ドナルドダックじゃない方

岬の兄妹のドナルドダックじゃない方のレビュー・感想・評価

岬の兄妹(2018年製作の映画)
2.5
なんなのかなぁ。たぶん映画の下地には明確な加害と被害の二項対立の図式があって、その関係が売春の行為を通してぐるんぐるんと入れ替わったりするドラマのダイナミクスがこの映画の面白いところなんですが、そういう極めて映画的な面白さをこれが障害者一般のリアルなんですとか、あるいは地方在住者のリアルなんですみたいな語り口でやっているのが嫌なんでしょうね。
難しいところで、それは一方で社会が抱える問題を炙り出すことでもあり、客にそうした現実を直視させることでもあり、しかしまた一方ではある意味ベタな地方蔑視であるとか、可哀想な障害者の像を強化することにも繋がるわけで、どのような意図で作り手がこの物語を紡いだか俺は知らないが、その暴力的な両義性に倫理的なためらいはどうしても覚えてしまう。
映画なんて面白ければいいじゃないと割り切れば笑えるところも多くてとても面白い映画なんで別になんも文句は出てこないが、題材的にそれでいいのだろうかとちょっと思ってしまうところはある。
というかそう思わせようとしている、ショッキングな内容で口コミ的論争を喚起しようとしている映画だ(それがまた嫌である)
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