アメリカの起業家、実業家で工業デザイナー。「Apple」の共同設立者の一人でもあるスティーブ・ジョブズ。そんな彼と働いていて、一番印象に残っていることとは何なのだろうか。
Q&Aサイト「Quora」のスレッドの中では、実際にスティーブ氏と働いた経験のある回答者が、当時のことについて語ってくれている。Business Insider Japanでは、それらの回答の一部をQuoraの協力を得てまとめた。
回答は、シリコンバレーの投資家でブランドエバンジェリストのガイ・カワサキ(Guy Kawasaki)氏が答えたものを編集した。
ある日、スティーブ・ジョブズが知らない男と私の作業スペースに現れた。スティーブはその人物を紹介することもなく、私にこう尋ねた。
「Knowareという会社をどう思う?」
私は、その会社の製品はたいした特徴もなく、退屈かつ単純化されすぎで、マッキントッシュにとって戦略的に得られるものは何もない。その会社は私たちにはどうでもいいと言った。私が悪態をついた後、スティーブが言った。
「紹介させてほしい、Knowareの最高経営責任者であるArchie McGill氏だ」
ありがとう、スティーブ。
ここで重要なのは、私がスティーブのIQテストに合格したことだ。もし私がくだらないソフトウェアについて聞こえのいいことを言っていたら、スティーブは私を無能とみなし、私のキャリアの妨げとなるか終わりとなっていただろう。
スティーブ・ジョブズの下で働くのは簡単ではなかったし、楽しくもなかった。彼は優れた仕事を要求し、常に全力を出すことを求めていた。そうでないと、すぐクビになるだろう。でも、彼のために働いた経験は、今までのどんな仕事にも代えがたいものだった。
この経験から私は、真実を話し、結果についてはあまり心配するべきではないことを学んだ。その理由は下記の通りだ。
1. 真実を話すことは、人間性と知性が問われる。強くなければ、真実を伝えられないし、知的でなければ、真実を認識することはできない。
2. 人々は真実を切望している。つまり、好意的な姿勢のためだけに、「あなたのプロダクトは素晴らしい」と伝えるだけでは、プロダクトを改善する助けにはならない。
3. 真実は1つだけだ。正直であれば、一貫性を保つのが簡単だ。嘘をつくと、自分の言ったことを覚えておく必要がある。
[原文:スティーブ・ジョブズと一緒に仕事をしていて一番印象に残ったことは何ですか?/What is your most memorable experience working with Steve Jobs?]
(翻訳・編集:西山里緒、柳瀬綺乃)