村井嘉浩政策集2017 宮城をさらに豊かにするビジョンを。
復興のラストスパート! そして、未来へ!!
~ 一人ひとりが輝く、元気な宮城 ~
政策集の目次
- 県民の皆様へ
- 私の政治理念
- 県政運営の基本的な方針
- 復興のラストスパート
- 富県みやぎの新たなステージへ
- 未来を担う子どもたちのために
- 誰もが安心して、いきいきと暮らせる地域社会
- 人と自然が調和した、美しく安全な県土
- 3期12年間を振り返って
県民の皆様へ
県民一人ひとりが幸福を実感し、安心して暮らせる宮城
これが復興の先にある宮城の姿と考えています。
この宮城の将来像を実現するために、私は、知事就任以来12年間、東日本大震災や岩手・宮城内陸地震、リーマンショックによる経済危機など、数え切れないほどの苦難がありましたが、決して逃げずに正面からチャレンジしてきました。
復興のラストスパート
特に、東日本大震災で宮城県はかつてないほどの甚大な被害を受けました。私は、震災からの復興を最優先課題として、県民の皆様と力を合わせて、全国各地、世界中からの温かいご支援をいただきながら、懸命に取り組んでまいりました。
高台移転やかさ上げなどの復興まちづくり、災害公営住宅の整備等が着実に進み、また、仙台空港の民営化や医学部新設、水産業復興特区などの「創造的復興」の取り組みが花ひらこうとしています。一方で、いまだ多くの方々が仮設住宅で生活されているなど、復興は途上にあります。
平成30年度からは、いよいよ「宮城県震災復興計画」が定める最終段階の「発展期」が始まります。復興計画の総仕上げに向けてラストスパートをかけていく必要があります。
元気で笑顔あふれる未来へ
人口集積の上に成り立つサービス産業を中心とした宮城県の産業構造のままでは、人口減少が進むと、県経済は急激に冷え込むことが懸念されます。このため、私は、製造業のウエイトを高め、雇用を生み出し、人口減少を抑えること、第1次産業から第3次産業までバランスの取れた産業構造を図ることが必要であると考えました。これまで自動車組立工場や半導体製造装置工場などの誘致に成功し、12年間で約1万3千人の雇用を創出しました。
こうした政策が軌道に乗り始め、県の財政も少しずつ良くなってきました。富県戦略の成果を子育て支援などの福祉・教育や環境などの政策の拡充につなげるという姿ができつつあります。これからは今までやりたくてもできなかった、これらの政策に得られた財源を振り向けたいと考えています。特に本当に困っている被災された方々や県民の皆様のために、細かいところまで気を配った政策を実現していきます。
さらに、未来に向かって、元気で笑顔があふれる宮城を創り上げていくためには、震災需要後の地域経済の発展、次世代を担う子どもたちの育成をはじめ、地方創生や少子高齢化・人口減少社会への対応など、難しい課題にも果敢に挑戦しなければなりません。まだまだやるべきことがたくさんあるのです。
県民の皆様とともに
私は、県民の皆様とともに、復興を成し遂げること、そして、その先の未来の礎を築くことに全力で取り組む覚悟をもって、これからもチャレンジしてまいります。今後、私が取り組もうと考えている政策を「政策集」として取りまとめましたので、県民の皆様におかれましては、引き続き格別のご理解とご支援を賜りますよう、心からお願い申し上げます。
私の政治理念
私の生き方・信条の基礎となっている大切なものの多くは、自衛隊と松下政経塾で学びました。松下政経塾はパナソニックの創業者、故松下幸之助さんが次代のリーダーを育てるために創られた公益財団法人です。松下幸之助さんは私が心から尊敬している方で、松下幸之助さんの考え方に私は特に大きな影響を受けています。
松下幸之助さんは「PHP運動」を提唱されました。「PHP」とは「Peace and Happiness through Prosperity(繁栄によって平和と幸福を)」の頭文字をとった言葉です。この言葉には、物心両面で繁栄していくことによって平和と幸福を実現していくという松下幸之助さんの願いが込められています。
私は、宮城県の総合計画「宮城の将来ビジョン」において県政の運営理念を「富県共創!活力とやすらぎの邦(くに)づくり」と掲げました。
これは、しっかりとした経済基盤を築き、創出された富の循環によって、福祉や教育、環境、社会資本整備などへの取り組みを着実に進め、「生まれて良かった、育って良かった、住んで良かった」と思える宮城県を県民の皆様と創り上げていこうとするものです。この理念は、東日本大震災を経てもブレることはなく、変わっていません。
引き続き、県民の皆様とともに、震災を乗り越え、平和と幸せを実感できる「富県みやぎ」の実現を目指し、全力を尽くしてまいります。
県政運営の基本的な方針
政策の方向性
1. 創造的復興!
震災前よりも宮城を良くすることこそが犠牲となられた方々の御霊に報いることであり、私に課せられた使命であると考えています。復旧にとどまらない抜本的な再構築、震災がなければ実現することができなかった「創造的復興」をさらに進め、活力のある宮城を創り上げてまいります。
2.安心して暮らせる宮城!
自分自身や家族に不安や問題を抱えていると幸せを実感することは難しいものです。県民の皆様が安心して暮らしていけるよう、被災された方々に対する、きめ細かな支援に力を注ぐとともに、富県戦略の成果を生かして、福祉や教育、環境等の分野の取り組みをより一層充実してまいります。
3. 「富県みやぎ」の実現!
将来に対する希望、今日よりも明日、明日よりも5年後10年後に良くなれる、豊かになれるという希望を持てないときにも、なかなか幸せを感じられないと思います。私は、これまで特に産業振興に力を注ぎ、宮城を豊かにする「富県みやぎ」の実現を目指してきました。今後とも、それぞれの地域の現場の状況をしっかりと把握し、県内各地の特色や地域資源をフルに生かしながら地域経済を活性化させ、魅力的で安定的な雇用を生み出し、活力のある地域社会の構築を推進してまいります。
4. 災害に強く、命を守れるまちづくり!
