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天体のメソッド第13話(最終話)「はじまりのそらから」のストーリー解析を行う。天体のメソッドこれにて完結。
→前回
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向日葵の咲く丘で。
■評価
★★★ テクニカル、コンプレックス
[ニコニコチャンネル]http://ch.nicovideo.jp/sora-no-method
■総評
第13話(最終話)はノエルとの再会の回。ただし、それはストーリーの形式にすぎない。第13話が持つテーマは天体のメソッドを総括するものであり、それを踏まえないとストーリーの流れは非常につかみにくい。ノエルに会いたいという気持ちは大事だが、それが先行してしまうと逆に強度が下がってしまうという特殊な事情を抱えている。ぜひ作品が持つ「テーマ」に注目しながらじっくりと見てほしい。
■基本情報
原作 - カレイドシフト
原案・脚本 - 久弥直樹
監督 - 迫井政行
アニメーション制作 - Studio 3Hz
→Wikipedia
■登場人物
[主人公たち]
古宮 乃々香(こみや ののか) - 夏川椎菜
ノエル - 水瀬いのり
水坂 柚季(みずさか ゆずき) - 豊崎愛生
水坂 湊太(みずさか そうた) - 石川界人
椎原 こはる(しいはら こはる) - 佳村はるか
戸川 汐音(とがわ しおね) - 小松未可子
[乃々香の家族]
古宮 修一(こみや しゅういち) - 土田大
古宮 花織(こみや かおり) - 茅野愛衣
■ドライバー分析
第13話のメインドライバーは、
①乃々香たちがノエルを呼び、ノエルが帰ってくる(L-P-L)
である。また、サブドライバーとして
②汐音が乃々香を励ます(G)
③柚季、こはる、湊太がノエルのことを思い出せないことを悔しがる(E-G、F)
④乃々香と汐音が気持ちを確かめ合う(L-L)
などがある。
第13話(最終話)は、ノエルとの再会である。ストーリーは一見、シンプルで分かりやすい。しかし、ストーリー進行には非常に詩的な部分があり、そこに踏み込むと途端に解釈が難しくなるストーリーとも言えるだろう。
第13話で最も注意を要するのは、描かれている「テーマ」が何かということ。これは非常に難しい問題で、第13話の難解な部分はすべてその「テーマ」によるものと言っていいだろう。ここでは、それに迫るために、逆説的に形式的なストーリーの側から振り返ってみよう。
まず、第13話の大雑把な時系列は次のようになる。
(1)汐音が弱気な乃々香を勇気づける(G)
↓
(2)乃々香と汐音の呼び掛けで幼馴染5人が集まる(E-G、F)
↓
(3)5人で円盤(ノエル)を呼ぶ(L)
↓
(4)5人がノエルと再会する(L)
分析的に言えば、第13話のストーリーの最大の目的は「ノエルと再会すること」であり、ストーリーはそれを目指して進行する。具体的には、乃々香が気持ちを持ち直す(1)、5人が団結する(2)、円盤を呼ぶ(3)、ノエルが現れる(4)という流れだ。このようにみると、第13話のストーリーは「5人が協力して、ノエルと再会する話」と言えるだろう。
しかし、この形式的なストーリーに納得がいかない人も多いのではないだろうか。なぜなら、このストーリーには不可解な点が非常に多いからだ。
例えば、(2)において、柚季、こはる、湊太はノエルのことをはっきりと思い出したわけではない。もし、「みんなの強い想いがノエルに届く」のであれば、ここははっきり思い出して円盤を呼びたいところ。しかし、柚季、こはる、湊太は記憶が曖昧なまま円盤を呼んでいる。(また、心変わりのきっかけもない。)
[円盤を呼ぼうとする乃々香たち]
また、その後の(3)のシーンも、ラストカットはなぜか花びらが舞う向日葵畑。これは非常に詩的な表現で、それが何を意味するのかは分かりづらい。
[なぜか向日葵畑で終わる中盤のシーン]
あるいは、ラストシーンも似たような感じだ。本編でノエルの顔が映るのはラストの1カットのみ。これは大泣きした第11話の別れのシーンに比べると、あまりに少ない。もし、王道的に考えるならば、再会シーンには再会を望んでいたノエルの気持ちが表現されるべきだが、実際には「ただいま」という当たり障りのないセリフで終わっている。(第1話の逆ではあるのだが。)
[帰ってきたノエル]
このように、第13話を「ノエルと再会する話」と考えた場合、急所となる重要なシーンには曖昧な表現や、説明不足の点が多い。そのため、ストーリーには、
・この新しい時空は何だったのか?
