「青天を衝け」 家康の後ろで動く黒衣は何者なのか
ライター・坂口さゆり
渋沢栄一が主人公の大河ドラマ「青天を衝け」(NHK総合、日曜夜8時)。ドラマが始まって以降、北大路欣也扮する徳川家康が、人気者の一人になった。劇中の随所に現れ、毎回登場する際のあいさつ「こんばんは、徳川家康です」は、すっかりおなじみに。栄一が生きた激動の時代を俯瞰(ふかん)的に見る「案内役」の役割を担っている。
その家康とともに登場し、華麗なパフォーマンスをする黒衣も注目を集めている。流れるような動きは一体何者なのか。その謎を解くべくNHKの担当者に聞いた。
ドラマ制作者によると、黒衣は、パントマイムの動きをベースに舞台作品を演出する小野寺修二さん主宰の「カンパニーデラシネラ」のメンバーらが演じている。普段は国内外の劇場で公演を行ったり、小中学校に赴いて作品を上演したりしている。
では、なぜ黒衣なのか。
担当者は、「黒衣はいわば、家康の心、もしくは分身のようなものかもしれません」と言う。彼らは布やふすまなど、身の回りのものを使って家康の語りを視覚化する。ドラマは江戸時代から明治時代にいよいよ突入するが、家康や黒衣は今後も登場するそう。「時代が大きく変わる時に人がどのように生きていたかを描く作品なので、人の体温が伝わるような表現にこだわってお見せできれば」と話していた。(ライター・坂口さゆり)