もしかしたら離婚の危機かも…?離婚する夫婦にみられる4つの特徴
生涯の愛を誓い合った末、ふたりで選んだ結婚。
しかし、令和元年の人口動態統計によると、59万9007組結婚した夫婦がいる一方で、20万8496組以上の夫婦が離婚を選択しています。
[引用元:厚生労働省 令和元年(2019)人口動態統計(確定数)の概況 調べ]
結婚当初は、一緒にいるだけで幸せ!と感じていても、日々の生活を重ねていくうちに、互いの良い部分だけでなく、悪い部分も見えてくるものです。「気が付いたら、夫(妻)と必要最低限の会話しかしない冷え切った夫婦に……」という事態を避けるためには、どうすればよいのでしょうか。
実のところ、多くの離婚相談をうける弁護士から見ると、離婚する夫婦にはある『特徴』があるのです。そこで今回は、離婚する夫婦の行動パターンや、どのような傾向があるのか、さらに離婚後はどのような生活をしているのかなどを、統計情報を交え、詳しく解説します。
1、一番多い「離婚の理由」とは?
おそらく一番気になるのが、離婚を選択した夫婦の離婚理由でしょう。協議離婚の際、提出する離婚届には、離婚する理由を書く欄はありません。よって、一般論から想像するほかないように思えます。しかし、公的機関により「離婚したい理由」をまとめた資料が存在するのです。
それは、家庭裁判所が発行している司法統計です。家庭裁判所では、話し合いで離婚話がまとまらなかった夫婦のために、調停制度を設けています。多くのケースでは離婚を希望する人がこの調停を申し立てるのですが、そのとき、離婚したい理由を、「その他」を含む13個の選択肢から選んで記載しなければならないのです。
ちなみに、調停の申立書に選択肢として掲載されている離婚したい理由は以下のとおりです。
1.性格があわない 2.異性関係 3.暴力をふるう 4.酒を飲みすぎる 5.性的不調和 6.浪費する 7.病気 8.精神的に虐待する 9.家族をすててかえりみない 10.家族との折り合いが悪い 11.同居に応じない 12.生活費を渡さない 13.その他
[引用元:裁判所 司法統計 家事 令和元年度 調べ]
考えられるすべての離婚理由がここに網羅されていることに気づいていただけるのではないでしょうか。
ではさっそく、令和元年度司法統計より、男女別の「離婚したい理由」の上位5位までを見てみましょう。
- 一位 性格があわない
- 二位 その他
- 三位 精神的に虐待する
- 四位 異性関係
- 五位 家族親族との折り合いが悪い
- 一位 性格があわない
- 二位 生活費を渡さない
- 三位 精神的に虐待する
- 四位 暴力をふるう
- 五位 異性関係
男女ともに共通して最も多い離婚したい理由は、「性格があわない」です。ここは誰もが納得できるのではないでしょうか。
しかし、二位からさっそく男女差が現れていて、夫は「その他」という方が多く、「親族との折り合いが悪い」が上位5位に入ってきます。精神的なDVの被害者となっている方も少なくないようです。
一方妻側は、生活費の問題や精神的・肉体的な虐待や暴力が上位に入っていることがわかります。相対的に、女性の場合は生活や精神、命に危険を感じたからこそ、離婚を希望する方が多いのかもしれませんね。
参考:離婚できる5つの理由
2、離婚危機を迎えやすいのは結婚何年目?