災害は必ず繰り返されます。私たちの子孫、千年後の命を守ること、もしも同じような災害が起こっても二度と犠牲者が出ない、悲しい思いを県民の皆様にさせないことを第一に考え、災害に強いまちづくりを進めてきました。今後ともハード整備を進めることに併せて、震災の教訓を踏まえた防災教育の徹底などソフト面の対策をさらに充実させ、何があっても県民の皆様の命を守れるように万全を尽くしてまいります。
政策を実現するための基本姿勢
県知事、県庁だけでできることには限界があります。私は、知事に就任してから一貫して「民の力を最大限に活かす、県民が主役の県政」、「市町村重視の県政」、「衆知を集める県政」を基本に、あらゆる方々との連携を図りながら、県民の皆様が希望を持って安心して生活できる地域づくりを進め、また、東北の発展をリードする気概を持って、県境を越える連携を深めてきました。
今後とも、これらを県政の原点として、県民の皆様をはじめ、市町村、民間の団体や企業など様々な方々のご意見を伺いながら、力を合わせて、震災からの復興、宮城・東北の発展、元気で笑顔あふれる未来に向かって、「前へ、前へ」と力強く進んでまいります。
復興のラストスパート
東日本大震災から6年と半年余が経ちました。被災地では、新しい街、新しい災害公営住宅、新しい商店街、新しい道路や鉄路などが次々とでき、復興は着実に進んでいます。一方で、離半島部や大規模なかさ上げ地区などでは復興の進捗に差が生じています。また、今なお1万1千人を超える方々が仮設住宅で生活されているなど(平成29年8月末日現在)、被災された方々の事情もそれぞれ異なっています。
それぞれの地域の復興の進捗に応じた対応や被災された方一人ひとりに寄り添った支援を、被災市町と力を合わせて進め、一日も早く復興が成し遂げられるよう復興に向けたラストスパートをかけていきます。
1. きめ細かな生活支援
被災市町とこれまで以上に連携を密にして、被災された方々の生活支援や子どもから大人まで切れ目のない心のケア、新たな地域コミュニティの形成、地域の生活を支える医療・福祉サービス提供体制の確保などにきめ細かく取り組んでいきます。
- 被災された方々が恒久的な住宅に入居し、安心して暮らすことができるよう、平成30年度までに約1万6千戸全ての災害公営住宅を完成させます。
- 仮設住宅に入居する方々が安心して生活できる新たな住まいを確保するための支援を進めるとともに、生活再建が難しい方々一人ひとりに対してそれぞれ丁寧な支援を行います。
- 災害公営住宅などの新しい生活の場で地域コミュニティが再構築され、地域で支え合いができるよう被災市町やNPO、関係団体等と一体となって支援します。
- 県外に避難された方々の生活再建と帰郷を被災市町及び避難先の自治体と連携して支援していきます。
- 被災された方々に対する「心のケア」と「子どもの心のケア」を丁寧に対応します。特に、心の問題から生じる不登校やいじめ等により学校での生活が難しくなっている児童生徒の学校復帰や自立支援のために「心のケアハウス」の整備を進めます。
- 震災により就学困難となった児童生徒に対して、市町村とともに就学を支援します。
- 被災地の児童生徒の学習習慣づくりのため、放課後や週末などに学校の空き教室等を利用して学習支援を行います。
- サポートセンター等による見守り活動とともに、地域包括ケアシステムを通じた保健・福祉活動による支援を行います。
- 被災された方々の社会参加をキーワードとした健康づくりを進めます。
- 地域コミュニティの再生につながる地域の伝統芸能の復活や継承を支援します。
- 文化芸術が持つ力を活用し、被災者の心の復興につながる取り組みを施策横断的に展開します。
- 仮設住宅や災害公営住宅周辺において警察官によるパトロール、立ち寄りを推進し、被災地の安全安心を高めます。
- 平成32年度完成予定として南三陸警察署を建設するほか、被災した交番や駐在所の建て替えを進めます。
- 被災した水産高等学校、農業高等学校、気仙沼向洋高等学校の再建を進め、新しい学校づくりに取り組みます。
- 東松島市宮戸地区に移転再建している「松島自然の家」において、宿泊施設を備えた本館の平成31年度完成、全面再開に向けて整備を進めます。
など
2. 復興まちづくりの総仕上げ
被災された方々が安心して生活できるよう、復興まちづくりや公共インフラの整備などの事業の一日も早い完成を目指します。
- 「高台移転」、「多重防御+内陸移転」による「災害に強いまちづくり宮城モデル」の実現を目指し、復興まちづくりを加速します。
- 防災集団移転事業と被災市街地復興土地区画整理事業を早期に完成させます。
- 被災地における生活利便性を高め、また、にぎわいを創出するため、まちの顔である商店街の再生を支援します。
- あらゆる災害に備え、複数ルート・代替機能を持った「はしご型」の道路ネットワークの整備を進めます。
- 復興のリーディングプロジェクト「復興道路」と位置づける「三陸縦貫自動車道」の県内全線の平成32年度開通を国と連携して目指します。
- 救援物資輸送等を担う「復興支援道路」として東北道と三陸道を結ぶ「みやぎ県北高速幹線道路」の平成32年度開通を目指すとともに、東北縦貫自動車道と接続するインターチェンジの整備を検討します。
- 復興のシンボルである、気仙沼大島と本土を結ぶ「大島架橋」と女川町の「出島架橋」の整備を推進します。
- 新たな市街地と接続する主要なアクセス道路の整備や、離半島における高台移転と一体となった道路の整備を促進します。
- 平成27年3月に全線開通した常磐自動車道(山元~岩沼)の4車線化を進めます。
- 石巻市南浜地区に、国、石巻市と連携して、犠牲になられた方々の追悼・鎮魂の場、震災の教訓を伝承する場として、震災復興祈念公園を整備します。
- 矢本海浜緑地を避難道路に接する土地区画整理事業地に移転し、防災機能を持つ公園として新しく整備します。
- 貞山運河再生・復興ビジョンに基づき、運河の復旧・復興を進めるほか、景観再生に向けて桜植樹を推進します。
など
3. 地域産業の再生と魅力的な雇用の創出
被災した事業者の施設等の復旧支援に加え、失われた販路・取引の回復・拡大に向けた取り組みを推進し、魅力的で安定的な雇用の創出を支援します。
- グループ補助金等を活用し、被災された事業者の事業再開、仮設店舗・工場から本設への円滑な移転を支援するとともに、企業誘致の強化や創業支援などにしっかりと取り組みます。
- 沿岸部を中心とした雇用のミスマッチの解消や地域産業を担う人材育成を積極的に進めます。
- 宮城労働局等関係機関と連携し、被災された方々や震災による離職者等の再就職を支援するとともに、復興に向けた企業の人材確保を支援します。
- 震災後の風評による影響を払拭し、沿岸地域の交流人口の拡大に向けて、海外からの教育旅行の誘客などの復興ツーリズムや音楽文化イベントなどの開催を推進します。
- 農林水産業の販路の回復・拡大などの取り組みを進めるほか、農地の大区画化、低コスト化、経営規模の拡大や6次産業化などにより経営を強化します。
- 次期漁業権の更新までに、水産業復興特区のこれまでの成果等を総括・検証します。
- 被災地の重要な産業である水産加工業に対して「ものづくり企業」のノウハウを活用し、生産性の向上や販路拡大、経営革新など伴走型のビジネス支援を展開します。
- 農林水産物、加工品等の放射能検査をしっかりと行い、消費者の放射性物質に対する不安の解消に取り組みます。
- 農林水産業、食品製造・加工業、観光業等における風評払拭、安全性の情報発信を推進します。
- 県内各地で分散して一時保管されている、放射性物質に汚染された指定廃棄物を安全かつできるだけ早く処理するため、市町村、国としっかりと連携して対策を進めます。
など
4. 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の成功
「復興五輪」が開催される2020年は震災復興計画の最終年度です。サッカー競技開催地として、世界中からいただいたご支援への感謝の気持ちを込めて、復興した姿を発信していきます。
- 「ひとめぼれスタジアム宮城(利府町)」で開催されるサッカー競技大会の成功に向けて、関係団体と連携し、万全の準備を進めます。
- 「復興五輪」の象徴として、震災の最大の被災地である石巻市を聖火リレーの出発地とし、また、できる限り多くの被災地を回ることができるよう、市町村と協力して取り組みます。
