先週、株式会社divの6周年を記念してオフィスでパーティーを行いました。
今までこういったパーティーをしたことは、ほとんどありませんでした。
まだまだ道半ばなのに、人集めてパーティーするなんてちょっと調子にのってる気がしたからです。
ただ今回はdivを支えてくれた皆さんに直接感謝を伝える機会を作りたいと思って
急遽開催することにしました!
結果的に70名以上の方に集まっていただき開催して本当によかったと思っています。
その時に、私のほうから創業から6年のしくじりランキングを発表したところ
好評だったのでこちらでも紹介します。
第五位 ログトピ事件
創業して最初に作ったサービスは、実名制で自分の好きな映画、本、音楽、漫画などを美しく記録できるlogというサービスでした。
2012年の春にリリースして4日で1万投稿を超えて順調な滑り出しをみせました。
当時はマーク・ザッカーバーグにあこがれていたところもあり、
「マークがソーシャルグラフなら、真子はインタレストグラフで世界を獲る!」
と本気で思っていました。
ただし、このサービスの使われ方は、当時の私たちは望んだものではありませんでした。
私たちとしては、共通の興味でコミュニケーションが起きることを期待していました。
しかし、リリース直後、ほとんどのユーザーはlogを記録サービスとして使っていたのです。
そこで僕達はログトピという共通の興味で繋がってトピックを立てて語りあう機能を追加することを決めました。
「記録サービスとしては成功している...後はコミュニケーションさえ起きれば...勝てる...!!!」
メンバーの誰もが心からこの機能が「詰みの一手」となることを信じて疑いませんでした。
シードで調達した資金のほとんどを食いつぶしながら、私たちは5ヶ月近くかけてログトピを完成させました。
テスト環境にあげて使ってみると驚きました。
「なんだこれ...むちゃくちゃおもしろいやん...勝った...!!!!!」
そして、ついにリリース日。
勝利を確信してプレスリリースも「お待たせしました!」という感じでドヤ顔で出しました。
しかし、初日、あまりログトピは使ってもらえませんでした。
「うん、初日だから仕方ないかな!人が来やすいように自分たちでトピック立てとくか!」
...
...
そして、それがログトピが使われた最後になりました。
言ってる意味が良くわからないかもしれませんが、ログトピはユーザーに全く支持されずその後も誰も使わなかったのです。
滑り散らかしました。
5ヶ月間、絶対にいけるとメンバー全員が確信して作った機能は、「私たちだけ」が使って、そして終わったのです。
ユーザーは別に共通の趣味でネット上で語り合いたいとは思っていなかったのでしょう。
ユーザーに支持されるサービスを作る難しさを痛いほど痛感しました。
ここで、資金は完全にショートして、暗黒の受託開発食いつなぎゾンビフェーズに突入していくのです。
これが第五位のログトピ事件です。
第四位 ◯◯レジデンス事件
三年半前、マンションの一室でTECH::CAMPがスタートしました。
今は、総合的なテクノロジースクールとして展開していますが、最初は
「人生を変える一ヶ月」というコピーで、未経験からオリジナルサービスを作れる技術力を一ヶ月でつけるというコンセプトでした。
運良くこのコンセプトがIT業界のアーリーアダプターの方々に刺さりました。
一ヶ月毎の開催で三ヶ月後には、100人近くの受講生が来るようになりました。
会場は20畳ぐらいのマンションの一室です。
このマンションはご年配の方が多く住んでいて、人の出入りは少ない方でした。
それにも関わらず、私たちがTECH::CAMPを開始してからは、毎日100名を超える受講生が出入りするようになり大変なことになりました。
もちろん、迷惑をかけないように「静かにしてください!」と何度も注意をしていましたけど、完全には防げません。もちろんこんなところでやってる方が悪いです。
ある日、温厚な管理人さんに突然呼び出されて言われました。