一般的に「若い夫婦ほど離婚する」と言われがちですが、実際のところはどうなのでしょうか。婚姻期間と離婚の関係についても、政府統計があります。
平成31年に公開された「我が国の人口動態」には、「同居期間別にみた離婚件数の年次推移」というデータが掲載されています。同居期間とは、結婚から離婚に至るまでの年数と考えてよいでしょう。
平成17年度は、23万組の離婚があったのですが、そのうち最も離婚件数が多い同居期間は、「5年未満」、そして次点は「5年以上10年未満」そして3番目に「20年以上」という結果になっています。
この統計は昭和22年から継続したデータを取っているのですが、平成14年に現在1~2位となっている同居期間「5年未満」と「5年以上10年未満」の離婚数が減少し、同居期間20年以上の数が増加しています。
統計情報から紐解くと、離婚危機はまず、結婚から5年以内に最も高まります。その危機は結婚してから10年未満まで継続し、その後平穏を迎え、結婚20年以降、特に35年以上経過したあたりで再び離婚危機が高まる……といえるでしょう。
3、離婚無料相談の現場で弁護士は見た!離婚する夫婦に共通する特徴4つ
ベリーベスト法律事務所では、離婚・男女問題に関する初回相談を無料(60分まで)で相談することが可能です。その中でご相談者様が仰る内容としては、離婚理由で最も多い「性格があわない」。いわゆる性格の不一致が一番多く、将来を誓い合った夫婦とはいえ、育った家庭環境も違い一人ひとり異なる人間ですから、多かれ少なかれ性格の不一致というものはあるものです。
もちろん「似たもの夫婦だからずっと仲がいい」という方もいらっしゃいます。しかし、「自分と価値観が違うから楽しい」というご夫婦もいらっしゃるのもまた真実で、性格があわないというだけですぐに離婚してしまうわけではありません。
また、「子はかすがい」といわれますが、データ上、子の有無と離婚回避の関係性は見られません。実際に、平成30年は20万8333組の夫婦が離婚していますが、未成年の子がいる夫婦の離婚は全体の57.8%と過半数以上を占めています。
[引用元:政府統計 我が国の人口動態(平成30年度)調べ]
多くのご相談を伺ってきた弁護士という立場から見ると、実のところ、離婚に至ってしまうご夫婦にはとある共通事項があります。それはいったいどんなものなのでしょうか。
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(1)コミュニケーションが足りない
圧倒的に多いのが、コミュニケーションが足りないと思われるケースです。
法律では、第731条から第771条にかけて、婚姻から離婚に至るまで、さまざまな効力や要件を定めています。代表的な一文が「同居、協力及び扶助の義務」を定めた民法第752条でしょう。「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」と明文化されています。
互いに協力するということは、「言わなくてもわかるだろう」と一方的に判断してしまうことではありません。一昔前は「妻が夫の家庭に入ることこそが結婚」と考えられていたようですが、今は違います。全く異なる生活環境で生き、育ってきた者同士が、互いに支え合い、思いやり、ふたりにしかつくれない新たな家庭を築いていくことこそ「結婚」なのです。絆の強い夫婦になるためには、密なコミュニケーションが欠かせないと言ってもよいでしょう。
しかし、離婚してしまう夫婦の場合は、コミュニケーションを取れていないように見受けられるケースがほとんどです。多くの人が長時間労働を強いられているという時代的な背景もあるかもしれませんが、恋人同士だった頃はいかがでしたでしょうか?
互いを理解し合うため、ある程度の時間をかけてきたはずです。
家族になったとはいえ、そもそもが他人同士なのですから、互いの主義主張はもちろん、生活リズムや考え方、物事の捉え方が「違う」ことが当たり前のことです。まずは恋人同士だった頃よりも、「違う」ことを前提にして、密なコミュニケーションを取り、さらに深く理解し合う必要があります。
特に男性は、「言わずとも伝わるはず」と考え、自分が置かれている状況や気持ちなどを言葉にしないことが多いようです。妻に心を許し、甘えているのかもしれませんが、妻はあなたのママではありません。その結果、「釣った魚に餌をやらない」と受け取られても仕方がないような言動をしているケースを数多く目にしてきました。
一方、女性は、要望を具体的に口に出さず「気づいてくれてもいいのに」と考えたり、引っかかることがあってもひたすら我慢を重ねたりした末、爆発してしまうケースが少なくないようです。不満や要望があるのであれば、その場できちんと伝えるべきです。また、伝えるときは、感情を伝えるのではなく、「どうしてほしいのか」を具体的に伝えましょう。思うだけでは伝わらないのです。
コミュニケーションとは、「ふたりなりの家庭を新たに作っていくために、互いに思いやり、協力し合うこと」です。互いのウィークポイントを非難し、傷つけあうことではないことに注意してください。
密なコミュニケーションこそが、離婚を回避し、絆が強い夫婦となるために欠かせない、最大の秘訣であるといえるでしょう。 -
(2)親との親密度が高すぎる
夫婦同士で仲が良く、コミュニケーションを取っていても、互いの親族関係の介入により仲がこじれ、離婚に至ってしまう夫婦は少なくありません。
本来結婚は、夫婦ふたりの問題です。しかし、夫側から離婚を希望するケースでは、離婚事由の上位に「家族親族との折り合いが悪い」が入っていることから、親族との関係性は特に重要視されているポイントであるといえるでしょう。家庭によっては今もなお、嫁という文字のごとく「結婚とは女が家に入るもの」と考えているケースがあるのです。