- 事前キャンプの誘致に取り組む市町村を積極的に支援するとともに、スポーツや文化、教育などを通じた多様な交流を促進します。
- 開催都市である東京都等と連携し、大会開催に向けて機運を盛り上げ、県民の元気につなげます。
- 大会開催の機会をとらえ、震災記憶の伝承、外国人観光客の受け入れ、県産の食材、県産材のPRと提供、スポーツの振興、障害者の社会参加などに意欲的に取り組み、大会やこれらの成果を有形・無形の遺産「レガシー」として次世代に着実につないでいきます。
など
富県みやぎの新たなステージへ
労働力人口の減少や国内市場の縮小、さらには、復興需要が落ち着いていくことなどにより、このまま何も講じなければ地域の経済が冷え込んでいくことが懸念されます。これらの課題に先手を打ち、宮城県をもっと元気にしていくためには、次なる「富県戦略」として今まで以上に産業振興を積極的に進め、質が高く魅力的な雇用を創出していかなければなりません。県民の皆様がしっかりとした経済基盤の上に安心して暮らしていけるよう、「富県みやぎの実現」に向けた新たなステージを力強く進めていきます。
1. ものづくり産業のさらなる集積と地域産業のイノベーション
県内総生産10兆円への挑戦を続け、企業誘致をさらに進めるとともに、産学官連携による県内製造業の技術力向上など、総合的な支援をより一層推進していきます。
- 地域経済を牽引するものづくり産業を中心に、平成33年度までの4年間で130件の企業誘致を目指すとともに、東北各県と連携して自動車関連産業の集積を推進します。
- 高度電子機械産業やクリーンエネルギー関連産業など成長が見込まれる企業活動を促進し、高度技術産業の集積を積極的に進めます。
- 産学官金の連携強化により、新技術の活用を図り、イノベーション創出に向けた県内企業の技術力向上を支援します。
- 東北各県や関係機関と連携して、企業誘致や新産業の創出につながる「東北放射光施設」の実現を図るとともに、「ILC(国際リニアコライダー)」の誘致に取り組みます。
- 「セルロースナノファイバー」など次世代の新素材の実用化に向けたプロジェクトを進めます。
- 組み込みシステムやデジタルコンテンツなど、成長が期待されるICT分野における市場の獲得を目指した技術習得や商品開発など情報関連産業の振興に取り組むとともに、様々な分野や幅広い場面においてICTの活用を促進します。
- 食料品製造業を除いた製造品出荷額等を平成33年度までに、3兆7,500億円にします。
- 企業の生産性改善等に対する支援を拡充し、生産活動の省力化、経営基盤の強化、従業員の職場定着率の向上等を図っていきます。
- みやぎ産業人材育成プラットフォーム等を通じて産学官連携による産業人材の育成を推進します。
- 東京圏等からのUIJターン、移住・定住を促進するための情報発信と移住支援体制を強化し、市町村や関係団体と連携してきめ細かな対応を進めます。
など
2. 農林水産業の魅力と競争力をUp(アップ)
農林水産業は、宮城県の地域経済を支える、とても大事な基幹産業です。新たな時代の農林水産業の構築に取り組み、農林水産業を若い人たちがあこがれるような、魅力と競争力のある産業へと転換を進めていきます。
- 大区画ほ場や生産基盤の整備により、農地の集約、経営規模の拡大を図り、競争力のある経営体を育成します。
- ロボット技術やICT、ドローンなどの先端技術を活用し、生産性向上と販売力強化を進めます。
- 新品種「だて正夢」、「ひとめぼれ」、「ササニシキ」、玄米食向けの「金のいぶき」をメインとした宮城米のブランド力強化を進めます。
- 宮城の豊かな地域資源を最大限に活用して6次産業化を推進します。
- みやぎの園芸トップブランドの育成や、地域戦略品目の生産拡大を進め、園芸産地化への構造改革を図ります。
- 県産農産物の安全安心の確保と品質の向上、さらには東京オリンピック・パラリンピック大会への食材供給等のため、GAP(農業生産工程管理)を積極的に推進します。
- 農業産出額を平成33年度までに2,080億円にします。
- 宮城県で開催された「全国和牛能力共進会」において、種牛の部の2区で日本一、総合で4位になった、県代表牛の躍進を契機として、仙台牛のブランド価値を高めます。
- 県産材の流通拡大を進めるとともに、新しい木質材料であるCLT(ひき板を繊維方向が直交するように積層接着したパネル)を本格活用し、新たな木材需要を創出します。
- 水産加工業の共通ブランドにより販売力を強化し、県内の農林水産物・食品として初の地理的表示(GI)登録の「みやぎサーモン」や新食材「伊達いわな」のブランド構築に取り組みます。
- 農林水産業を担う人材の育成を進めるとともに、農業高校と農業大学校の連携による農業教育を推進します。
- 震災復興計画最終年の平成32年度に「全国豊かな海づくり大会」を開催し、水産県宮城の魅力と復興を果たした元気な姿を全国に発信します。
- 今年3月に発生した高病原性鳥インフルエンザ対策の経験を踏まえ、家きんの所有者への指導を徹底するとともに、発生時に備えた準備を行いながら、発生の予防と早期の発見・通報、初動対応を重視した防疫対策に取り組みます。
など
3. 東北のゲートウエイとしての交流人口の拡大
仙台空港の民営化、LCC就航を契機とした、東北の官民が一体となった広域観光など交流人口の拡大のための取り組みを、必要な財源の確保も検討しながら積極的に推進していきます。
- 東北各県や東北観光推進機構との連携による、東北が一体となった広域観光の充実と誘客プロモーションを進め、東北全体の観光の底上げを図ります。
- 民営化、LCCの新規就航等を契機とした仙台空港の利用促進、バス等の二次交通の充実を進めるとともに、利用者よし、地元よし、事業者よしの「三方よし」の空港の運用改善を図ります。
- 自然豊かな小道を歩くトレッキングコース「宮城オルレ」や三陸復興国立公園での「潮風トレイル」などによる地域の特性を生かした、新たな観光地域づくりを進めます。
- 東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催される平成32年度までに観光客入込数を年間7,000万人以上にします。
- 東アジア(台湾、中国、韓国、香港)を中心に、東北各県と連携した強力プロモーションの展開、海外の風評払拭、外国人観光客の受入れ環境整備などを積極的に推進し、同じく平成32年度までに50万人泊の外国人観光客の受け入れを図ります。
- SNSなど多様なツールを戦略的に活用し、宮城の素晴らしい魅力を発信するとともに、ビッグデータによるマーケティングを強化し、首都圏や中部以西等からの誘客を進めます。
- 松島水族館跡地に体験型の観光複合施設を整備するとともに、JR仙石線松島海岸駅のバリアフリー化を進め、日本三景松島の魅力をさらに高めていきます。
など
4. 中小企業に寄り添った支援
中小企業・小規模事業者は、地域の経済と雇用を支える、とても重要な存在です。中小企業・小規模事業者の皆様の「生の声」にしっかりと耳を傾け、市町村、支援団体、金融機関等と緊密に連携して目配りの利いた支援を行っていきます。
- 事業者が創業しやすい環境づくりを推進するとともに、産学官金の連携により経営の革新、経営基盤の強化などの伴走型支援を進めます。
- 中小企業・小規模事業者が販路を開拓できるよう、商談会等の機会を確保し、また、付加価値の高い商品・製品づくりを支援します。
- 県が行う発注において、中小企業・小規模事業者が入札などに参加しやすい制度の整備を図ります。
- 産学官金で構成される「KCみやぎ推進ネットワーク」等による技術高度化支援や新技術・新商品の研究開発を促進し、また、基礎的な技術力の向上のための環境整備を進めます。
- 中小企業・小規模事業者の持続的・安定的発展に加え、事業規模拡大や第二創業等のために、利用しやすく、ニーズに応じた県融資制度を構築していきます。
- 「雇用の安定と定住推進協定」に基づき、宮城労働局など関係機関と連携し、みやぎジョブカフェなどの就職支援の充実を図り、中小企業・小規模事業者への人材の育成、確保、定着を進めます。
- 空き店舗等を活用したチャレンジショップの開設などを支援するほか、にぎわいのあるまちづくりのための商店街の活性化を支援します。
- 成長を続ける東アジア・東南アジアを中心に、海外市場開拓に挑戦する県内企業の支援を積極的に推進します。
