今回はちょっと志向を変えて、ビールメーカーが居酒屋さんなど飲食店でハイボールを提供する2つのスコッチウイスキーを飲み比べようと思います。

ビールメーカーとウイスキーの銘柄の関係

すべてのお店がそうだとは言えませんが、居酒屋などの飲食店でビールメーカーと契約してビールを提供する場合、ハイボールを提供する上で使われるウイスキーは、そのメーカー(またはグループ会社)が自前で製造している銘柄を買うことになります。

しかしそれを提供できるのはサントリーとアサヒ(ニッカウヰスキーを傘下に収める)しかありません。
サントリーは角瓶、トリスの他、ビームサントリーのブランドであるジムビームを提供し、アサヒはブラックニッカクリアを提供しています。

一方でキリンは自社のウイスキーではなく、輸入元として販売するホワイトホース ファインオールドを、サッポロビールはバカルディ社と提携してデュワーズ ホワイトラベルを提供しています。
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ホワイトホース ファインオールド

キリンは自前でもウイスキーを製造、販売をしていますが、キリンビールを置く居酒屋さんなどに提供しているのは、同社が輸入しているホワイトホース ファインオールドです。

キリンよりも上にいるサントリー、ニッカ(親会社はアサヒビール)に比べると、ウイスキーの生産は潤沢というわけではなく、自前のウイスキーをハイボール用に提供してしまうと簡単に枯渇する恐れがあるのかも知れません。

ホワイトホースそのものは数十年前から日本で輸入販売されていて、メジャーなウイスキーの一つに挙げられます。
当初はジャーディン ワインズ・アンド・スピリッツ社(現:モエ・ヘネシー・ディアジオ)が輸入販売していましたが、2009年でキリングループへ輸入元に変わりました。

キリンはなかなかハイボール向けのウイスキー提供で後れを取っていましたが、2018年から、ホワイトホースをハイボール向けのウイスキーとして提供するようになり、CMも大きく打つようになりました。
それと共に、コンビニなどへハイボール缶を発売するなど、家飲みのニーズにも合わせてくるようになりました。

ファインオールドのボトル自体も、量販店では1000円以下で買える場合もあり、晩酌用として買うにも手頃になったと言えるでしょう。

デュワーズ ホワイトラベル

ビールの4大メジャーの一角であるサッポロビールは、唯一ウイスキー事業には参入しておらず、ハイボール人気に乗るためには、海外のウイスキーを輸入するしか道はありません。

そこで彼らは、デュワーズやカティサークを持つバカルディ社と提携を結び、デュワーズ ホワイトラベルを飲食店向けに提供することとなり、2018年には樽詰めの商品を出すようになりました。

デュワーズはアメリカで最も売れているスコッチウイスキーであると共に、ハイボールの由来の一つにされていることも、サッポロビールが選択した理由になります。

デュワーズの創業者の一人であったジョン・デュワーが、とあるサロンにて小さいグラスでウイスキーを提供された際、背の高いグラスに入れ、そこに炭酸水を加えてたっぷり飲めるようにしてとても楽しめるようにして欲しいと頼んだのがきっかけだと言われています。

この時の背の高いグラス("high glass")と、とても楽しむという意味の"have a ball"がかけ合わさって、ハイボールと呼ばれるようになったと言われています。

ホワイトホースと比べると、ハイボールでも楽しめるウイスキーという点で上かも知れません。

飲み比べ

通常のレビューに於いては、1:3の濃い割合でハイボールを飲んでいますが、今回は飲食店で提供されて居る程度、1:4の割合(アルコール度数8%)にして飲み比べようと思います。

ホワイトホース

レーズンの香りの後に、軽くスモーキーな香りがやってきます。
味わいは、若干苦みが先行するものの、その後は酸味が一気に広がり、後味には甘みも感じられます。

サッパリはしていますが、軽く甘さがあるので、とっつきやすさも感じられます。
その一方で、香りにスモーキーさが加わっているので、ウイスキーを飲んでいる感覚を楽しめる点も特徴です。

デュワーズ

こちらもレーズンの香りが先にやってきますが、スモーキーさは少なく、その後は青リンゴ、カラメルの香りが続きます。

味わいは、苦みが比較的しっかりとやってきますが、時間がたつと甘さが優位に立つようになり、きつい印象は薄いです。

サッパリ感は薄いですが、ホワイトホースよりも甘みが目立つ印象で、夕食というよりもおつまみと一緒に飲むのに向いている気がします。

まとめ

両者の性格は少々異なるものの、居酒屋でハイボールとして飲むには申し分はないですし、家でストレート、ロック、水割りで楽しむにも適したウイスキーであることに間違いはありません。

緊急事態宣言が発令される地域が拡大する中で、居酒屋でスコッチハイボールを飲めない状況が続いていますが、家でこれらウイスキーを使って自前でハイボールを飲んでみてはどうでしょうか。