・花びらや汐音の帽子にはどういう意味があるのか?
・なぜ、ノエルはあっさり帰ってこれたのか?
・柚季たちは記憶を取り戻したのか?
・円盤はどうなったのか?
といった様々な疑問が残ることだろう。おそらく、第13話を「ノエルと再会する話」だと考える限り、その答えは出ない。
そこで逆説的に考えるならば、このような曖昧性は、第13話に「ノエルと再会する」という目的とは別の「テーマ」があるということを示唆している。それは天体のメソッドの中的テーマともいえるものだ。第13話を解釈する際、この隠された「テーマ」は必要不可欠かもしれない。
そのテーマとは「いつでも(いつまでも)気持ちはつながっている」である。
大胆に言えば、第13話は「ノエルと再会する話」ではない。それはストーリーの形式的な目的にすぎず、「いつでも(いつまでも)気持ちはつながっている」ことがもたらす結果の1つでしかない。もう少し具体的に、シーンを追いながら見てみよう。
まず、ストーリーの序盤、乃々香は汐音に天文台で勇気づけられる。この時、乃々香はまだノエルが夢だったのではないかという不安を抱えている。このシーンでの乃々香のセリフは次の通り。
「夢じゃなかった。町に浮かんでいた円盤のことも、いつもそばで見守ってくれてたノエルのことも、全部本当?……良かった。みんながノエルのことを忘れていて、私何もできなくて。でも汐音が覚えていてくれて良かった。私だけじゃないって分かっただけでも」
ここで、乃々香が恐れているのが「ノエルを忘れてしまうこと」であることに注目してほしい。それに対し、汐音は乃々香を優しく勇気づける。
[序盤では、乃々香は大きな不安を抱えている]
「本当にそれでいいの?私のよく知っている乃々香っていう女の子は、一度こうしたいって決めたら絶対に最後まで譲らないような、まっすぐで、素直で。そんな言葉にみんなの言葉が動かされていく。私の知っている友達はそういう女の子だったはずだったけど、違った?」
これは第11話で乃々香が汐音を説得した際のセリフによく似ている。さらに汐音は「私もあきらめない乃々香に心を動かされた一人だから、私のことを信じて」とも言っている。こちらは、乃々香を信じきれず、裏切られることを怖がっていた第8話(汐音の解決回)のことを思い出させる。(汐音がもう一度人を信じられるようになったのは、乃々香やノエルに動かされた第8話からである。)
ここで、2つの事柄、「ノエルという概念が失われそうになっていること」と、汐音が「信じてほしい」と言っていることを繋げて考えてみてほしい。ノエルが「消える」という詩的表現は、第12話以降「ノエルという概念が消える」ことを意味している。汐音が提示している「信じる」という行為は、その対抗手段になりうるだろう。
もっと言えば、汐音は最終話のテーマである「いつでも(いつまでも)気持ちはつながっている」ということを「信じて」いる。最終話の汐音の強さの秘密はそこにある。
そのことを踏まえると次の、柚季、こはる、湊太たちを集めたシーンの見え方はだいぶ変わる。乃々香と汐音から桟橋に集められた3人は、戸惑いながらも、
「ノエルなんて知らない。知らないはずなのに無視できないんだよ」
「私もそうだよ。乃々香の言葉が頭から離れない。知らない女の子の思い出をずっと探してるの。見つかるわけないのに」
「もうこんなの嫌。分かってるの。ぽっかり何かが欠けてるってこと。こはるも、湊太だってそうでしょ?大切なものを失くしたことは分かるのに、それが何だったのか思い出せない。それが悔しいの」