- 事業承継の円滑化を図るため、それぞれの経営課題に対応した手法やノウハウ、相談先や支援施策等について、適切にサポートできるネットワークづくりを進めます。
など
未来を担う子どもたちのために
未来を担う子どもたちは、私たちの希望であり、大切な宝物です。
振り返ると、子育てはとても楽しいものでしたが、自衛隊を辞し松下政経塾に入り、家族4人で年収約200万円の生活をしていたときは、経済的に大変苦しい思いをしました。私はこの経験から、若い世代が結婚に希望を持ち、出産や子育てに不安や負担を感じることのない社会を実現しなければいけないと強く考えています。
宮城の子どもたちが、健やかに、たくましく、そして心豊かに育つことができるよう、市町村と力を合わせ、子育て支援と教育の連携を図りながら、子どもたちを大切にする取り組みの充実を進めていきます。特に、「いじめ」は絶対に許されないものであり、家庭や地域、専門家等の関係機関と連携し、しっかりと取り組んでいきます。
1. 子育てママと子育てパパに安心と笑顔を
若い世代が、将来に向け希望を持って結婚、出産、子育てができるよう、切れ目のない支援の充実を図っていきます。特に、親や保護者がいつも笑顔でいることが子どもたちの健やかな成長にとても大事ですので、安心して笑顔で子育てできるよう市町村とともにしっかりと支援していきます。
- 保育所に入所したいとの希望をかなえるため、市町村と連携して保育所の整備を進めるとともに、企業主導型保育事業に対する支援を積極的に推進し、国が目標とする、遅くとも平成32年度末までに保育所の待機児童の解消を目指します。
- 保護者の就労状況やその変化等に対して柔軟に子どもを受け入れられるよう認定こども園の普及、幼稚園及び保育所から認定こども園への移行を促進します。
- 子どもを生み育てやすい環境づくりを進めるため、平成33年度までに男性と女性の育児休業取得率をそれぞれ13.5%、95.5%とします。
- 子育て世代の多様なニーズに応えるために、家庭的保育や延長保育、放課後児童クラブなどの取り組みを支援します。
- 保育士の確保・定着、さらには資質向上のために、保育士の養成・研修、就学資金の貸し付けのほか、処遇改善に取り組みます。
- 幼・保・小連携推進地区を指定して実践研究を進め、幼児教育の充実を図っていきます。
- 不妊や不育症に関する相談・指導、不妊治療等に関する情報の提供、体外受精に要する費用の助成など、不妊等に悩む夫婦等に対する支援を行います。
- 思春期の子どもに対して、親になることへの意識啓発、性に関する正しい情報を市町村やNPO等関係機関と連携し適切に提供するとともに、特に有効とされる「同世代によるピアサポート」を推進します。
- 妊婦や子どもを受動喫煙から守るため、受動喫煙防止の気運醸成を図るとともに、施設の実情に合った受動喫煙防止対策を促進します。
- 作物を育て、調理して、食べる等の体験や地産地消を通じて、食べる楽しさを実感し、食と環境との調和について関心を高める食育を推進します。
- 持続可能で良質な医療を効率的・効果的に提供し、より身近な入院管理体制の整った医療機関での小児救急医療の充実を図ります。
- 適切な受診機会を確保し、子どもの健やかな成長を支援するための医療費を引き続き助成します。
- 心の問題を抱える子どもやその保護者等に対しての、児童精神科医による専門的・多面的な支援の充実を図ります。
- 痛ましい児童虐待を防ぎ、尊い子どもの命が奪われることのないよう、福祉・医療・保健・教育及び警察など、関係機関との連携・協力を図り、より実効性のあるネットワーク体制を構築し、併せて児童相談所の機能強化を図ります。
- 保護的支援を必要する子どもが家庭的な雰囲気の中で養育されるよう、里親の下での養育を積極的に推進していきます。
- ひとり親家庭に対する、経済的支援や就業・自立支援センターを拠点とした就業支援などを行います。
- 「貧困の連鎖」を断ち切るため、教育と福祉の連携による総合的な子どもの貧困対策をこれまで以上に積極的に進めます。
- 医師、保健師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等の専門職と連携し、心身の発達に問題を有する子どもを早期に把握し、発達支援を行います。
- 市町村や学校、保護者、警察などと連携しながら、防犯ボランティア活動の活性化を図るなど、子どもを犯罪等の被害から守るための活動を推進します。
- 平成33年度までに合計特殊出生率が1.41となるよう、以上のような子育て支援等の総合的な取り組みを市町村と連携して積極的に進めます。
など
2. 子どもたちに夢と生きる力を
将来を担う子どもたちの夢と生きる力を育む教育を推進します。特に、いじめの防止、早期発見、早期対応を県政の重要課題として、きめの細かい取り組みを進めていきます。
- 児童生徒の発達段階に応じた、系統的な教育活動を通じて、一人ひとりの夢と「志」を育む教育をさらに推進します。
- 学ぶことの楽しさや意欲を育む「分かる授業」や互いに認め合う学級づくりなどを通して自己肯定感や自己有用感を育み、子どもたちが「行きたくなる学校」づくりを目指します。
- いじめ・不登校等に対応するため、市町村や学校、教育事務所などにスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなどを配置・派遣するとともに、教職員に専門的・実践的な研修を実施し、教育相談体制の充実を進めます。
- 学校外の教育相談・登校支援の拠点として市町村が設置する適応指導教室や、「みやぎ子どもの心のケアハウス」等を支援し、休みがちな児童生徒や不登校児童生徒の支援に取り組みます。
- 家庭と密接に連携し、児童生徒の学習習慣の定着を図るとともに、主体的・対話的で深い学び、いわゆる「アクティブ・ラーニング」を推進し、児童生徒の学ぶ意欲と学んだことを活用する力を育みます。
- 学年や児童生徒一人ひとりの状況に応じて、少人数学級のほか習熟度別少人数授業やチーム・ティーチングなどの学習指導体制をできる限り工夫し、きめの細かい対応を行い、確かな学力向上を図り、平成33年度までの早い時期に全国学力テストにおいて小学生、中学生ともに全国平均正答率と同等以上となるように目指します。
- 国際共通語である英語力を向上させ、外国人との交流活動、海外への留学・修学旅行など、国際的視野を広める体験活動の充実を図るとともに、県立高校の国際バカロレア認定取得を進めるなど、世界に羽ばたくグローバルな人材を育成します。
- 分かりやすく、子どもたちの考えを深める授業ができるよう、教員のICT活用指導力の向上や教科指導におけるICT活用を積極的に進めます。
- 子どもの健康な体づくりのため、子どもの基本的生活習慣の定着を図り、また、成長段階に応じて楽しく運動ができる取り組みや、運動習慣の確立、体力・運動能力の向上、健康の保持増進に向けた取り組みを推進し、平成33年度までに小学生、中学生の体力・運動能力調査の体力合計点を全国平均よりも0.2ポイント以上、上回るようにします。
- 幼児期において 親子間の愛着形成の促進や基本的生活習慣の確立、豊かな体験活動による学びの促進を図るなど、「学ぶ土台づくり」を推進します。
- 仙台市秋保地区に特別支援学校を新たに設置するなど、特別支援学校の教室不足に対する対策を推進し、学習の質や効果を高めるための環境整備を図り、また、子どもたちの社会的な自立を目指し、地域と連携した取り組みを進めます。
- ふるさと宮城の復興を担う人づくりのため、学校と地域や企業などが連携・協働し、将来の職業人・社会人として必要な能力や資質を育てるキャリア教育を推進します。
- 学校防災マニュアルの見直しや地域合同防災訓練、研修などを充実させ、災害発生時の対応を確認するなど、地域と連携した学校内外での防災・安全体制を進めます。
- 宮城第一高等学校、石巻好文館高等学校を建て替えるとともに、柴田農林高等学校と大河原商業高等学校を再編し、新たな職業拠点校を県南地域に設置します。
- 建学の精神に基づき特色ある教育を展開する私立学校に対し、運営費をはじめとした各種助成措置などの支援を行います。
など
誰もが安心して、いきいきと暮らせる地域社会
