【ポトマック通信】プロレスをなめるな、トランプ氏の技違うでしょう 

頭部に米CNNテレビのロゴが重ねられた人物をトランプ米大統領が攻撃する映像(本人のツイッターから)

 プロレスファンとして、どうしても書き留めておきたいことがある。

 今月初め、トランプ米大統領はツイッターに、自身が出場したプロレス興行のテレビ中継に加工が施された映像を投稿した。CNNテレビのロゴが顔に重ねられた男性をトランプ氏が殴り倒すというものだ。

 トランプ氏がこのような映像を投稿したことの是非は、この際どうでもいい。問題としたいのは、同氏が男性にかけたプロレス技について、CNNをはじめとする主要メディアがおしなべて「ボディースラム」と表現していたことだ。

 ボディースラムとは、片腕を相手の股間から差し入れるようにして体をつかみ、もう片方の腕を相手の首元に回した上で抱え上げ、相手を背中から投げ落とすというものだ。

 しかし、実際にトランプ氏が繰り出したのは、左腕を水平に伸ばして相手の首元にたたきつける「ラリアット」という技だった。

 日米のメディアでは、トランプ氏の演説や政治手法をプロレスと結びつけて論じる報道を時折見かける。しかし残念ながら、書いた記者に知識がないか、プロレスを一等下にでもみているのか、的外れな内容も少なくないのが実情だ。

 プロレスを絡めて報じるのなら、せめて技の名前くらいは正確な呼称を心がけてほしい。(黒瀬悦成)