写真:泉 よしか
地図を見る「川原湯温泉」の歴史は八ッ場ダムに翻弄されてきました。1952年に計画が発表され、1967年に八ッ場ダムの建設が決定したときに、800年の歴史を持つ川原湯温泉はダムの底に沈むことが決定づけられてしまったのです。
しかし計画はそのままスムーズにいったわけではなく、さらに川原湯温泉を含む地域の分断は進みました。
そして計画発表から70年近い年月を経て完成した八ッ場ダム。安全性を確認するための試験湛水開始直後に上陸した2019年の台風19号(令和元年東日本台風)では、本格運用開始前であったにも関わらず貯水に貢献したと言われています。そのニュースはまだ多くの人の記憶にも新しいのではないでしょうか。
写真:泉 よしか
地図を見る「山木館」は川原湯温泉の老舗旅館。旧温泉街がダムの底に沈んだ後、高台に移転した新しい川原湯温泉で次世代を担う旅館のひとつです。
15代目を継いだご主人の樋田さん、20代という若さですが、川原湯を盛り立てていきたいという思いは強く、70年かけて分断されてしまった川原湯を70年かけてもまた一つにしていきたいと語ります。
写真:泉 よしか
地図を見る客室はわずか8室。にも関わらず館内は広く他のお客さんと顔を合わせる機会があまりないほどにゆったりと作られています。
写真:泉 よしか
地図を見る現在の川原湯温泉は道路やトンネルなど全てがまだ新しく、作られたばかりの温泉地といった雰囲気ですが、「山木館」の中に一歩足を踏み入れれば、そこには古くから使われてきたものを含め独特の世界観が広がっています。
写真:泉 よしか
地図を見るこちらは温泉のお風呂付きのお部屋のひとつ「冬青(そよご)」。
ゆったりとした作りで家族や三世代で泊まるにもぴったりです。どこか古民家のような趣を感じさせつつもスタイリッシュ。
写真:泉 よしか
地図を見るお二人での泊まりなら小上がりに布団敷きの「夏櫨(なつはぜ)」または「小真弓(こまゆみ)」(写真)という選択も。夏櫨は紺系統、小真弓は朱系統のカラーリングで統一されています。
お気づきになられたかもしれませんが、客室の名前は全て植物から。そして「山木館」の庭には客室名になった植物が全て植えてあります。良かったらご自身の泊まったお部屋の木を探してみて下さいね。
写真:泉 よしか
地図を見るお部屋以外にもくつろげるスペースがたくさんあります。ぜひ足を運んでほしいのが書斎「侘助」。室内には壁一面の本、本、本。こんな書斎に憧れていたという人もいらっしゃるのではないでしょうか。
棚にある本は小説や図鑑のほか、児童書やマンガも。そして八ッ場ダム関連の書籍が揃っていることも特徴の一つ。
この「侘助」は実は古い蔵をそのまま利用しています。それも既にダム湖の底に沈んでしまった旧川原湯温泉から移築したものなのです。
写真:泉 よしか
地図を見る暖炉のあるラウンジ「山法師」も居心地の良いスペースのひとつ。フリードリンクでコーヒー、紅茶、緑茶、ハーブティーなど8種類のドリンクがマシンを使ってパックから抽出できます。蓋付きの容器に入れてドリンクをお部屋に持ち帰れるのも嬉しい。
写真:泉 よしか
地図を見るまた「山木館」はまるでギャラリー。特に14代当主の従兄弟にして"しゅのんそー美術連盟"を主宰するアーティスト佐藤やすしこ氏の絵画を中心に、館内には数多くの絵画が飾られています。まさに美術館の温泉旅館です。
写真:泉 よしか
地図を見る大浴場は源泉掛け流しの石庭の湯と木漏れ日の湯があり、それぞれ内湯に露天風呂付き。夕食時に男女が入れ替わります。
以前から使っていた川原湯の旧源泉に、新しく掘削した新源泉を混合して使っています。
写真:泉 よしか
地図を見る大浴場の他に空いていれば自由に札を返して使える貸切風呂「竹風の湯」も。こちらは二面の窓を開け放てば露天風呂のように使えます。
男女別の大浴場+貸切風呂。この他に冬青のようにお風呂付きのお部屋もありますから、わずか8室の旅館としては大変贅沢なお風呂の使い方だと思います。
写真:泉 よしか
地図を見る8にこだわる「山木館」ですが、実はシャンプーやボディーソープの種類も8種類あるんです。お部屋備え付けのファイルにどのお風呂にどのシャンプーがあるか整理されていますので、選ぶのもまた楽しいですね。
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写真:泉 よしか
地図を見る「山木館」の食事は個室制。他のお客さんとかちあうことなく落ち着いて食べられます。
2階建ての食事処は「又兵衛」といい、もともとは養蚕に使われていた建物を移築しました。なお「又兵衛」というのは山木館の主が代々襲名して受け継いできた大切な名前です。
写真:泉 よしか
地図を見る山の中の温泉地ゆえ、食材も山のもの、地のものが中心です。
お造りは新鮮な上州の川魚。肉は群馬猪豚や上州牛。群馬の名産である蒟蒻は折田農園や小山農園といった地元のブランド蒟蒻。デザートにはやはり地元長野原町の浅間酒造の酒粕を使ったオリジナルの甘酒ムースなど。
群馬県には海は無いものの、こんなに美味しいものがいっぱいあったのかと改めて驚かされます。
写真:泉 よしか
地図を見る一方、朝食のお楽しみは御幸飯(おこわ)。実は山木館だけでなく川原湯温泉の旅館の朝食は御幸飯が定番なのです。そしてその理由は400年前の言い伝えにあります。
温泉あっての温泉地ですが400年前に突然湧いていたお湯が止まるという大事件が。しかし温泉のにおいとゆで卵のにおいが似ていることから、村人が鶏を捧げて祈ったところ再びお湯が湧くようになりました。
この時に喜びの余りお湯を掛け合って喜び、御幸飯を炊いて感謝したそうです。このエピソードから川原湯温泉では朝食に御幸飯を提供するように。そしてお湯の掛け合いは毎年1月20日の早朝に今も行われ、川原湯温泉の奇祭「湯かけ祭り」として全国に知られているのです。
川原湯温泉の「山木館」は蔵を使った書斎や養蚕に使われた古民家の食事処があり、新しいのに懐かしい温かみのある温泉旅館です。
そのクオリティからいって、かなりお得な穴場宿でもあります。たった8室しかないのに充実した館内設備はお籠もりするにもぴったり。そのためか、「山木館」に泊まると何故か夫婦仲、家族仲が良くなるとお礼の言葉をいただくことがあるそうですよ。
八ッ場ダムが完成して新天地で新しい歴史を歩み始めた川原湯温泉。「山木館」とともにこれからどのように変わっていくのかも楽しみです。
休業情報については公式サイトにてご確認ください。
※群馬県では6月5日~7月31日宿泊分の期間限定・群馬県民限定で1人5,000円割引キャンペーンも行っています。詳細は関連MEMOにリンクした愛郷ぐんまプロジェクト「泊まって!応援キャンペーン」をご覧ください。
2020年6月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2021/8/22更新)
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