すべての人が生涯を通じてその持てる能力を発揮し、豊かな人生を送るために、安心して暮らせる地域づくりはその前提となる重要なものです。高齢の方々や障害のある方々が安心して暮らせるようにし、さらには、地域に住む全ての方々にとって、住みよい地域をつくることにつなげていきます。全国に先駆けた地域包括ケアシステムのさらなる充実、不足する医療や介護等の人材育成・確保に取り組むなど、今後、人口減少、少子高齢化が進む中でも、県民一人ひとりが、地域で安心して、輝きながら暮らしていけるための地域づくりを、市町村、国、関係団体等と力を合わせて進めていきます。
1. 介護サービスの充実など高齢者に安心を
高齢の方々が住み慣れた地域でその人らしく生活できるよう、在宅医療・介護の連携や地域での支え合い体制づくりを進め、介護サービスの充実と強化に取り組みます。
- 高齢の方々が、介護が必要になったり、認知症になったりしても、地域で安心して暮らし続けることができるよう地域包括ケア体制の構築を推進します。
- 認知症に対する正しい理解の促進や認知症の早期発見・早期対応の体制づくりなど、認知症の方々と家族を総合的に支援します。
- 介護ニーズに応じたサービス提供体制をしっかりと確保するため、担い手である質の高い専門職の確保を進めるとともに、大学と連携した外国人介護職の養成などに取り組み、介護職員数を平成33年度までに33,500人にします。
- 介護職員の負担軽減と魅力向上等のため、全国のモデルとなる介護ロボット等の導入やICTの活用を積極的に進めます。
- 介護疲れによる共倒れを防ぎ、介護する方もされる方も充実した暮らしをできるよう、介護サービスの利用しやすい環境を整備します。
- 特別養護老人ホーム等の入所希望の待機者の早期解消を目指し、市町村と連携しながら、施設の新築や既存施設の増築など、計画的な整備を進めます。
- 高齢の方々が入居する施設が提供する介護サービスや、外部の事業所が入居者へ提供する介護サービスにおいて、適切なケアがなされるよう、介護保険法に基づく指導監督を通じてしっかりと助言・指導を行います。
- 年齢を重ねても自立した生活を送り続けるための介護予防を進めます。
- 宮城いきいき学園による地域活動の人材育成、老人クラブ活動やシルバー人材センター事業の活性化を進め、高齢者が、地域活動に積極的に参加し、社会の主役としていきいきと活躍する社会づくりを目指します。
- 地方のバス路線の維持・確保のための取り組みや、移動販売や送迎サービスなどを促進する取り組みを拡充するなど、移動や買い物等に困難を抱える方々への支援を市町村と連携して積極的に進めます。
など
2. 地域医療の安心と「スマートみやぎ健民会議」の推進
県内各地どこでも安心して医療を受けられる体制の整備と、生活習慣の改善や脱メタボ対策などの健康づくりを官民一体となって、さらに推し進めます。
- 医療機能の集約化、拠点化、地域間の役割分担を進め、医師確保や医師の地域的偏在の解消等を図り、また、新設した医学部への支援など医療従事者の育成・確保を展開するなど、医療提供体制の整備を進めます。
- 県内市町村の病院等に医師を平成33年度までに120人派遣します。
- 質の高い看護職員の養成、院内保育などの勤務環境改善による定着化・離職防止、復職支援など、様々な手立てを講じて看護職員の確保を積極的に推進します。
- 仙台医療センターと東北大学病院を基地病院として配備されるドクターヘリの運航や各地域の救命救急センターの運営支援により、救命率の向上と後遺症の軽減を図ります。
- 仙台市をはじめとする各消防本部と連携して、救急医療情報システムの機能強化に取り組みます。
- 循環器・呼吸器病センターの医療機能の移管に向けて、栗原市内への結核医療提供施設の整備を進めるとともに、精神医療センターの建て替えを行います。
- 市町村国民健康保険運営の都道府県単位化に向けて、市町村と連携しながら、制度移行が円滑にできるよう準備を進めます。
- 企業・団体、保険者、行政機関等が一体となった「スマートみやぎ健民会議」の下、子どもから大人まで切れ目のない健康づくりを進め、生活習慣病の予防と「脱メタボ」に取り組みます。
- 自死対策として、これまで実施してきた精神保健的な取り組みに加えて、自死の背景にある社会・経済的視点も含めた社会全体としての対策を推進し、また、市町村など関係機関の連携を強化することにより、自死を防ぎます。
など
3. 障害のある方々への支援の充実
障害のある方もない方も、共に生きがいを実感しながら、充実した生活を送ることができるよう、障害のある方々の地域生活の移行や就労の促進、所得の向上などを進めます。
- 障害のある方々の地域生活へ移行を進めるため、グループホームや地域生活支援拠点等の整備をさらに進めます。
- 利用者本位のサービス提供を可能にするための相談支援体制の充実や、介護人材確保・育成、サービスの質の確保等に取り組みます。
- 障害のある方々の雇用・就労の機会の拡充と職業能力の開発を図り、平成33年度までに民間企業の障害者雇用率を2.25%にします。
- 就労支援施設等の企業的経営スキルの向上や商品開発・販路開拓に向けた支援、共同受注体制の強化等を通じた工賃向上を促進します。
- 障害のある方々の仕事の拡大に有効な農福連携の取り組みを進め、就労支援施設等の商品・役務に係る行政機関優先調達を推進します。
- 医療的ケアを必要とする障害のある方々への支援の充実を図るなど、重症心身障害児者等の地域生活を支える体制づくりを推進し、また、発達障害児者への支援体制の拡充に取り組みます。
- 県全域のセーフティネットの役割を果たす船形コロニーの建て替えを行うとともに、視覚障害者情報センターの建て替えの検討を進めます。
- 内部障害や難病の方々など、外見からは障害等があることが分かりにくい方のための「ヘルプマーク」や、歩行が困難な方々などのための駐車場利用証を発行・配布する「パーキングパーミット制度」の導入を図ります。
など
4. 一人ひとりの事情・特性に応じた働き方の実現
家庭環境や事情は、人それぞれ異なります。女性の方、男性の方、高齢の方、障害のある方、一人ひとりの実情・特性に応じた、多様で柔軟な働き方を可能とする働き方改革の取り組みを積極果敢に進めます。
- 育児や介護、治療など、一人ひとりが抱える事情に応じた、仕事と家庭の両立を支援するため、多様な働き方を選択できる職場環境整備の推進や長時間労働の是正、休暇取得の推進など、働き方改革の取り組みを支援します。
- 企業等におけるワーク・ライフ・バランスが進み、女性も男性も能力を発揮できるよう、「イクボス」を普及啓発するなど、県内企業への働きかけや社会全体の意識醸成を推進します。
- 一人ひとりの事情・特性に応じた働き方の実現に向けて、IoT導入等による生産性向上に取り組む企業に対して伴走型支援を進めるとともに、働き方改革の取り組みのノウハウ不足などの課題を抱える企業に対し、外部専門家等によるアドバイスや働き方改革を推進する人材育成の支援などを行います。
- 共働きの世帯が増加しており、男女共同参画の視点から、働く女性への支援を行います。また、男性が育児と家事を主体的に担うことや仕事と生活の調和を図ることの意識啓発を進め、さらには男女が共に働きやすい環境の整備、保育・介護サービスなど社会的支援体制の充実を図ります。
- 働く意欲のある高齢の方の就職活動を支える能力開発の場の確保や相談・指導体制の充実を図ります。
- 障害のある方の雇用に対する意識啓発や障害のある方の特性に応じたマッチング支援の推進に積極的に取り組みます。
など
5. 協働共創の地域社会づくり
県民誰もが心の潤いと豊かさを実感でき、多様な主体が参加する地域社会を目指して、文化芸術の振興、男女共同参画、NPO活動の促進などに取り組みます。
- 「東京エレクトロンホール宮城(県民会館)」に替わる、新たな県民会館を、舞台機能やバリアフリーなどを向上させた中核施設、文化芸術活動の拠点として整備することの検討を本格的に進めます。また、整備に当たって、PPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ:公民連携)やクラウドファンディング、ふるさと納税など、民の力をできる限り活用する手法の導入を検討します。
- 日本遺産に認定された「政宗が育んだ"伊達"な文化」をはじめとする、宮城の魅力あふれる伝統文化を、市町村とともに有効に活用し、地域の活性化につなげていきます。
- 多賀城創建1300年となる平成36年を目途に、多賀城市と連携して多賀城跡の整備を進めます。