などと、失くしてしまったノエルの思い出について語る。
[もどかしさを抱えた柚季たち]
これは一見、ご都合主義的な展開にみえるかもしれない。だが、実はそうではない。このシーンは先ほど挙げた重要なテーマと関係している。3人に対する汐音のセリフはこうだ。
「安心した。みんな同じだってこと。柚季もこはるも湊太も。私も、乃々香も。きっと同じ想いでつながっている。7年前のあの時から、ずっと。もう一度確かめないと、大切なものを。完全に私たちの中から消えてしまう前に」
最終話のテーマが「いつでも(いつまでも)気持ちはつながっている」ということだと仮定すると、この汐音のセリフは非常に分かりやすい。このシーンは柚季、こはる、湊太たちも「同じ想いでつながっている」ということを表現しようとしているのだろう。
そう考えると、乃々香や汐音が3人を説得するのは逆に不自然に思えてくる。最終話で描いているのは、「つながっていないものをつなげよう」ということではなく「すでにつながっているものを確かめよう」ということだ。だから、乃々香がみんなを説得するまでもなく、5人は“すでに”団結している。そして、この「つながっている」ということが、必然的にノエルとの関係にも及んでいく。
その後、乃々香、汐音、柚季、こはる、湊太の5人は、共有する想いを確かめるために再び天文台で円盤を呼ぶ。それは自分たちの想いがノエルとも繋がっていることを確かめる行為だ。だから、これは「ノエルに会いたい」と言うよりは、「みんなはここにいるよ」というメッセージのようなものだろう。
[円盤(ノエル)を呼ぶ乃々香たち]
その後、汐音の帽子が飛ばされ、乃々香たちは一面の向日葵畑に誘われる。現実的に考えるならば、汐音の帽子が飛ばされたことや、向日葵の花びらが飛んでいることは、ノエルとは何の関係もない。しかし、このシーンをテーマの面から考えると、これが乃々香たちの想いと関係していることは明らかだろう。
[舞い上がる花びらを見る乃々香たちと、空に消えた汐音の帽子]
少し、ノエルと円盤の関係を思い出してほしい。ノエルが乃々香たちの想いに触れたとき、円盤はそれに呼応して光り輝いていた。このシーンでの乃々香たちと、帽子、向日葵の関係はそれと同じだ。帽子はノエルに会いに行くメッセンジャー、吹き上がる向日葵の花びらは乃々香たちの想いに反応しているのだろう。(帽子はラストシーンでノエルとともに帰還する。)
これは心理描写というよりは、世界が乃々香たちの想いを受け入れているように見える。
[5人の想いは世界の中に託される]
そして、その後のベンチのシーンも印象的だ。ここで、乃々香と汐音はあのベンチに座って花織の鼻歌を口ずさむ。ここで乃々香は花織との「約束」を思い出すのだが、これを単なる伏線回収や説明と考えるのはもったいないだろう。「ノエルと再会する」というストーリーの中では、このシーンはあまり意味をなさない。しかし、このシーンはやはり、最終話のテーマと関係している。
[あのベンチに座り、鼻歌を口ずさむ乃々香と汐音]
回想の中で、花織は乃々香に「悲しいときや、つらいときでも、ありったけの笑顔でにっこり笑えば乗り越えられる」という教えを残し、乃々香はそのことを思い出す。
[花織と辛い時でも「にっこり」でいるという約束をする乃々香]
そして乃々香が汐音に言ったセリフは「子供のころ、ここで一人座ってる女の子を見たの。その時、思ったの。絶対この子と友達になるんだって。友達になれなかったら一生後悔するって。あの日、出会ったのがあなたで良かった」である。