「あんたたち何やってるんだ?いきなり知らない人が出入りするようになって高齢者が怯えてるぞ。」
借りていた部屋は窓が広く、外から良く中の様子が見えました。
突然、100人近くの人が出入りして、必死でPCを見つめて作業している姿は
なんらかの集団犯罪と思われていたそうです。
PCを指差しながら、プログラミングを熱心に教えているメンターは犯罪チームの幹部に見えていたのでしょう。
注意されたことに深く反省して、すぐに教室を移転することになりました。
これが高齢者を怯えさせてしまった◯◯レジデンス事件です。
反省しています。
第三位 iOSコース事件
3年前、TECH::CAMPが急成長する中で、次の一手を模索していました
当時は、Webアプリケーション開発のコースのみ提供していて、それだけでも
受講生は増えていました。
これをさらに伸ばすための「詰みの一手」がiOSコースでした。
当時はスマホが急速に普及してアプリビジネス全盛の時代です。
Webアプリケーションだけでこんなに人がくるのだからiOSアプリを作れるコースなんて出してしまったら、大爆発するだろうと確信していました。
取締役の新保が当時50人近くになっていたTECH::CAMPメンターの前で吠えました。
「これまでは、みんなWebアプリケーション開発の技術を磨いてきたと思う、だが、これからiOS開発が出来ないメンターは活躍の場はないと思ってくれ!これからはTECH::CAMPといえばアプリ開発がメインになっていく!」
発破をかけて、メンターたちは必死でiOSアプリ開発を学びました。
iOSのカリキュラム開発も莫大な工数がかかりました。
未経験者にとって、iOS開発の難易度はWebアプリケーション開発よりも高いので分かりやすく教えることに苦労しました。
また、書いている途中で開発ツールのXcodeがバージョンアップしてUIが変わり、カリキュラムの画像を全部差し替えるということもおきました。
半年近くかけてやっとの思いでiOSコースをリリースします。
さて、どうなったでしょう。
もうおわかりですね??
...
...
滑り散らかしました。
iOSコースはWebアプリケーションコースを置き換えるどころから、Webの10分の1しか来ませんでした。
キャンペーンを打ったり、たくさんの施策を打ちました。
しかし、どんなにテコ入れしても10分の1を超えることは出来ませんでした。
ユーザーのインサイトをつかむのは本当に難しいです。
(現在もiOS教材は提供していて、無駄にはなっていません)
番外編 スマブラ事件
創業直後、昼休みに当時のメンバー3〜4人でトランプで大富豪してリフレッシュするのが流行りました。
そして、そこに任天堂Wiiとスマブラが来たことで大変なことになりました。
スマブラにハマりすぎた私たちは、ランチ時に絶叫しながらゲームをしていました。
撃墜されるたびに、
「ぎゃぁあああーーー!!!!きもちぃいいいーーー!!!!」
と奇声を上げてプレイしていました。
その絶叫は当時オフィスが桜丘の上にあったのですが、いつも昼に出勤していたインターン生によると、そのキチガイな絶叫は桜丘の中腹から聞こえていたそうです。
アパートの管理人が飛び込んできて注意されたこともあります。
一応、自己弁護しておくとプレイ時間は30分と決めていたのでそれは破ったことはありません。
ただし、全エネルギーを集中してゲームしていたので、プレイ後は全員廃人のようにグッタリしていました。
そして、ハマりすぎて就業後にも、たまにやるようになりました。
このままではスマブラで会社が潰れると思った自分は顧問をしていただいていた
元マッキンゼーの赤羽さんに相談しました。
「社員がゲームにハマりすぎてるんですけど、どうしたらいいでしょうか?」
...当たり前すぎました。
ゲーム廃人一歩手前だった私たちは
これ以降、社内でのゲームを禁止にしました。
(仲間の名誉のためにいうと、それ以外は土日祝日休みなく1日16時間くらい働いていました)
