AppleのiPhoneのCPUプロセッサはiPhone 4sからAppleが独自に開発しているAプロセッサを搭載していますが新機種が発売するたびにプロセッサの性能が向上しています。
ここでは、iPhoneとiPadのCPUプロセッサのA8、A9、A10 Fusion、A11 Bionic、A12 Bionic、A13 Bionic、A14 Bionicのスペック、性能、実際の動作速度の違いについて詳しく書いています。
この記事の目次
iPhoneのCPUプロセッサの性能比較
Aプロセッサのスペック
iPhoneを動作させるための重要パーツの一つがCPUプロセッサです。AppleのiOSデバイスに採用しているプロセッサはAppleが独自開発しているAプロセッサとなっています。
2015年〜2017年のiPhoneに搭載しているチップは以下のとおりです。
iPhone 7/7 Plus | iPhone 6s/6s Plus | iPhone 6/6 Plus | |
プロセッサ | A10 Fusion | A9 | A8 |
CPUコア数 | 2 + 2 = 4コア | 2コア | |
内蔵GPU | PowerVR 7XT GT7600 Plus(6コア) | PowerVR 7XT GT7600(6コア) | PowerVR 6XT GX6450(4コア) |
ニューラルエンジン | – | – | – |
プロセスルール | 16nm | 20nm |
A10 FusionはiPhone 7だけでなくiPad(第7世代)にも採用されていて幅広い端末に搭載されていて2020年になった今現役で使うことができるプロセッサとなっています。
2018年〜2020年のiPhoneに搭載しているチップは以下のとおりです。
iPhone 12シリーズ | iPhone 11シリーズ、SE2 | iPhone XSシリーズ、XR | iPhone X/8/8 Plus | |
プロセッサ | A14 Bionic | A13 Bionic | A12 Bionic | A11 Bionic |
CPUコア数 | 2 + 4 = 6コア | |||
内蔵GPU | Apple GPU(4コア) | Apple G11P(4コア) | Apple GPU(3コア) | |
ニューラルエンジン | 16コア(毎秒11兆回) | 8コア(毎秒6兆回) | 8コア(毎秒5兆回) | 1コア(毎秒6000億回) |
プロセスルール | 5nm | 7nm+ | 7nm | 10nm |
A11 Bionic以降のチップは機械学習ができるニューラルエンジンを搭載しARや空間認識機能が大幅に向上しています。これにより、全体的な速度向上、電力効率が向上しバッテリーの持ちも良くなったのも大きな特徴となっています。
最新のiPhone 12・12 ProはA14 Bionicプロセッサを搭載しています。iPhone 11・iPhone 11 Pro、iPhone SE(第2世代)のA13 Bionicも性能と省電力を両立していましたが、A14 Bionicはさらに微細化しトランジスタ数が118億個になって高性能化しています。
Aプロセッサの性能比較
各プロセッサの性能をGeekbench 5で計測してみました。
プロセッサ | A10 Fusion | A9 | A8 |
---|---|---|---|
モデル | iPhone 7 | iPhone 6s/SE | iPhone 6 |
シングルコア(CPU) | 714 | 548 | 141 |
マルチコア(CPU) | 1173 | 995 | 313 |
Metal(GPU) | 2815 | 1836 | 451 |
ブレイクスルーとなったのがiPhone 6s/6s PlusとiPhone SE(第1世代)に採用されているA9チップとなっていて、A8 → A9により3倍もCPUの性能が向上しています。
実際の動作速度もA8のiPhone 6はかなりモッサリしていますが、A9チップを搭載しているiPhone 6s・iPhone SEは普通に動作しますし、まだ現役で使うことができる性能を持っていると感じます。
A11 Bionicプロセッサ以降は機械学習ができるニューラルエンジンを搭載し空間認識の処理ができるようになりました。Face IDの顔認識などはニューラルエンジンで処理をしていますがARの処理などもしています。
Geekbench 5でスコアを計測してみました。
プロセッサ | A14 Bionic | A13 Bionic | A12 Bionic | A11 Bionic |
---|---|---|---|---|
モデル | iPhone 12 Pro | iPhone 11 Pro | iPhone XS | iPhone X |
シングルコア(CPU) | 1594 | 1334 | 1116 | 901 |
マルチコア(CPU) | 4097 | 3378 | 2309 | 2048 |
Metal(GPU) | 9156 | 7717 | 5492 | 3810 |
2020年モデルのiPhone 12 mini、iPhone 12、iPhone 12 Pro、iPhone 12 Pro Max、4機種が採用しているA14 BionicはiPhone 11 ProのA13 BionicよりもCPUが25%、GPUが30%性能が向上しています。
