所持金0円で「カツ丼5杯分」の大食いチャレンジ失敗…逃走した男逮捕、店長「許せません」
成功率わずか3.3%の大食いチャレンジに失敗し、代金を支払わないまま店から去った男性が詐欺罪で逮捕された。
実際は、所持金0円だったという。
この店は、ブログや動画で取り上げられる機会も多い、知る人ぞ知る「デカ盛りグルメ」の提供店だ。店長は取材に「許せません」と語った。
●1450人が敗れ去った「バカツ丼」
山陰放送のネット記事(8月17日)によると、島根県出雲市の飲食店で、8月8日午後7時半ころ、大盛りのカツ丼を食べる企画に挑み、失敗した男性が、「車から財布を取ってくる」と従業員に伝えたまま戻らず、代金3000円を支払わなかった。
男性は17日に詐欺の疑いで逮捕され、「間違いありません」と容疑を認めているという。
食い逃げ被害にあった「まねき姫原店」の店長が同18日、弁護士ドットコムニュースの取材に被害の実態を語った。
店内のポスター
まず、この大食い企画は、通常のカツ丼5杯分の量に相当する「バカツ丼」を30分以内に完食するチャレンジだ。
成功したら賞金1万円をもらえるが、失敗すれば3000円の代金を支払わなければならない。
これまで約1500人が挑戦し、なしとげたのは約50人しかいないという。
挑戦には「同意書」への記載がもとめられ、「成功したことがあるかた、体調不良のかたは参加できません」などの項目を確認のうえ、サインをする。
逮捕された男性も、本名と住所を書いて挑戦したが、バカツ丼の前になすすべもなく、時間内に食べきることができなかった。
バカツ丼挑戦者が書く同意書
●食べきれなかったカツ丼を持ち帰り容器に詰めさせていた
「残りを持ち帰り用に詰めて、お会計するはずでしたが、車に財布があると言って外に出たまま戻りませんでした」(店長)
男性は来店時、お金を1円も持ち合わせていなかった。最初から無銭飲食する気だったのだろうか。
「成功するからお金がなくても大丈夫と考えたのかもしれないし、最初から無銭飲食のつもりだったのかもしれない。それはわかりません」(店長)
●食い逃げ被害はうちの店だけで終わってくれたらいい
警察からは、お金は戻ってこないだろうと言われているという。
「気持ちとしては許せませんが、他店でも食い逃げをする可能性もあるので、被害がうちの店だけでとどまってくれたらと思っています。
また、本来はお客様が店外に財布を取りに出る場合、身分証や携帯電話を預かるという対応をしています。今回はたまたま新人の従業員だったので、徹底できませんでした。そこは店の落ち度もあったと思います」(店長)
法的には、「チャレンジに絶対成功するから無銭飲食になることはない」と思っていたのであれば、注文時点では詐欺罪(246条1項)の故意が認められない可能性はあるが、チャレンジに失敗したら無銭飲食になるがそれでも構わないと思って注文したのであれば、詐欺罪(同1項)の成立が考えられる。
ただし、チャレンジに失敗し、無銭飲食になることがはっきりした後に、「財布を取ってくる」などと従業員に嘘をついて店を出て、そのまま戻らず支払いを免れたのであれば、詐欺罪(246条2項)が成立する。
今回のケースのように、「車から財布を取ってくる」といってそのまま戻らず支払いを免れたのであれば、たとえ無銭飲食について事前に本人がどのように認識していたとしても、詐欺罪が成立するだろう。
詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役と決して軽いものではなく、「たかが食い逃げ」と軽んじることはできない。
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