ドラマ「キイハンター」や映画「柳生一族の陰謀」などで知られ、ハリウッドでも活躍した俳優千葉真一(ちば・しんいち)さん(本名前田禎穂=まえだ・さだほ)が19日午後5時26分、新型コロナウイルス感染症のため千葉県君津市の病院で亡くなった。82歳。葬儀・告別式は近親者で行う。元妻は女優の故野際陽子さん。
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所属事務所によると千葉さんは7月末に新型コロナに感染。しばらく入院せず療養していたが、その後肺炎の症状が悪化し、8月8日に入院したという。酸素吸入を続けるなど治療したが、回復に至らなかった。関係者によると、ワクチンは接種していなかったという。亡くなる直前は意識はなく、話すこともできない状態だったという。
次男で俳優真栄田郷敦も病院に駆けつけたが、最期をみとることはできなかったという。真栄田は「一方的な約束をしてきました。それを守るだけです」とコメントした。長男の俳優新田真剣佑は渡米中でみとることができなかった。
千葉さんの座右の銘は「肉体は永遠の言葉である」だった。日本を代表するアクションスターで80歳を超えてなお、トレーニングを欠かさなかった。
昨年12月「文化庁長官表彰」の授賞式に出席した時も背筋をピンと伸ばし、81歳(当時)とは思えない肌つやだった。髪は真っ白で、染めるのをやめたと明かし「コロナのせいもあって仕事が途絶えたので、本当の姿に戻りました。今はアトリエを作って、油絵を描いたり好きなことをしています」と話した。今後の仕事について「海外の人たちと、考えていることがある。残された人生でやりたいものの準備のために、体を鍛え直しているところです」と精力的に語っていた。
体操で五輪出場を目指し日体大に入学したが腰を負傷し中退。学生時代に基盤ができた肉体を武器に俳優の道を志した。大山倍達氏が創設した極真会館の前身で、伝説的な最強空手家が集まっていた大山道場時代から空手で鍛え黒帯を取得。体力には自信を持っていたが、新型コロナとの厳しい闘いを強いられた。
国内外で千葉さんの影響、功績は大きい。70年にジャパン・アクション・クラブ(JAC)を設立、真田広之、志穂美悦子、堤真一ら多くの俳優が育った。千葉さんのアクション映画は海外でも人気。Sonny Chiba(サニー・チバ)の名前で認知され、のちに自身も海外ではJJ Sonny Chibaと名乗った。クエンティン・タランティーノ監督が大ファンで、同監督の「キル・ビル」に出演し、主演のユマ・サーマンにアクション指導も行った。
70年代半ばから当時の妻野際陽子さんと「ジャワカレー」のCMに出演し話題に。近年も14年、NHK BSプレミアムの主演ドラマ「おわこんTV」のようなコメディータッチの軽い芝居も魅力的で、年を重ねて一層輝きを見せていた。