特集 日本の農林水産物・食品の輸出拡大に向けて ニッポンの食材、おいしいね!(4)
親日家のノースさんがナビゲート! 世界に届け日本食材!加速するその戦略とは…
日本の食材の魅力を世界の人々に知らせ、どんどん輸入してもらうための取り組みが進んでいます。 その4つのポイントをご紹介します! |
ボクが
ナビゲーター |
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親日家の ノースさん 日本の食や食文化にとても詳しい外国人 |
戦略1 日本食・食文化の普及 人気ナンバー1!日本食の魅力を発信
世界中で愛される日本の食・食文化
2013年に「和食」がユネスコの無形文化遺産に登録されたことを受け、日本食が一大ブームとなっています。今や海外の日本食レストラン数は推計で約5万5000店舗。JETRO(日本貿易振興機構)の調査でも、「好きな外国料理」の1位に日本食、「外国人観光客が訪日前に期待すること」の1位に食事が挙がるほど、世界中から注目を集めています。
一方で、高い人気にもかかわらず、それが日本食材の輸出に結びついていないのが現状です。農林水産省では、日本食・食文化の魅力を正しく普及させるため、大臣によるトップセールスや海外メディアを通じた情報発信、海外のトップシェフによる日本食関連のイベントなどを展開。日本食材の輸出拡大への取り組みを推進しています。
日本食はダントツの人気! |
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日本食・食文化のPRイベントを実施 |
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和食のコンペティションを開催 |
世界のトップシェフも参加 |
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戦略2 市場獲得 合言葉は「FBI」。目指すは輸出額1兆円!
世界へ打って出る日本の”攻め”の戦略!
人口減少などにより、日本国内のマーケットは縮小が見込まれる一方で、世界の「食市場」は、2009年の340兆円から20年には680兆円と倍増が予想され、特に中国やインドなどを含むアジア全体では、約3倍の増加が見込まれています。つまり、これからの日本の農林水産業の成長は、いかに世界の食市場で存在感を発揮するかがポイントになるわけです。
そこで農林水産省が打ち出したのが「FBI戦略」です。世界的に拡大する食市場を獲得するため、(1)世界の料理界で日本食材の活用を推進する「F=Made FROM Japan」、(2)日本の食文化や食産業を海外展開する「B=Made BY Japan」、(3)日本の農林水産物・食品の輸出を増やす「I=Made IN Japan」――の3つの取り組みで世界に攻めていきます。
14年の日本の農林水産物・食品の輸出額は6117億円でしたが、これを武器に20年に1兆円、30年には5兆円に増額させることが目標です。
FBI戦略で世界の食市場を獲得 |
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日本食材と世界の料理界とのコラボレーション B (Made BY Japan) ビジネス環境の整備、人材育成、出資による支援 I (Made IN Japan) 国別・品目別の輸出戦略の実行 |
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オールジャパンで食文化の普及や輸出体制の整備などを行い、世界の食市場で日本の存在感を高めるための取り組みが「FBI戦略」です。日本食の普及を行う人材の育成やビジネス環境の整備、メディアの効果的な活用などについても、各省が連携して進めていきます。 |
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農林水産物・食品の輸出額を2020年までに1兆円規模へ!
