27日から東京・渋谷で始まった、予約がいらないワクチン接種に若者が殺到した。

28日からは、抽選券を配布することになった。

ワクチンを敬遠していたはずの若者が、なぜ並んだのか。
取材すると、そのわけが見えてきた。

渋谷の接種会場では、午前10時ごろ、多くの人が集まっていて、整理券が配られているとみられる。

27日朝の東京・渋谷にできた大行列。
いつから並んでいたのか。

20代・30代カップル「(午前)4時半くらいですね」

親子「(午前)6時前後から」

若者向けに27日に開設された、予約不要の接種会場。

都内に住むか、通勤・通学している16歳から39歳を対象に、月曜日などを除くほぼ毎日、予約なしで、ファイザー製ワクチンの接種が受けられる。

専門学校生「(何時に来た?)午前7時20分。思ったより並んでてビックリした」

接種開始は、正午から。

ところが、26日午後11時半から並ぶ人が現れ、27日早朝にはレジャーシートや、いすを並べる人たちなどで長蛇の列ができた。

その結果、1日200人としていた当初の上限を300人に引き上げたものの、午前7時半時点で定員に達し、受け付けは接種開始4時間半前に打ち切られた。

開始初日の想定外の事態に、現場は混乱。

都のスタッフ「ワクチン接種の方ですか?」

母親「もういっぱいだって、そっか...」

ある親子は、近くのホテルに宿泊してまで、27日の接種に備えてきたという。

接種を受けられなかった・娘の母親「こんなに早くいっぱいになっちゃうと思ってなかったので。全然予約取れなくて、地元で。あしたもあさっても来ようと思います」

その後も、会場周辺には、接種希望者が続々と訪れた。

接種を受けられなかった学生(20代)「平日なかなか学校休んだりしていけないので、あしたどうしよう、ちょっと考えます」

そして、来た人たちがスタッフに詰め寄っている姿が見られた。

「8時くらいから並んでる方がいたってことは、(整理券配布が)朝の何時くらいからって知ってた方がいたってことですよね?」、「ギリギリだから、こういうことになるんじゃねえのかよ!!」などの声が聞かれた。

接種を受けられないと知った人が抗議する場面が、たびたび見られた。

接種を受けられなかった会社員(30代)「予約なしでできるっていうのが、この接種会場の醍醐味(だいごみ)だったのに、それすらもないじゃないですか!」

混乱と緊張の中、午前9時ごろには、整理券の配布が前倒しでスタート。

27日の都心の気温は、午前の時点で34.1度。

猛暑日に迫る危険な暑さをしのごうと、携帯扇風機などを手に並ぶ人も多く見られた。

そして正午、接種開始時刻となり、若者たちが会場へ。

1回目のワクチンを打った直後の心境を聞いた。

1回目のワクチンを接種・足立区から来た男性(22)「ホッとしてますね、やっと打てたので。身内もおばあちゃん・おじいちゃんにうつしたくないので、自分が一番うつる人間なのかなと思って(打った)」

1回目のワクチンを接種・高校2年生「少しずつ効いてきて、ちょっとずつ安心できていくのかなと思う」

ワクチン接種には消極的とされてきた若者たちが、開設初日から作った大行列。

横浜から来た女性(20代)「(予約の)サイトにつながらなかったり、電話もつながらなかったりしてるので、(打ちたくても)打てないのは大いにあると思います」

混乱も生じた渋谷の接種会場について、小池都知事は、「『密』でしたよね、工夫してほしいですね、現場で。何よりもワクチンを打ちたいという若い方々がたくさんいらっしゃるわけですから、渋谷のみならず、大規模接種会場に予約システムがありますので、それを有効に活用していただければと思います」と評した。

東京都は、渋谷の接種会場について、28日は、午前9時から午前10時半までの間に抽選券を配布。

午前11時半に、抽選結果をLINEとツイッターで発表することを明らかにした。

しかし、予約いらずが売りだった渋谷会場に、当たり外れのある抽選方式が導入されることについては、「毎日毎日来ないといけないっていうのは難しいと思いますけどね。そういう時代になったのかなと思います」といった声も聞かれた。

東京都では27日、新たに4,227人の感染を確認。

一方、接種の対象外で“ワクチン空白世代”となっているのが、12歳未満の小学生たち。

夏休みが明けたばかりの小学校の感染対策は、どうなっているのか。

4年生のクラスでは、タブレットを使った授業が行われている。

教室は、しっかりと換気がされるなど、感染症対策がとられている。

教室に入る際には、必ずアルコール消毒。

登校時には、自宅で体温と体調を記入したカードを提出する。

これを忘れると、保健室で健康観察を受けなければならない。

教員のほぼ半数が、2回のワクチン接種を終えているという、江戸川区立第四葛西小学校。

夏休み期間中に全国で急増した子どもの感染を警戒し、感染対策を徹底していた。

給食の時間になると、「静かに食べましょう」というアナウンスが流れて、皆はしっかりと守って、静かに食事を楽しんでいる。

給食では、会話をしない黙食に加え、パンも素手でつかまず、紙でくるんで、上手に食べている。

さらに大変なのが、給食を食べるまでの準備。

まず、手洗いと消毒を済ませ、少人数で距離を保ちながら、配膳の列に並ぶ。

こうして、10分以上かかって、やっと全員の机に給食が並んだ。

そして、マスクを袋にしまって、ようやく食べ始める。

教育現場の闘いは続く。

1年生の担任教師「子どもたちの勉強とかの機会を保障しながら、どうやって命とか安全を守っていくか。より気を引き締めていかなければならない」

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