捨てようとしないだろう――ならば刺し違えてでも。その決意が今鈴音を立ち上がらせている。

 

「――へぇ、まだ魔女化しないんだ。ならいいよ。私がスズネちゃんを殺してあげる!」

 

「日向カガリ!」

 

双方姿を消し気配を探る。突如何本もの細い炎の柱が立った。その中にカガリの姿が一瞬見えた。

 

「そこっ!」

 

狙いはソウルジェム。剣をたたきこもうとするも、茉莉がその間に立ちふさがる。カガリの桜花はまだ持続している。カガリを抑えている手に炎が広がっていく。

 

「マツリ!離れて、あなたまで死ぬのは!」

 

「違うよ…マツリ、誰も死なせたくない!スズネも、お姉ちゃんも!」

 

「っはは…なんだろうと結末は一つだよ…このままマツリもスズネちゃんも死んじゃうんだから!」

 

カガリが消えるもまだ茉莉は鈴音に呼びかける。

 

「お姉ちゃん、聞こえてるでしょ!」

 

この期に及んでまだ完全な敵であるカガリとの対話を望んでいる。これは愚の骨頂としか言いようがないだろう。けれど茉莉はカガリと同じ環境で育ってきた。その茉莉が、今も攻撃を受けている茉莉があきらめないというのなら。鈴音も殺すしかないと決めつけてはいられない。

 

「マツリ、力を貸して!あなたの魔法でカガリを止める!」

 

「うん!」

 

茉莉と鈴音が手をつなぐ。

 

「ツバキ――」

 

御守りから魔力がほとばしり鈴音の剣が刀に転生する。その魔法は桜花。椿の願いを無為にしないために振るわれる。狙いはソウルジェムではなく、カガリを行動不能にすること。カガリがチャクラムを亜里沙に放たんとしている。猶予はない。

 

「よけて、アリサ!」

 

「ええ!」

 

チャクラムを焼却するために放たれた炎はそれを飲みつつも紫の業炎に阻まれる。

 

「まだよ、桜花!」

 

「ここで殺してあげる――桜花!」

 

鈴が鳴る。魔方陣とともに炎がぶつかり合い、爆炎がまきおこる。爆裂し、カガリが駆けだして――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~side:カガリ~

なんで、なんでなんでなんでなんで!

どうしてこうもうまくいかないの!スズネちゃんは魔女化しないし、魔女たちもよその魔法少女に倒されて行ってるし――

 

あぁ、そうだ。あんなに私と和解できるって信じてるマツリ。ねぇ、その仲間が死んでもおなじこといえるかなぁ?まずは一番厄介なキリコを無力化するためチャクラムを投げる。そしてアリサ。後ろのソウルジェムがら空きだよ?まずはあなたから!

 

「よけて、アリサ!」

 

「ええ!」

 

余計なことを…まぁいいや。当たればいいんだし。そう放たれたチャクラムはスズネちゃんの桜花にのまれた。そっちがその気なら、私も桜花で答えてあげるよ。魔方陣が展開し、炎が巻き起こる。あぁ、なんてキレイな炎なんだろう。ツバキの魔法で直接スズネちゃんを殺せるなら、それもまたいい。

 

爆発が起こる。スズネちゃんはマツリを守るためにかばったのか。全身に熱傷の跡がある。刀もだんだん崩れてきた。それに魔力も少なくなってきてる。けれど数回なら私の魔法を使えるだろう。守ろうとしたマツリが死んだなら、どれほど絶望してくれるだろう!そう思いをはせながら手をかざすも、

 

「させないわよ!」

 

強制的に魔法の向きを変えられ、解除される。あぁまだあいつら生きて、しつこいよ!スズネちゃんも私に迫ってきてる。私をツバキと同じように殺し…いや、殺意は感じられない。私を生かして止めるつもりなんだろう。刀の軌道もソウルジェムには当たらない、峰打ち…なら、やることは一つだ。

 

 

「その甘さでスズネちゃんは死んじゃうんだよ!」

 

刀を弾き飛ばす。刀身はもう半分もないけれど十分!ソウルジェムまであと5センチ、4センチ。スズネちゃんの斬撃が身体を貫くけれど、止まってはいられない。体が裂けていく。それがどうしたの。あぁ、この瞬間をどれほど待ち望んだだろう、スズネちゃんへの復讐を!

 

パキン――

 

硬いものを砕く音とともに、スズネちゃんの(ソウルジェム)が舞い散る。スズネちゃんの変身も溶けて倒れていった。あっけない幕切れだ。体が崩れ落ちる。もう動けないだろう。けど、どうでもいいや。私の復讐は、これで完遂。

 

「あは、あはははははははははは!!やった、やった――!」

 


 

ええ、鈴音を生存・チームみかづき荘入りさせようと思っていたのは本当ですよ?なのですが、まあ、やめました(嘘)―――やめました!(嘘)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宴会のウワサが思ってた以上にとんでもなかったので失踪します

アニメの"アレ"、実装しますか?

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