[汐音に感謝を伝える乃々香]
このセリフは、いままでのこと、そして第12話冒頭の流れを汲んでいる。ノエルがいることを信じられること、新しい世界でも柚季たちと分かり合えること、そういった「いつでも(いつまでも)気持ちがつながっていられる」ことには理由がある。それは乃々香が花織からその方法を教わったことや、それによって汐音と出会えたこと、柚季達の問題などを解決できたからに他ならない。
もしタイトルになっている「天体のメソッド」に意味があるとするならば、それはこのシーンで表現されていることだろう。これが「乃々香の物語」だと考えたとき、乃々香はこのシーンではじめて、今の汐音のような信じる強さを手に入れたように見える。
翌日、乃々香、汐音、柚季、湊太、こはるの5人は次々と向日葵の花びらに導かれて天文台に集まっていく。この時の乃々香のセリフに注目してもらいたい。乃々香は天文台へと向かいながら、前日に撮った自分の映像を見直している。それを見終えた乃々香のセリフは、
「会えるよ」
である。確かに、直前に家にノエルがいたらしき情報はあった。しかし、この「会えるよ」は、そこからきた言葉ではないだろう。乃々香がそう言ったのは、乃々香がそれを確信できるほど、つながりを信じているからだ。
[空に向かって『会えるよ』と言う乃々香]
冒頭の不安を抱えている状態、あるいは携帯電話の中の悲痛な様子と比べると、乃々香がいかに「いつでも(いつまでも)気持ちはつながっている」ことを理解したのかがよく分かる。
想像するに、乃々香たちがノエルと会えるのは、乃々香たちが「いつでも(いつまでも)気持ちはつながっている」ことを信じているからだ。(決して、呼び方とか技術的なものではない。)
[乃々香の確信に呼応するかのように輝き始める向日葵畑]
ノエルが帰ってくる向日葵畑のシーンも、円盤を呼んだシーンと同じく、ノエルがそこにいる必然性はない。つまり、逆に言えばノエルが最後に向日葵畑に現れたのは、「いつでも(いつまでも)気持ちはつながっている」ゆえの必然なのだ。(ノエルが朝帰ってきたとすると、ノエルがなぜわざわざ向日葵畑に移動したのか説明が付きにくい。ラストシーンは、そういった現実的な解釈が当てはまらない。)
もし、これが乃々香たちの想いの必然ならば、向日葵畑の花びらは、(円盤を呼んだ時とは逆に)ノエルの気持ちに呼応してみんなの元へ行ったのであり、メッセンジャーである帽子は役目を果たし帰ってきたのだと解釈できる。
[ノエルの声を聞き、窓の外を舞う花びらを見る柚季]
向日葵の花びらや帽子は不思議に見えるかもしれないが、「不思議に見えるものを信じられるかどうか」ということと、「円盤を信じられるかどうか」というテーマは非常に近い。「天体のメソッド」は「信じれば、そこにそれはある」という普遍的なテーマを扱っているともいえる。
[ノエルの帰還を確信する汐音]
やや変則的だが、エンディングムービーのコンセプトにも触れておこう。エンディングムービーのコンセプトは、どうも「ノエルを探しに行った5人」のようだ。ムービーには、ちらちらと映るノエルの姿があり、ノエルに想いを届けようとした最終話の内容とぴったり一致している。
[ノエルを探して惑星を旅する乃々香たちと、何度も遠くに映るノエル]
さらに、ムービーの最後は乃々香たち5人が画面に向かってにっこり手をつなぐカットで終わっている。これはおそらくノエルを見つけた場面だろう。(画面手前にノエルがいる設定。)
[ムービーのラストシーン。これはノエルから見た光景だろうか?]
