盲導犬との暮らし知って 下関の子どもら、利用者と交流

貞松慎二郎
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 盲導犬は引退したらどうなるの? そんな疑問に答え、盲導犬への理解を深める活動を今月、山口県下関市のボーイスカウト下関第11団が実施した。現役犬、リタイア犬と生活する2組の夫婦と交流。参加者は、引退後も盲導犬らしさを失わない姿に驚き、盲導犬との接し方を学んだ。

 深坂(みさか)自然の森であった集会に幼稚園から中学生までの子どもと指導者ら二十数人が参加。盲導犬ユーザーの高松瑞恵さん(65)と夫の秀生さん(65)が「ジーナ」から「ユキ」へと、バトンをつないだ盲導犬との暮らしを語った。

 網膜色素変性症を患い、次第に視力が低下していった瑞恵さん。ジーナと過ごしたのは8年余り。強い絆で結ばれ、「周南冬のツリーまつり」では人混みの中をぶつかることなく導いてくれた。盲導犬は10歳前後で引退する。別れが近づき、引き続き会いたい時に会えることを望んだ瑞恵さん。下関第11団の団委員長をしている湖南(こなみ)千代美さん(52)を介して、市内の平床(ひらとこ)艶子さん(66)が家族ぐるみで飼育ボランティアになった。

 引退後も毎月1回、ジーナを動物病院に連れて行き、健康管理を怠らない平床さん。一緒に暮らすようになって「世界が広がった」と言う。13歳になったジーナはこの日の集会でも、尻の部分に取り付けたポリ袋の中に排便。屋外で、ユキと元気良く走り回り、「オン」と「オフ」を切り替える盲導犬らしさをのぞかせた。

 盲導犬と出会った時の「四つのお願い」として高松さん夫妻が強調したのは①名前を呼ばないで②勝手に触らないで③目をじっと見ないで④食べ物を与えないで、ということ。集中力を切らさないためという。湖南さんは「困っている人を見かけたら、声を掛けることができるように」と子どもたちに呼びかけた。貞松慎二郎