- 慶長使節船ミュージアムにおけるサン・ファン・バウティスタ号の展示の在り方について、関係者や地域のご意見をしっかりと伺いながら検討を進めます。
- 宮城県美術館を大規模にリニューアルし、展示、収蔵調査研究教育普及など現美術館の基本機能をさらに高めるとともに、新たな機能や魅力を創出します。
- 多文化共生の理念の下、外国人県民の就業支援や地域活動への参加・交流促進、外国人県民のコミュニティリーダー育成などを図ります。
- 女性が、社会全体をはじめ、家庭や学校教育、職場、地域など、あらゆる場で活躍できるよう、企業や関係団体、市町村等と連携し、男女共同参画の取り組みを進めます。
- みやぎNPOプラザを中心として県内のNPO支援施設のネートワーク化を図るとともに、地域におけるNPO活動の促進を図るため、市町村とNPOとのパートナーシップの構築や、市町村の取り組みへの協力・支援を行います。
など
人と自然が調和した、美しく安全な県土
東日本大震災後も、熊本地震をはじめ全国各地で災害が相次いで起きています。県内でも平成27年9月に関東・東北豪雨、平成28年11月に福島県沖を震源とする津波が発生しています。
自然の脅威から県民の皆様の安全と安心を守るためには、災害に対する日頃の備えが大切であり、災害に強い県土づくりを進めなければなりません。そのために大事なことは、防潮堤などのハード整備だけで被害を完全に封じ込めることはできないので、「逃げる」、「避難する」を基本的な前提とすることです。「被災しても人命を失わせない」という強い思いを胸にあらゆる事態を想定し、減災機能を有するインフラ整備と、震災の記憶や教訓の伝承、防災教育の徹底などのソフト対策を組み合わせた、総合的な防災体制の構築に全力で取り組みます。
また、県民の命と生活を支える道路ネットワークなどの社会資本の整備を進めるほか、宮城の豊かな自然や環境を守り、後世にしっかりとつないでいけるよう、人と自然との共生を深め、環境に優しい持続可能な社会に向けた取り組みを推進します。
1. 防災対策・危機管理体制の強化と震災の記憶・教訓の伝承
県民の皆様の生命と財産を守るため、災害の歴史からの学び、東日本大震災の経験と教訓を踏まえ、防災対策や地域防災力の強化を進め、さらには危機管理体制をしっかりと整えていきます。
- 地域防災力の強化を図るため、防災知識の普及や防災訓練の充実、自主防災組織の育成などの取り組みを積極的に進めます。
- 地域社会において防災・減災の立場からリーダーとして活躍できる人材やそれぞれの事業所で震災対策を推進する人材の養成を図ります。
- 復旧復興や地域防災の場において、女性が決定する立場で参画できるようにすることを促進するとともに、女性や困難を抱える方々に配慮した事前の備え、避難所運営、被災者支援等の体制を推進します。
- 地域住民の避難所等としての役割を果たす学校施設の防災機能の整備を推進します。
- 防災教育副読本や震災遺構などを活用し、児童生徒の発達段階に応じた系統的な防災教育を進め、災害から自らの身を守り切る力を育みます。
- 新設した多賀城高等学校災害科学科において地域と連携した先進的な防災教育の実践を行い、その成果を広くつないでいきます。
- 被災地への関心の薄れや震災の記憶の風化を防ぐため、ICTをはじめとする様々なツールを活用して県内外に発信します。
- 震災から10年の復旧・復興の取り組みを振り返り、次世代や他地域に伝えていくべき教訓を取りまとめ、今後に生かしていきます。
- 現在行っている震災の記憶伝承の在り方の検討を踏まえて、震災遺構のネットワークの形成やアーカイブ、語り部など、震災の記憶と教訓を次世代にしっかりと継承する宮城モデルを構築します。
- 他の都道府県で災害が発生したときには、平成26年度に整備した「県災害対応人材バンク」により震災対応を経験した職員を被災地にすぐに派遣するなど、震災で受けた支援の恩返しをしっかりとしていきます。
- 仙台市宮城野原地区に整備を進めている広域防災拠点と、県内8つの圏域防災拠点を支援部隊の集結や物資の集配等の活動拠点とし、市町村の地域防災拠点とのネットワーク化を図り、市町村の防災活動を支援します。
- 平成33年度までに多くの方々が利用する公共建築物の耐震化率を100%にします。
- 火山災害に対応するため、噴火規模や被害想定に合わせた減災対策計画を策定し、また、市町村の避難体制の構築や防災マップの作成を支援します。
- 女川原子力発電所周辺の環境放射線・環境放射能の監視を継続するとともに、東京電力福島第一原子力発電所事故を踏まえた原子力防災訓練や緊急時の原子力防災対策に取り組み、県民の皆様の安全を確保します。
- 新型インフルエンザの発生に備え、抗インフルエンザウイルス薬等の備蓄や県内における医療体制の整備、意識啓発や県・企業による事業継続計画の策定など、事前の準備を進めます。
- 犯罪のないまちを実現するため、県民、事業者、行政等が連携・協力した県民運動を推進し、また、「性暴力被害相談支援センター宮城」を運営し、犯罪被害者一人ひとりに応じた適切な支援に取り組みます。
- 平成31年度の運用開始を目指して、仙台市若林区に警察署を設置し、地域の安全安心の確保を図ります。
- 外部からの武力攻撃やテロなどの万が一の事態に備え、国や市町村、関係機関との連携を密にし、県民の皆様の安全を守るための対策を推進します。
など
2. 総合的な治水と土砂災害防止対策
ここ数年、記録的な豪雨が全国各地で多発しています。このような水害に備えるため、これまでの洪水浸水想定区域を、現在考えられる最大規模の降雨(1000年に一度以上)を基に見直し、より一層効果的なハード・ソフト一体となった総合的な治水事業と土砂災害防止対策を進めます。
- 浸水被害が近年、発生した河川における再度災害の防止と県内全域の警戒避難体制の強化に向けて、渋井川(大崎市)など?害が起こりやすい河川の解消に向けた堤防整備等、平成32年度まで緊急かつ集中的に治水対策を推進します。
- 川内沢川(名取市)流域の治水の安全を高めるため、川内沢ダムの建設を進めます。
- 洪水調節、流水の正常な機能の維持、かんがい用水の補給、発電を目的とする筒砂子ダム(加美町)の建設を国と連携して推進します。
- 土砂災害警戒区域指定のための基礎調査を平成31年度までに完了させ、また、土砂災害危険箇所の施設整備を推進するとともに、砂防総合情報システムの機能向上や土砂災害防止の啓発を行うなど、総合的な土砂災害防止対策を進めます。
- 蔵王山の噴火に備え、松川(蔵王町)の氾濫対策や監視機器の整備を推進します。
など
3. 宮城・東北の発展を支える交流・社会基盤の整備
宮城・東北の復興と発展を支える、高規格幹線道路の整備や港湾施設の機能拡充、地域高規格道路や県境・郡境をまたぐ道路などの広域道路ネットワークの整備等を進めます。
- 仙台塩釜港石巻港区と仙台港区にクルーズ船がより安全に寄港でき、旅行者が快適に利用できるよう、受入れ環境の整備を進め、クルーズ船の誘致を図ります。
- コンテナ貨物取扱量が過去最多を更新した仙台塩釜港(仙台港区)の高砂コンテナターミナル拡張整備を推進するとともに、戦略的なポートセールスを展開し、平成33年度までに仙台塩釜港(仙台港区)における、貨物を積んだコンテナの取扱量を196,000TEUにします。
- 国道398号石巻バイパス大瓜工区の供用など、地域の発展を支える広域道路網の整備を推進します。
- 地域間の連携強化に向けて、国道286号支倉バイパス(川崎町)、国道349号丸森地区、県道岩沼蔵王線(村田町・柴田町・岩沼市)、二口林道(仙台市)などの県境・郡境をまたぐ道路の整備を推進するほか、国と連携して、石巻市と山形県酒田市を結ぶ東北横断ルートの一部である国道108号石巻河南バイパスの整備を進めます。
- 仙台東部地区の道路ネットワークの検証結果を踏まえ、自動車専用道路「仙台東道路」などによる沿岸部の高規格道路と仙台都心間の円滑なアクセス策の検討を進めます。
- 東北縦貫自動車道の村田IC~仙台南IC間の菅生パーキングエリアに連結する、スマートインターチェンジを整備します。
- 阿武隈急行の利用促進、経営健全化とともに、安定したダイヤや安全輸送を確保するための車両更新を併せて検討し、福島県や関係市町と協力して支援します。
- 民の力を最大限に活用した上工下水一体とした官民連携による運営体制(みやぎ型管理運営方式)の構築を進め、平成32年度中の事業開始を目指します。