世代を重ねるごとにプロセッサの性能が順当に向上しており、A14 Bionicは5nmの微細プロセスで製造されていることもあり処理性能を上げつつ、省電力性能を維持しているのはさすがです。
動作速度の違いを比較
A10とA8 動作速度比較(iPod touch)
A10 Fusionを搭載しているiPod touch(第7世代)とA8のiPod touch(第6世代)の動作速度の違いを比較してみました。A10 FusionとA8プロセッサの処理速度の違いが一番分かりやすいような気がしますね。
iPod touch(第6世代)は普通にインターネットするだけでも、動作速度が遅くもたついていますが、2019年5月に発売されたiPod touch(第7世代)はブラウザの表示速度、App Storeの動作速度、地図アプリの快適性などすべての動作において快適に動作しています。
A11・A10の動作速度比較(iPhone)
A11 Bionicを搭載しているiPhone 8とA10 FusionのiPhone 7の動作速度を比較してみました。
iPhone 7に採用されているA10 Fusionは3年ほど前のプロセッサですが、性能が高くて処理速度が十分速いのでA11 Bionicを搭載しているiPhone 8と比較して大きな差があるわけではないです。
少しだけiPhone 8よりも読み込む、描画速度が速いかな…ってレベルです。ただし、iOSのバージョンが最新のものになるたびに動作速度が遅くなっていくので、最新のiOS 13だとiPhone 7はもたつきを感じることがあります。
A12・A11 動作速度比較(iPhone)
A12 BionicのiPhone XRとA11 BionicのiPhone 8の動作速度を比較してみました。
少しだけiPhone XRの方が表示速度が速いようにも感じますが、体感はほぼ同じ動作速度と見ていいでしょう。なお、iPhone XS、iPhone XS MaxもA12 Bionicを搭載しています。
A13・A11 動作速度比較(iPhone)
A13 BionicのiPhone 11と、A11 BionicのiPhone 8 Plusの動作速度を比較してみました。
トータルで見てiPhone 11の方が描画速度が速いですが、iPhone 8 Plusでも十分な速度は出ているので普段使いで困ることはないのかな。
ここまでチップの性能が向上するとブラウザやTwitterくらいじゃ動作速度に差はほとんど出ないんですね。なので、動画編集とか負荷のかかる作業で差が出てくるのでしょう。
A13 Bionicはただ高性能なプロセッサではなくA12 Bionicと比較し20%高速、40%省電力になっていて、iPhone 11 ProはXSよりも4時間も電池持ちが改善しています。
なお、2020年4月に発売した4.7インチのiPhone SE(第2世代)もA13Bionicプロセッサを搭載し小さいのに賢い性能を身にまとっています。
iPad CPUプロセッサの比較
現行のiPad(第8世代)、iPad mini(第5世代)と1世代前のiPad Air(第3世代)に搭載しているCPUは以下のとおりです。通常モデルのiPadはiPhoneと同じ通常版のAプロセッサを搭載しています。
iPad(第8世代) iPad Air 3 iPad mini 5 |
iPad Pro 10.5 | iPad(第7世代) | iPad Pro 9.7 | |
プロセッサ | A12 Bionic | A10X Fusion | A10 Fusion | A9X |
CPUコア数 | 2 + 4 = 6コア | 3 + 3 = 6コア | 2 + 2 = 4コア | 2コア |
内蔵GPU | Apple G11P(4コア) | Apple GPU(12コア) | PowerVR 7XT GT7600 Plus(6コア) | PowerVR 7XT GTA7850 Plus(12コア) |
ニューラルエンジン | 8コア(毎秒最大5兆回) | – | – | – |
プロセスルール | 7nm FinFET | 10nm FinFET | 16nm FinFET |
iPad Proに採用されているAプロセッサはグラフィック性能を強化したバージョンとなっています。Geekbench 5による各プロセッサの性能はこのようになっています。
プロセッサ | A12 Bionic | A10X Fusion | A10 | A9X |
---|---|---|---|---|
モデル | iPad(第8世代) iPad Air 3 iPad mini 5 |
iPad Pro 10.5 | iPad(第7世代) | iPad Pro 9.7 |
シングルコアスコア | 1110 | 830 | 750 | 640 |
マルチコアスコア | 2700 | 2200 | 1400 | 1350 |
Metalスコア | 5300 | 6900 | 3200 | 4100 |
CPUの性能はA12 Bionicが最も性能が高くなっていますが、GPUの性能はiPad Pro 10.5インチのA10X Fusionが高くなっています。
とはいえ、現行の無印のiPadとiPad mini 5に搭載されているA12 Bionicは2世代前のiPad ProのA10X FusionよりもCPUの性能が高く快適に動作させることができるようになっています。
現行のiPad Pro 11インチ・12.9インチはA12Z Bionic、iPad Air(第4世代)はiPhone 12と同じA14 Bionicを搭載しています。