第二位 社長が暴君すぎた事件
こちらは、今から6年前、創業して1年目の社長、つまり私へのフィードバックです。
「提案した一言目から否定の言葉、自分が正しいという上から目線、次々と論破ととれる発言をかぶせてくる威圧感、笑顔を見せることがなく睨むような目つき、聞く姿勢と譲歩の姿勢ももたないコミュニケーションスタイルが日に二度ほどあり、非常にまずい」
もはや、一息で読み終えることができない。
これ以外にもあります。
こんなに嫌な奴がいるのかというレベルで、ひどいありさまでした。
当時の自分は屁理屈で口が異常に強かったのに加えて
「おれは遠慮なく言いたいこと言うよ?だから、お前も言いたいことハッキリ言えよ!そうやってバチバチしながら良いサービス作っていこうぜ!」
というノリだったのです。
当然、相手は、自分の言いたいことを言う前に、言う気力を無くします。
当時はこのようにリーダーシップ、マネジメントを完全に勘違いしていました。
今は、完全に心改めて、「いかなる場面でも相手が威圧的に感じる態度は取らない」を信条にしています。
今も部下のフィードバックを受けての面談は続けていますが、ここまで書かれることはありません。
粘り強くフィードバックを続けてくれたメンバーに感謝しています。
第一位 Class全員卒業事件
ランキングを作りましたが、正直しくじりレベルではこの事件がぶっちぎりで一位です。
創業2年目、Classという「同い年の男女が一ヶ月限定のクラスをつくってチャットでコミュニケーションする」サービスをリリースしました。
大人になるとフランクに友だちをつくる機会がないなぁ(というか、おれ友だち誰もいないなぁ)
という課題意識から生まれたサービスです。
コンセプトがおもしろいため業界からは注目度の高いサービスでした。
実際、事前登録では1万人近い登録がありました。
KDDIのムゲンラボでは、二位に2倍以上の差をつけてオーディエンス賞をもらいました。
万を持してリリース。
Classは男女5:5でグループをつくるためすぐには始まりません。
Classが開始するまでカウントダウンがありました。
ユーザーはみんなクラスの始まりをとても楽しみにしてくれて、Twitterでも
「あと3日ではじまる!」
「いよいよ!明日だ!」
という期待感に満ちた声にあふれていました。
そして、ついにクラス開始日!
ワクワクしたユーザーがアプリを開くと、次の画面が表示されました。
....
....
お分かりいただけただろうか。
そう、クラスが始まると同時に「卒業」したのです。
これは、iOS側のプログラムが原因のあまりにも致命的すぎるバグでした。
このもはや、笑いを取りに来てるとしか思えないバグに気づいたとき、
私は膝から崩れ落ちました。
Twitterでは
「卒業したーーwwwwww」
と、バグへの怒りを通り越して、もはや笑いになっていました。
本気でやっている私たちは当然、まったく笑うことができませんでした。
AppStoreは☆1の嵐。
レビューが怖くて怖くて読むことができません。
インターン生に代わりに読んでもらって起きているバグ等だけ報告してもらいました。
結局、Classはリリースから三ヶ月で終了を決意しました。
しくじりを乗り越えて
私たちのしくじりはこれだけではありません。
ここでは語れないようなもっとヤバイしくじりもあります。
でも、振り返って思うのは、しくじりは、私たちが逃げずに挑戦した証で「誇り」だということです。
馬鹿で、無知で突き進んで、たくさん怪我をしました。
傷だらけになっても、なにくそと立ち上がり前を向き続けました。
振り返って笑い話にできるのは、「本気でやった」からです。
自分たちの全力でずっこけたので、後悔は一切ありません。
そして、転ぶたびに、少しずつ転ばない方法を学んでいきました。
それを繰り返して、今は運が良いことに順調に事業は成長しています。
10周年のときは、しくじりランキングがもっと面白くなっているように
「本気の挑戦」を続けていきたいとおもいます。