このように、最終話の「テーマ」を軸にストーリーを追ってみると、ノエルとの再会シーンがラストの1カットしかなかった理由が分かるだろう。つまり、本編は「ノエルと再会する」ための構成(それを強調するための構成)ではなく、「いつでも(いつまでも)気持ちはつながっている」というテーマを表現するための構成になっているのである。
最後のラストカットは、作画の点でも印象的だが、そこにすべてが込められているわけではない。だから、最終話はどんな風にノエルが帰ってくるのかということに注目してしまうと多少物足りなさを感じるだろう。だが、最終話を「いつでも(いつまでも)気持ちはつながっている」というテーマで見ていくと、ストーリー全体がとても綺麗な流れになっているように見える。
[いたずらっぽい笑顔で帰ってきたノエル]
最終話は、本来強度が要求されるシーンの意味が取りづらかったり、説明的でなかったりするので、強度がどうしても不足気味になるだろう。しかし、第11話までのある意味過激なシーンに比べると、なんとも優しい雰囲気に満ちている。最終話はぜひ、背後にある作品テーマに触れながら見てほしい。
■補足:いくつかの細かい疑問について
最終話を中心に、気になる疑問をまとめてみる。基本的に想像なので、気軽に読んでほしい。
①ノエルは朝乃々香の家にいたのか?
修一の証言によるとノエルは花織の椅子に座っていてオムライスを頼んだらしい。しかし、乃々香に会わず、オムライスも食べずに帰るなどやや行動に謎が残る。ノエルが恥ずかしくなって帰ったという可能性もあるが、ラストカットの表情を見ると必ずしもノエルは恥ずかしそうにしていない。なので、どちらかというと修一の見た幻だったのではないだろうか。(汐音たちが聞いた声と似たようなもの?)自慢の料理を食べてもらうという伏線の回収にもなっている。
[ノエル(らしき人物)からオムライスを頼まれたという修一]
②柚季、こはる、湊太はノエルのことを思い出したのか?
ストーリー終盤、柚季、湊太、こはるの3人は思い出と繋がるノエルの声を聞いている。しかし、ノエルとの再会のシーンでは、まだ不思議そうな顔をしているので、まだはっきりと思い出しているわけではないだろう。その記憶が戻るかどうかは不明だが、最終話のテーマからすれば、ノエルと触れ合っていれば徐々に記憶がはっきりしていくのではないだろうか。
[ノエルと再会したときの柚季の表情。やや不思議そうな顔をしている]
③ノエルと共に円盤も現れたのか?
最終話には、円盤が現れたという描写が1つもない。これはあえて伏せられていると思われる。なので、円盤から自由になった可能性もあるだろう。一番すっきりする解釈は、乃々香たちが「円盤」の力ではなく、「つながっている想い」によって願いを叶えたという解釈だろう。その場合、ノエルは円盤システムとは独立して現れたことになる。
円盤の件は必ずしもはっきりしないが、大事なのは6人が「同じ想いでつながっている」ということ。仮に「乃々香たちと幸せに暮らす」のだとしても、「色々な願いを叶えながら、たまに会いに来る」のだとしても、いずれにせよハッピーエンドであることに変わりはないだろう。
[円盤が現れたのかは謎である]
④乃々香はなぜ時空を超えたのか?
乃々香を取り巻く時空の設定ははっきりしていないし、説明もされていない。なので確定的なことは言えない。だが、いずれにせよ「いつでも(いつまでも)気持ちはつながっている」ことは間違いない。今の世界で乃々香が記憶を取り戻せたのはそのためだろう。乃々香たちの想いは「世界を超えて、時空を超えて」つながっており、それは平行世界解釈だとしても同じだ。
テーマ性を考えると、円盤は概念的存在で、「ノエルの消失」という概念が世界に影響を与えた(世界が改変された)と考えるのが自然だろう。このような設定の場合、「忘れているだけでみんなそういう体験をしたのかもしれない」という視聴者へのメッセージも伴っている。
⑤今の世界の汐音の元人格はどうなった?