iPad Air(第4世代) | iPad Pro 11・12.9インチ(2020) | iPad Pro 11・12.9インチ(2018) | |
プロセッサ | A14 Bionic | A12Z Bionic | A12X Bionic |
CPUコア数 | 2 + 4 = 6コア | 4 + 4 = 8コア | |
内蔵GPU | 4コア | 8コア | 7コア |
ニューラルエンジン | 16コア(毎秒最大11兆回) | 8コア(毎秒最大5兆回) | |
プロセスルール | 5nm | 7nm FinFET |
iPad Pro(2018)のA12X BionicはA12 BionicのGPU強化版となっておりGPUのコアが4つから7つに増えています。さらに、iPad Pro(2020)のA12Z BionicはGPUのコア数が8つとなっています。
Geekbench 5の性能はこうなります。
プロセッサ | A14 Bionic | A12Z Bionic | A12X Bionic |
---|---|---|---|
モデル | iPad Air(第4世代) | iPad Pro 11・12.9インチ(2020) | iPad Pro 11・12.9インチ(2018) |
シングルコアスコア | 1550 | 1140 | 1140 |
マルチコアスコア | 4200 | 4700 | 4700 |
Metalスコア | 12500 | 11800 | 11400 |
CPUの性能はiPad Proがなんとか死守していますが、GPUの性能はiPad Air(第4世代)のA14 Bionicの方が上となっています。いかに、このチップが高性能なのかがわかる結果となっています。
しかも、A14 Bionicの方がニューラルエンジンのコア数が多くて機械学習の処理性能はiPad ProよりもiPad Air(第4世代)の方が上となっているのでトータルの処理性能はiPad Airの方が高いのかもしれません。
A12 BionicとA10X 動作速度比較(iPad)
iPad Air 3(A12 Bionic)とiPad Pro 10.5(A10X)の動作速度を比較してみました。
ほぼ同じ動作速度ですね。となるとCPUの世代が新しいiPad Air 3を購入した方がいい…ということになるのかもしれません。
https://www.sin-space.com/entry/ipadair-vs-ipadpro-10-5
A12 BionicとA10 動作速度比較(iPad)
iPad Pro 11インチ(A12X Bionic)とiPad(A10)の動作速度を比較してみました。
iPad(第6世代)とiPad Pro 11インチの性能差が一番わかりやすいですね。さすが、iPad Pro 11インチはいかなる操作もワンテンポ速く動作できているのがわかります。
ストレージ速度も高速化
iPhoneはCPUプロセッサだけではなくストレージの性能も向上していることが明らかになっています。
こちらのグラフはSSDストレージの読み込む速度を測定したグラフです。(Berefeats.com)
iPhone 6s Plusのストレージのデータ転送速度は713MB/sですが、iPhone7は20%ほど速い838MB/sとなっています。iPhone 6 Plusが192MB/sというにはめちゃくちゃ遅いですね…。
このようにiPhoneの性能は新モデルが出るたびに向上しています。つまり、最新型のiPhone XS/XS Max/XRのストレージの性能もさらに向上している可能性は高いということになります。
まとめ:A10 Fusion以降のプロセッサはどれも高性能
iPhone 7に採用されているA10 Fusionプロセッサを搭載した機種であれば、インターネットをしたり、SNSをしたり、ゲームをするといった普段使いなら特に問題はないのかなと思います。
iPod touch(第7世代)はクロック周波数を少しだけ抑えたA10 Fusionですが、体感速度はなんら問題はありませんし、普通に快適に使うことができます。
旧型のiPhone、iPadを使っていて新しい機種に乗り換えを考えているのなら、A10 Fusion、A11 Bionic、A12 Bionicを搭載したモデルにするのがおすすめです。
- 予算が限られている:A10 Fusion(iPhone 7/7 Plus、iPod touch7、iPad)
- トータルバランスを重視:A11 Bionic(iPhone 8/8 Plus/X)
- そこそこ快適なデバイス:A12 Bionic(iPhone XS/XS Max/XR、iPad Pro、iPad Air 3、iPad mini 5)
- 快適なデバイス:A13 Bionic(iPhone 11/11 Pro、iPhone SE2)
ラインナップが多くて複雑なので選ぶのが大変ですが、どれを選んでも問題はないのかなとは思います。
もし、4インチのiPhone 5sやiPhone SEを使っている方はiPhone SE(第2世代)かiPhone 8に乗り換えるのがおすすめですよ。
現在販売されている全てのiPhoneを比較はこちらをどうぞ!
2020年モデルのiPhone 12・12 Proはこちらです。
iPhoneを買ったら合わせて購入しておきたいiPhoneの周辺機器とアクセサリー、iPhoneの本体カラー、iPhoneのおすすめ容量の選び方などはこちら。
役に立ちました!!!