- 公共施設の長寿命化対策として、みやぎ型ストックマネジメントなど長期的な視点に立った社会資本の新設・保全・更新システムの整備に取り組みます。
- 震災復興後を見据えた建設産業振興のための支援を進め、また、ICTを活用した建設現場の生産性や安全性の向上と労働環境の改善等を図るアイ・コンストラクション(i-Construction)の普及拡大に取り組みます。
など
4. 持続可能な社会の実現と自然・生活環境の保全
身近な地域の自然環境や生活環境の保全、さらには地球環境問題に対する取り組みを積極的に進めます。特に、地球温暖化防止に向けて、再生可能エネルギーの導入促進などを通じ、温室効果ガス排出量の削減と持続可能な社会への転換を推し進めていきます。
- 東北における水素社会先駆けの地を目指して、燃料電池自動車の導入促進など水素エネルギーの利活用を進めます。
- クリーンエネルギー等環境関連産業の誘致・振興と、クリーンエネルギー社会の実現のための先進的なプロジェクトを実施します。
- 家庭における太陽光発電設備・蓄電池・燃料電池の導入など再生可能エネルギーの導入や既存住宅の省エネルギー化を進めます。
- 未利用で大規模な再生可能エネルギー源である洋上風力発電等の導入に向けた検討に取り組むことなどにより、再生可能エネルギー等の導入量(熱量換算)を平成33年度までに32,000TJにします。
- 低炭素型ライフスタイルへの転換のための県民運動「ダメだっちゃ温暖化」を進め、また、地球温暖化防止活動推進センターや地球温暖化防止活動推進員などと連携・協働し、地域からの温暖化防止対策に取り組みます。
- 平成29年3月に改定した環境教育基本方針に基づき、環境教育を積極的に推進します。
- 森林整備の推進や木材の利用拡大、県民が実施する森林づくり活動に対する支援など、社会全体で支える森林づくりを推進します。
- 震災以降に排出量が多いままとなっている廃棄物等の3R(発生抑制・再使用・再生利用)を促進するため、普及啓発のほか、設備導入や技術開発、環境産業コーディネーターの派遣などに取り組みます。
- 資源循環型社会の実現を目指した取り組みを推進するとともに、産業廃棄物を処理していくために、県内の最終的な処分場が引き続き安定して確保されるよう、検討を進めます。
- 県民の皆様の健康を守るため、PM2.5 の測定地点を拡充するなど、大気汚染の監視体制を強化するとともに、水質汚濁の監視測定を継続します。
- 特別名勝松島や国定公園に指定されている栗駒山・蔵王山、ラムサール条約湿地である伊豆沼・内沼など、宮城の豊かな自然環境の保全・再生に取り組みます。
- イノシシ、ニホンジカなどの野生鳥獣の適正な保護管理のため、計画的な個体数調整や狩猟者確保対策等を進めます。
など
3期12年間を振り返って
1. 東日本大震災からの復旧・復興(平成22~29年度)
国の復興構想会議で提言した内容が国の方針に反映されました
震災後、国の東日本大震災復興構想会議に毎週のように出席し、被災地を代表して、東日本復興特区制度など様々な提言を行いました。提言の多くは、平成23年7月に国が定めた「東日本大震災からの復興の基本方針」に反映され、その後の復旧・復興スキームの基礎となりました。
宮城の将来を見据え、震災復興計画を策定しました
震災からおよそ半年後の平成23年10月、震災復興計画を策定しました。この計画の趣旨は、宮城の将来を見据え、従来とは違った新しい制度設計や思い切った手法を取り入れて、復旧にとどまらない抜本的な再構築によって先進的な地域づくりを行うことであり、「災害に強いまちづくり宮城モデルの構築」など10項目の取り組みを柱として掲げました。
災害廃棄物を迅速に処理しました
震災によって、通常の年間処理量の約14年分に相当する約1,160万トンの災害廃棄物が発生しました。沿岸市町による処理だけでは対応が困難であったため、県による処理スキームを構築して県内4ブロックにおいて焼却処分等を行ったほか、県外での処理についても6都県に協力していただき、約3年間で全ての災害廃棄物の処理を完了しました。
応急仮設住宅を確保し、被災者のサポートを行いました
ピーク時(平成24年4月)には12万人を超える方々の仮設住宅を確保する必要があり、約2万2千戸のプレハブ仮設住宅を整備したほか、約3万5千戸の民間賃貸借上住宅(みなし仮設)を確保して対応しました。また、県ではサポートセンター支援事務所を開設し、各市町の仮設住宅サポートセンターの運営相談や専門職の派遣、支援スタッフの人材育成等の支援を行いました。
復興のマンパワーと復興財源を確保しました
被災地では、復旧・復興事業の圧倒的な事業量に比べ職員数が圧倒的に不足しており、各市町においては大規模な事業に精通した職員が少なかったことが課題でした。このため、国等を通じて全国の自治体に派遣要請を行うなど複数のルートによって人員を確保し、マンパワー不足に対応しました。
また、復旧・復興に当たっては、膨大な事業を実施しなければならず、適切な財政措置が講じられなければ、県や被災市町が描く抜本的な復興計画は「絵に描いた餅」になってしまいます。このため、国の復興構想会議で、使途の自由度が高く複数年度の使用が可能な一括交付金の創設や国庫補助制度の拡充、地方負担に係る地方財政措置の確保などを提案しました。その結果、国の平成23年度第3次補正予算において、地方負担を伴わない復興交付金の創設など全額国費による財政スキームが構築されました。
これまでにない独自の住宅再建支援を行いました
津波により被災した地域における住民の方々の定着を促し、復興まちづくりを推進するために、被災市町が地域の実情に応じた独自の住宅再建支援策を講じることができるよう、復興基金交付金約728億円(国の平成24年度補正予算分709億円、県の復興基金分19億円)を追加交付しました。この交付金によって、防災集団移転等の対象となる災害危険区域とそれ以外の区域における支援格差が解消され、被災者の自力再建を促す取り組みが抜本的に改善されることとなりました。
被災者の住まいの確保、なりわいの再建、市街地の再生が進みました
被災市町との緊密な連携の下、復興まちづくりを進めてきた結果、災害公営住宅については計画の9割以上(14,682戸 平成29年8月末日現在)が完成しました。また、防災集団移転促進事業、被災市街地復興土地区画整理事業等による宅地については、計画の約8割(7,804戸分 平成29年7月末日現在)が供給可能となりました。
被災事業者の再建については、グループ補助金や県単独補助金、専門家による相談支援事業等によりサポートし、約9割の事業者が復旧しました。
交通インフラについては、約3年で道路の全面通行止めを全て解消し、常磐自動車の全線開通(平成27年3月)や三陸縦貫自動車の延伸(平成29年3月 南三陸海岸IC)、鉄道についても、JR仙石線の全線運行再開(平成27年5月)やJR常磐線の運行再開による県内在来線の全線復旧(平成28年12月)など、着実に復興が進みました。
水産加工業の販路回復、競争力の強化に取り組みました
復興が遅れている水産加工業について、国内外の販路創出・競争力強化を行うため、経済商工観光部と農林水産部が一体となって取り組んでいます。
これまで、香港、タイ等での県産水産物販路開拓のためのプロモーションや、ベトナムのイオンモールで水産加工品のテストマーケティングを実施しました。また、平成28年6月に設立された「東北・食のソラみち協議会」や、平成29年3月に設立された「東北・食・輸出事業協同組合」と連携し、仙台国際空港を拠点とする農林水産物の輸出促進体制を整備しました。さらに、(公財)みやぎ産業振興機構内に水産加工業に特化した支援チームを起ち上げ、「ものづくり産業」で培われてきた支援手法を活用し、専門家を派遣しての生産性改善活動や水産加工業者等がグループで行う勉強会等を支援していくなど、課題解決をともに目指す「伴走型支援」を実施しています。
大規模イベントの開催による交流人口の拡大に努めました
大規模イベントは、県内外から多数の方々が来場するため、周辺市町村も含めた開催地域での大きな経済効果等が見込まれ、震災からの復興と支援への感謝を県内外に発信できる絶好のチャンスです。これまで、ジャニーズの「ARASHI BLAST in Miyagi(アラシ ブラスト イン ミヤギ)」や「リボーンアート・フェスティバル」、「ツール・ド・東北」、「ポケモンGO」を活用したイベントの開催などを通じて、沿岸被災地の観光誘客促進や震災記憶の風化防止に取り組んできました。