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戦略3 ブランド化 国のお墨付き!”ブランド食材”で差別化
日本の誇るブランド食材を自信を持って世界へ
世界の食市場で認知されるために重要なのが、食材の信頼性。ブランド価値を持った食材を、認め、守りながら世界に広める取り組みとして、「地理的表示保護制度」がスタートします。
これは、地域ならではの気候や、長年育まれた特別な生産方法で高い品質と評価を得ている地域のブランド産品を、地域共有の財産として保護することを目的とした制度です。6月の運用開始に先立ち、登録を受けた産品に貼られる登録標章(GIマーク)のデザインが決定。日本らしさが感じられる日輪と富士山がモチーフで、日本の地理的表示保護制度の象徴となるマークです。生産者が組織する団体が申請を行い、農林水産大臣の審査を経て地理的表示として登録されると、マークの使用が認められます。
地域ブランドが保護・活用されることで、日本産食材の差別化、高付加価値化が図られ、生産者にとっては利益の向上に、消費者にとっては品質保証などのメリットがあります。
登録標章「GIマーク」のデザインが決定! |
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大きな日輪を背負った富士山と水面をモチーフに、国旗の赤や伝統・格式を感じる金色を使用。日本らしさを表現したデザインになっています。 |
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世界100カ国以上で保護 地理的表示保護制度は国際的に広く認知されていて、100カ国以上で導入されています。EUのPDO(原産地呼称保護)やPGI(地理的表示保護)がその一例です。
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イタリアのアレサンドロさん プロシュート・ディ・パルマ(イタリア) プロシュートとはイタリア語で生ハムのこと。アペニン山脈からの乾燥した風を利用した伝統的な製法でイタリア・パルマ地方の丘陵付近で生産された生ハムのみが、「プロシュート・ディ・パルマ」として認可されるよ。 |
フランスのミシェルさん カマンベール・ドゥ・ノルマンディー(フランス) 表面が薄い白カビの層で覆われた、なめらかでどっしりとしたチーズ。フランスのノルマン地方で飼育されたノルマンディー種の牛の生乳を、50%以上使用したもの。伝統的な製法で作られているのよ。 |
イタリアのマリオさん メラ・アルト・アディージェ(イタリア) 温度差が大きく乾燥し、日照時間の長いイタリア北東部アルト・アディージェ地方の気候と肥沃な土地が生み出したりんご、「メラ・アルト・アディージェ」。強い芳香が特徴で、カラーによって種類が区分されるんだ。 |
イギリスのエリックさん スコティッシュ・ファームド・サーモン(イギリス) スコットランドの西海岸はスコティッシュ・ファームド・サーモン(大西洋サケ)の養殖に最適な入江。150年以上にわたって養殖技術の改良を行い、身が引き締まって味の一貫性を保ったサーモンを生産しているんだよ。 |
戦略4 情報発信 「安心」で「奥深い」。日本の食を世界へ
正しい情報を諸外国へ英文の情報サイトも開設
2011年の東日本大震災に伴う原子力発電所の事故の影響で、4年以上経った現在でも、12カ国が輸入停止措置を続けているなど、諸外国では日本の農林水産物・食品に対する輸入規制が続いています。
農林水産省では、関係省庁と連携して、検査データの正確な情報提供や状況説明を展開。それと同時に、諸外国に対して科学的な根拠に基づいた対応を要請し、輸入規制措置の撤廃や緩和を実現してきました。
また、近年ではカレー、ラーメン、丼ものなど、国内で日常的に食されている日本食が、海外でも人気を集めています。そこで農林水産省では、こうした代表的な日本食から、伝統的な食文化や食材、食の安全確保に至るまでの幅広い情報をまとめた英文のポータルサイトを、今年3月下旬に開設しました。写真を多用し、日本に住む外国の方からも協力を得ながら、日本食・食文化の魅力を分かりやすく発信しています。
輸入規制撤廃・緩和への取り組み
大臣が自ら諸外国と直接交渉 政府は首脳会議や国際会議などの機会を捉えて、諸外国に対して科学的根拠に基づいた対応の要請や、検査の状況やデータなどの情報提供を行っています。さらに農林水産大臣をはじめとした閣僚が主要国を訪問し、直接働きかけを行っています。 |
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メディアやイベントを活用した日本食材の安全や魅力を訴える情報発信や、政府が一丸となった働きかけの結果、原発事故に伴って実施された諸外国における輸入規制は、緩和・撤廃される方向に進んでいます。 |
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日本の食に関する英語版ポータルサイトを開設! |
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写真提供/キュイジーヌ[s] ミッシェル・トロワグロ、パティスリー・サダハル・アオキ・パリ、シダックス