もちろん、親族同士が仲が良いことは悪いことではありません。しかし、自分の親族ばかりを優先していると、配偶者をないがしろにしてしまう結果になることもあります。
これは、夫だけではなく、妻も自身の親と仲が良すぎるときにも起こり得ます。夫婦となったふたりが家族となるプロセスで最重要事項ともいえる「夫婦はふたりで助け合い協力し合う」ことが、二の次になってしまうためです。
親族が絡んだ何らかの問題が発生したときは、まずは配偶者の声に耳を傾けるべきでしょう。あなたが今、最も大切にしなければならない家族は、親ではなく配偶者なのです。 -
(3)どちらかが相手を見下している
何らかの上下関係ができている夫婦もやはり、離婚に至りやすいように見受けられます。
たとえば、なにか問題が起きたときに「高卒だから」「ひとり親で育ったから」などといわれのない理由をつけて相手を罵ってはいないでしょうか。また、明らかに自分が悪いときに自身を正当化して「相手のせいでそのような行動をした」と主張する……といったやりとりに心当たりはありませんか?子どもや友人、親族の前で相手の悪口を言うケースもここに当てはまります。
本項の「(1)コミュニケーションが足りない」でも述べたとおり、互いに違うところがあるのは当然ですし、人間ですから、得意なこと不得意なことがあって当然です。それをあげつらい、非難し、否定する言葉を一方的に投げつけることは、精神的な暴力であると言ってもよいでしょう。コミュニケーションとはいえません。
よって、日常生活で自然に上下関係ができてしまったような関係の夫婦ほど、どちらかに不満がたまりやすく、離婚に至りやすいと言えるでしょう。 -
(4)双方の経済力が高いか低い
結婚とは、つまり生活です。生活にはお金が必要ですから、お金の問題が引き金となって離婚してしまうケースは多々あります。妻側から離婚を希望した理由で「生活費を渡さない」が2位となるほど、ポピュラーな離婚原因であるともいえます。
特に女性は正社員であっても、男女雇用機会均等法の施行から20年以上経過している今もなお、年間所得は男性に比べて大幅に少なく、共働き世帯でも収入格差があるケースは少なくありません。それでも「共働きだから生活費はいらないだろう」と生活費をもらえなかったというケースも増えています。
また、逆に、妻のほうが収入が多いケースや、夫が無職で働かない、夫の浪費が激しいなどのケースも、離婚しやすい夫婦であるといえるでしょう。コミュニケーションも取れず、家事にも協力しない夫と、生涯を共にする理由はないためです。離婚したほうが生活に困窮する可能性も低くなるため、離婚への決断が早くなります。
かつては、離婚事由として「専業主婦なのに生活費をもらえない」というケースが多くを占めていました。その一方で、経済力がないため、たとえDVを受けていたとしても離婚できない……という方も少なくなかったようです。過去をかえりみると、妻も人間としての尊厳を守るため、経済力をつけておくほうが良いのかもしれません。
4、気になる!離婚してからの生活どうなる?
もし離婚に至ったとして、一般的な女性の「その後の生活」はどうなるのでしょうか。これは、子どもの有無と、もともと就労していたかどうかで大きく異なります。
まず、経済状況は、もともと正規雇用として就労していて、その状態が継続できるのであれば、苦しくともある程度は安定するはずです。しかし、もともと専業主婦だった場合は、就労に苦労する可能性が高くなります。
子どもを引き取った場合は、貧困に陥ってしまうケースが少なくありません。残念ながら母子世帯の貧困率は非常に高く、非正規雇用の場合における平均年間就労収入はたったの125万円という調査結果もあるほどです。
いずれにせよ、お子さんがいる場合は、離婚するときに父親にしっかり養育費を払ってもらえるよう、手続きしたほうが良いでしょう。養育費がいくらになるかは、夫婦の収入状況によりますが、養育費で生活が賄えるほどの金額ではありません。しかし、チリと積もれば山になります。ないよりはずっと安定した生活を送れますし、子の学費の準備もしやすくなります。また、ひとり親家庭支援制度をフル活用することをおすすめします。
ちなみに、婚姻件数は減少傾向があるものの、再婚の件数は年々増加していて、婚姻年齢だけでなく再婚年齢も上昇傾向にあります。もし再び家族を持ちたいと願うのであれば、あきらめずチャレンジするのもひとつの手です。
5、まとめ
今回は、離婚する夫婦の行動パターンやその後の生活についてお送りしました。夫婦愛は不思議なもので、離婚相談中に復縁に至るケースも少なくありません。実際、離婚率は増えているように感じるかもしれませんが、2002年をピークに減少に転じているのです。
残念ながら、夫婦ふたりきりでは解決できない、行き詰まってしまうような問題が起こることもあるのが人生です。
法律に絡んできそうな問題は、こじれてしまう前に弁護士に相談してみるのも一つの手でしょう。法律に絡むかどうか判断できないときは、お住まいの自治体の夫婦問題に関係する相談窓口に相談してみてはいかがでしょうか。
- 所在地
- 〒106-0032 東京都 港区六本木1-8-7 MFPR六本木麻布台ビル11階 (東京オフィス)
- 設立
- 2010年12月16日
- 連絡先
-
[代表電話]03-6234-1585
[ご相談窓口]0120-666-694※代表電話からは法律相談の受付は行っておりません。ご相談窓口よりお問い合わせください。
※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。
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