放射性物質による汚染廃棄物の処理方針に道筋をつけました
放射性物質による汚染廃棄物については、震災発生から6年間、一時保管を強いられている農家等の負担が非常に大きいことから、早期の処理が課題となっていましたが、平成29年7月の市町村長会議において、8,000ベクレル/kg以下の農林業系廃棄物の処理方針について合意に至ることができました。
など
2. 創造的復興と「富県共創!活力とやすらぎの邦(くに)づくり」に向けて
(1)富県みやぎの実現
企業誘致によってものづくり産業への転換を図り雇用の創出と県民所得の向上を図りました
自動車関連産業、高度電子機械産業など多くの製造業を誘致し雇用を創出しました。サービス産業中心からものづくり産業への転換が進み、県内総生産額は、名目で9兆199億円、実質で9兆5,148億円となり、第2次産業の割合が高まっています。また、一人当たりの県民所得も向上し、全国順位も24位に上がりました。
<企業立地件数>
348件(平成18年1月~平成28年12月)
<雇用創出数>
1万3,173人(平成21年4月~平成29年3月)
<県民総生産額(名目)>
平成17年度:8兆4,218億円 → 平成27年度:9兆199億円(速報)
<県民総生産額(実質)>
平成17年度:8兆4,292億円
→ 平成27年度:9兆5,148億円(速報)
<第2次産業の割合>
平成17年度:20.0% → 平成27年度:26.4%(速報)
<県民所得>
平成17年度:261万5千円(32位)
→ 平成26年度:280万7千円(24位)
仙台空港の民営化を実現しました ~創造的復興~
平成28年7月、全国に先駆けて、国管理空港で初めて仙台空港が民営化されました。空港運営会社は、東急電鉄等による仙台国際空港株式会社で、民間企業のノウハウをフルに活用した、国際線の増便やLCCの拠点化など民営化の効果が早速、現れてきています。また、福島、山形方面等との二次交通も充実してきており、東北のグローバルゲートウエイとしての拠点化が進展しています。
観光客が増加しました
観光客については、震災で一時大きく減少しましたが、JRや航空会社と連携した観光キャンペーン、各種イベントの開催などにより、観光客の増加を図りました。
<観光客入込数>
平成17年:5,441万人 → 平成28年:6,084万人
<外国人宿泊観光客>
平成19年:15万人泊 → 平成28年:18万人泊
農業・林業の競争力を強化しました
競争力のある農業経営を実現するため、農業経営の法人化、農地の大規模化・集約化を進めました。また、みやぎ県産木材の普及促進を図るため、県産木材の生産量拡大と利用拡大(優良みやぎ材の出荷量拡大)に取り組みました。
<農業法人数>
平成17年度:266法人 → 平成28年度:562法人
<農地利用集積率>
平成25年度:47.6% → 平成28年度:54.5%
<県産木材生産量>
平成17年度:33万3千m³ → 平成27年度:43万9千m³
<優良みやぎ材出荷量>
平成18年度:1万3千m³ → 平成27年度:3万m³
水産業復興特区を導入しました ~創造的復興~
震災後、漁業は再開資金の確保や担い手の高齢化、後継者不足等が大きな課題となっており、民間資本の導入が必要だと考えました。このため、平成25年に、地元漁業従事者の7割以上を含む法人に区画漁業権免許を付与する水産業復興特区制度を導入し、桃浦LLC(合同生産会社)が第1号として「桃浦かき」のブランド化、カキの加工品開発による高付加価値化などに取り組んでいます。若い従業員も増え、新たな水産業の経営モデルになると考えています。
など
(2)安心と活力に満ちた地域社会づくり
37年ぶりの医学部新設により医師不足対策を強化しました ~創造的復興~
平成28年4月、東北医科薬科大学医学部が新設されました。県は、学生30人分の修学資金を拠出し、卒業後2年間の初期研修を終えた後、県が指定する病院で10年間勤務していただければ返還を免除するという仕組みをつくりました。これによって、学生は国立大学の医学部と同程度の学費まで負担を抑えることができるようになり、地域医療に従事していただく医師の不足や偏在にも効果的に対応できることとなります。
ドクターヘリの運航を開始しました
平成28年10月から、ドクターヘリの運航を開始しました。県内全域を運航範囲として、基地病院である仙台医療センターと東北大学病院から交代で出動し、原則として、毎日運航しています。
保育所の整備を進めました
子育て世代が安心して子育てができるよう、保育所の整備を進めました。特に、事業所内保育所の整備について、国庫補助と併せて使える県単独補助金を創設し、子育て世代にとって働きやすい職場環境づくりを推進しました。
<保育所等入所定員数>
平成17年度:2万5,679人 → 平成28年度:3万9,361人
乳幼児医療費助成を拡充しました
平成29年度から乳幼児医療費助成の対象年齢を引き上げました。
<助成対象年齢>
平成28年度まで:入院(就学前)、通院(3歳未満)
平成29年度から:入院・通院(就学前)
小学校入学準備支援を始めました
平成29年度から、全国で初めて、県内一斉に小学校入学時の教材購入費等の助成事業を始めました。
特別養護老人ホームを整備しました
特別養護老人ホームの定員数を増やし、全国順位も上がりました。また、担い手となる介護人材の確保にも積極的に取り組みました。
<特別養護老人ホーム入所定員数>
平成17年度:6,388人 → 平成27年度:1万1,123人
<要介護認定者1万人当たりの定員数>
平成17年度:931人(46位)
→ 平成27年度:1,284人(25位)
<介護職員数>
平成19年度:2万346人 → 平成25年度:2万8,041人
健康づくりの県民運動を行いました
平成28年2月に「スマートみやぎ健民会議」を設立し、産官学が連携して健康づくり運動を行いました。
ワーク・ライフ・バランスに取り組む企業を応援しました
平成20年度から、女性の力を生かす企業認証制度を開始し、特に優れた取り組みを行っている企業を表彰するなど、ワーク・ライフ・バランスに取り組む企業を応援しました。
また、平成27年度に経済団体など県内の10団体による「宮城働き方教育推進等政労使協議会」を立ち上げ、平成28年8月には働き方改革に向けた共同宣言を採択し、働き方改革の先進的な取り組みを行っている企業を表彰しました。
など
(3)人と自然が調和した美しく安全な県土づくり
水素エネルギーの普及促進に取り組みました ~創造的復興~
国は、平成26年に水素社会の実現に向けたロードマップを発表し、四大都市圏(首都圏、近畿圏、中京圏、福岡・北九州圏)で水素自動車を普及させる方針を示しました。水素エネルギー産業はこれから大きく伸びることが期待されており、東北でもその普及・促進に取り組んでいかなければなりません。
県では、平成28年3月にはFCV(燃料電池自動車)を東北で初めて3台導入し、平成29年3月には四大都市圏以外で初めて本格的な商用水素ステーションがオープンするなど、東北における水素社会先駆けの地として着実に取り組みを進めました。
緑地環境保全地域の新規指定をしました
都市近郊の緑地が保全され、県内の貴重な植物や野生動物の生息地となっている、良好な自然環境の地域を積極的に保全していくことが必要です。
そのため、大衡村の昭和万葉の森緑地環境保全地域(21.81ha)と利府町、大郷町にまたがる番ヶ森山周辺地域緑地環境保全地域(800.04ha)の2地域、合わせて821.85haを新たに指定し、緑地の保全を行っていくこととしました。
広域的防災体制の整備を進めました ~創造的復興~
震災の教訓を踏まえ、傷病者の域外搬送拠点、支援部隊の一時集結場所やベースキャンプ用地の確保、物資の輸送中継拠点の必要性を痛感し、広域防災拠点を整備することとしました。
平成28年10月、広域防災拠点の計画地を取得し、平成32年度の一部供用開始に向けて整備を進めています。今後、広域防災拠点の整備とともに、県内7圏域8ヵ所の圏域防災拠点や市町村の地域防災拠点との連携体制を構築し、大規模災害に効果的に対応できる体制づくりを進めていきます。
など
ふるさと宮城の再生と発展のために
これからも全力で頑張ります!