渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

不死鳥

2021年05月09日 | open
(刺繍デザイン原画:私)
 
アニメ作品『巨人の星』には、星一徹
が言うセリフと概念にやたらと不死鳥
が出て来る。
しかし、「不死鳥」という日本語訳は
どうにもピンと来ない面もある。
それは、一度死んでも復活する霊鳥を
いうからだ。
一度でも死ねばそれは不死ではない。
死んでからの復活をするのだから、
「復活鳥」としなければならないところ、
「不死鳥」とする。
フェニックスと鳳凰は厳密には概念は
異なるが、元来は同じ質性の概念から
分岐したものではなかろうか。
説においても様々な説がある。
鳳凰は日本の紙幣にも描かれている
精霊の霊長たる生き物だ。飛べるが
鳥だけの身体ではない。

不死鳥=フェニックスを「火の鳥」と
して描いた手塚治虫の漫画『火の鳥』
は、不老不死の永遠の命を持っている
のだが、やがては火の中に身を投じ、
新たな小さな火の鳥が飛び立ち、また
永遠の命を伝える、という設定だ。
死者蘇生と捉える場合、古代大君=

天皇と同族の岩船に乗るアマツカミの
一族ながら、
やがてヤマトにより排除
されていったいにしえの古代日本の
実務の実効支配者だった物部氏の
呪文
である有名な言質を思い起こす。
 「一二三四五六七八九十
 布瑠部由良由良止布瑠部
 (ひふみよ 
いむなやこと 
 ふるべ ゆらゆらと
ふるべ)」
というものがそれだ。ヒフミとは日文の
事である。大和の言霊ともいえる。
モノノフの語源は物部だとされている。
古代日本では聖的部分を司ったのが

今の皇室の祖先であり、国の実務を
実効支配したのが物部氏だった。
物部氏は平城京への遷都に伴い、

藤原氏によって徹底的に吉備族と共に
中央から排除
されて行った。

『巨人の星』シリーズでいわれる星
一徹の言う「不死鳥」は、失意と絶望
のどん底からでも這い上がって、やが
て天を目指す人間の魂の崇高さに喩え
て言うケースがほとんどだ。
人にとって大切な不撓不屈と最後まで
諦めない心、力及ばずして倒れる事は
辞さないが、力尽くさずして挫ける事
を拒否する事の大切さを説くものだ。
それが星一徹の言う「不死鳥」の魂。




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