写真:泉 よしか
地図を見る19世紀後半から20世紀に掛けて活躍した工芸家にしてアーティスト、ルネ・ラリック。箱根の仙石原に、彼の作品を集めた「箱根ラリック美術館」が建っています。
ラリックが生きた時代に、芸術表現の流行はアール・ヌーヴォーからアール・デコへと移り変わっていきました。彼の功績のひとつはその両方の第一線で活躍したことにあります。
どうぞ「箱根ラリック美術館」で、繊細で美しいラリック作品をご堪能ください。
写真:泉 よしか
地図を見るアール・ヌーヴォーは植物などの有機的な曲線を特徴とする芸術で、ラリックの他には画家のアルフォンス・ミュシャなどがよく知られています。
幼少期から、身近な自然をモチーフにした自分のスケッチを絵はがきとして売っていたラリックは、このアール・ヌーヴォーの時代に若くして才能を開花させました。
16歳の時の父の死を契機に宝飾職人への道を志し、22歳の時にはパリの高級メゾン、カルティエの宝飾デザインを請け負うほどに。彼は押しも押されぬ人気ジュエリー作家としての道を歩んでいきます。
写真はラリックが制作したジュエリーを展示している展示室。中央奥に見えるのは、ラリックのガラスパネルが飾る豪華な室内噴水です。
写真:泉 よしか
地図を見るこの頃の作品は、個性的でデコラティブ。1点ものの高価なジュエリーなど、どれも強い印象を残します。
写真はドラゴンと名付けられた櫛。他の作家が粒の揃った真珠を良しとする風潮の中で、ラリックはこうした大胆な形のバロック真珠(歪んだ真珠)を使うことも。
写真:泉 よしか
地図を見る1900年のパリ万博で爆発的な人気を博したラリックですが、やがて時代は機械化、大量生産化の波を受け、アール・ヌーヴォーに代わって実用的なフォルムを持つアール・デコ様式がもてはやされるように。
しかしパリのヴァンドーム広場で店が近所だったことから、香水商フランソワ・コティに香水瓶に貼るラベルデザインを依頼されたラリックは、新しい世界に飛び込んでいきます。彼はラベルだけでは満足せず、ガラスの香水瓶そのもののデザインを始めました。
写真:泉 よしか
地図を見るそれまで飾り気のないボトルで取引されていた香水は、買い求めやすいサイズとラリックのデザインした美しいガラスの人気も相まって、多くの女性に歓迎されます。以降ラリックはガラス工芸家として、一点もののジュエリー制作とは違った、大勢の人々の生活を豊かにするような作品を数多く作りだしました。
「箱根ラリック美術館」には、ラリックデザインのコティ社の香水瓶の展示も。このシクラメンと名付けられた香水瓶はご覧の通り、まだ中に当時の香水が閉じ込められているのがわかるでしょうか。
提供元:泉れな
地図を見る光を受けると乳白色から虹色に姿を変えるオパールを愛したラリックは、ガラスでオパールのような美しい色の変化を表現しようと様々な工夫を凝らし、上品で美しい輝きを放つオパルセントガラスも生み出します。
写真:泉 よしか
地図を見る館内には、香水瓶の展示室、ジュエリーの展示室、花器の展示室などありますが、こちらのセレクトコーナーは決して見逃さないでください。
写真:泉 よしか
地図を見る中でも注目は、「箱根ラリック美術館」で最も有名な作品 ブローチ「シルフィード」。
ポスターなどでこの作品を見たことのある方なら、思ったよりずっと小さいと驚かれるのでは。しかし小さいからこそ、その細工の細やかさ、あまりにも美しいバランスにきっと魅入られるはず。
写真:泉 よしか
地図を見るラリックの作品にはジャポニズムの影響を受けたものも多く、朝顔、菊など私たちに馴染みのある植物をモチーフに見つけることができます。
また、蝉や蜻蛉といったリアルな昆虫のデザインも。こちらの小箱「セミ」もまるで今にも動き始めそう。下に鏡が敷いてありますので、様々な角度から鑑賞することができます。
写真:泉 よしか
地図を見る「箱根ラリック美術館」のショップは二つあります。
一つはミュージアム棟にあるミュージアムショップ。ラリックの図録、オリジナルグッズなどを販売しています。
ラリックのデザインを和紙で蘇らせたレターセット、手ぬぐい、お菓子など、お洒落なお土産になりますね。
写真:泉 よしか
地図を見るもう一つは別棟のショップ「PASSAGE(パッサージュ)」。こちらは庭園、カフェ・レストランLYS(リス)や後述のオリエント急行LE TRAIN(ル・トラン)同様、ミュージアムの入館料を払わなくても利用できます。
ここはパリのアーケード街をイメージしたお土産ショップで、和風洋風を問わずお洒落で可愛らしいグッズが揃います。こだわりの加工食品なども取りそろえ、観光客だけでなく、実は近隣住民のお客さんも多いとか。
写真:泉 よしか
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写真:泉 よしか
地図を見る「箱根ラリック美術館」で最後にご紹介するのはオリエント急行の豪華サロンカー。レプリカではありません。2001年までパリからイスタンブールまで走っていた本物の車両です。
アガサ・クリスティ原作で1974年に公開された映画「オリエント急行殺人事件」に登場した車両と同じデザイン。装飾パネルと天井灯を手がけたのはラリックで、車内の葡萄と人物像が浮き彫りになったガラス製装飾パネルが見どころです。
写真:泉 よしか
地図を見るこのクラシカルで豪華なオリエント急行「LE TRAIN(ル・トラン)」では、制服姿のクルーの説明を聞きながらティーセットをいただくことができます。
所要時間は45分。10時から最終回の16時までの1日7回。電話予約はできませんので、当日現地で予約してください。
動画:泉 よしか
地図を見る約10秒の短い動画ですが、オリエント急行サロンカー車内を360度ぐるりとご覧ください。
そしてあとはぜひ、箱根ラリック美術館を訪れて、実際にこの座席に腰を掛け、映画の登場人物になった気分で優雅なひとときをお過ごしください。
住所:神奈川県足柄下郡箱根町仙石原186-1
電話番号:0460-84-2255
開館時間:午前9時~午後5時(美術館入館は4時30分まで)
アクセス:箱根登山バス「仙石案内所前」下車すぐ、または小田急箱根高速バス「箱根仙石案内所」下車すぐ
2018年10月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2021/8/23更新)
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