赤い公園によってロックシーンとアイドルシーンが繋がったことも重要だ。2017年にボーカルの佐藤千明が脱退した後、新ボーカルとして元アイドルネッサンスの石野理子が加入して活動を再開させた。
日本のロックバンドでボーカルが変更されて活動を続けることは珍しい。しかも二人はタイプが全く違うボーカリスト。パワフルで力強いボーカルの佐藤に対して、石野は繊細で透き通ったな声質。そして石野は元アイドル。ファンの間でも不安を持っている人もいた。
しかし新体制になって最初に発表された『消えない』という曲で、ファンの不安を打ち消して期待に変えてしまった。
今までと変わらない赤い公園の個性が詰まった演奏に、石野の真っ直ぐなボーカルが乗っかる。〈こんなところで消えない 消さない〉という歌詞は、何があってもバンドを続けて良い音楽を作り続けるという決意表明にも思えた。
アイドルネッサンスというアイドルグループの元メンバーである石野の加入は、アイドルファンにも注目されていた。アイドルが卒業や解散によって活動の場がなくなってしまったとき、セカンドキャリアとしてどのように活動するのかは、アイドル業界にとっても重要な課題である。女優やタレントになる元アイドルは多いが、メジャーのロックバンドに新メンバーとして加入することは前代未聞だ。
それでも石野はバンドのフロントマンとして堂々とステージに立ち、バンドは石野を支えるように力強い演奏を続けた。バンドに加入して成功するという新しいアイドルのセカンドキャリアの形を赤い公園は作り出し、それがしっかりと成立することを示したのだ。
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