重箱の隅をつつくように考えると、今の世界の汐音は突然人が変わったようになっているかもしれない。実は中学校に友達がいたとかだったら、元人格が抹殺されたことにはやや問題がある。ただ、今の世界では、汐音が記憶を取り戻す前は、乃々香に裏切られたと感じ気を病んでいた可能性もあり、その場合汐音に別の友達はいないだろう。それなら問題ない。
⑥花織はもしかしてすべてを知っていた?
可能性としては無くはないが、それを示唆するシーンは基本的にそうでなくても通用するシーンばかりだ。なので、有力な説とは言いづらい。
⑦「天体のメソッド」の「メソッド」とは何か?
見た目的には円盤を呼ぶ儀式、深読みすると「辛い時でもにっこり笑えば、超時空的にすべてがうまくいく」という花織の教え、あるいは「信じれば、世界はそのようにある」という超時空的な普遍真理を指していると思われる。
⑧ノエルって結局宇宙人なの?
おそらく、ノエルは概念的存在である。いると思えばいるし、いないと思えばいない。でも、きっといる。そういう存在だろう。空(天体)に向かって願う人がいる限り、円盤は存在するとも言える。やや東洋的思想である。もしかすると、みんながそう思えばノエルが成長することもあるのかも。
⑨円盤ってDVD、BDのことですよね?
そうです。あ、いや、そうじゃないです。
⑩ノエルってかわいいよね!
はい。でも、汐音もいいですよ。
■残された伏線
柚季と湊太の過去など描写されなかった部分はあったが、伏線は基本的にすべて回収された。
■ストーリー詳細
(天文台)
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G 乃々香はノエルのことが夢じゃなかったと知る。
G 汐音は弱気になっている乃々香のことを励ます。
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L 汐音に励まされ、乃々香は「もう一度天文台のみんなで集まりたい」と言う。
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(桟橋)
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L 乃々香と汐音は、柚季、湊太、こはるを集める。
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EGF 柚季、湊太、こはるたちは何かが欠けていることが分からず辛いという。
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L 乃々香たちはそれを確かめるため全員で円盤を呼ぶことにする。
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(天文台)
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L 乃々香たち5人は輪を組み、ノエルを呼ぶ。
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P 5人が願うと、向日葵の花びらが一枚落ちてきて、汐音の帽子が風に飛ばされる。
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(向日葵が見える天文台の丘)
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L 5人は帽子を追い、天文台の崖から満開の向日葵畑を見る。
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(バスターミナル)
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P 5人は今日のところは別れる。
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(湖のほとり)
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L 乃々香と汐音はあのベンチで花織の歌を歌う。
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(回想)
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P 乃々香は花織との約束を思い出す。
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(回想終わり)
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L 乃々香は汐音に出会えて良かったと言う。
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(乃々香の家)
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P 乃々香の家に汐音が泊まる。
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(水坂家)
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LF 柚季と湊太は二人でアルバムを見る。
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(しいはら本舗)
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P こはるはきりごんを見る。
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(翌朝、乃々香の家)
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P 乃々香が目覚めると、汐音がいない。
P 乃々香がリビングに降りていくと、修一がオムライスを作っている。
P 汐音は北美市に行ったのだという。
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P 修一は、さっきまでいた子にリクエストされたのだという。
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L 乃々香はそれを聞いて飛び出していく。
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(乃々香の家の外)
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L 乃々香は向日葵の花びらに誘われ、天文台に向かう。
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(バス)
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L 汐音は北美高校の入学パンフレットを持っている。
L パンフレットから向日葵の花びらが落ちる。
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L 汐音はバスターミナルでノエルの声を聞く。
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(水坂家)
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P 柚季が「円盤歓迎」の看板を作っている。
P 湊太がそれを茶化す。
L 柚季と湊太はノエルの声を聞き、向日葵の花びらを見る。
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(しいはら本舗)
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L こはるがきりごんの腕に絆創膏を貼る。
L こはるもノエルの声を聞き、向日葵の花びらを見る。
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(水坂家/しいはら本舗)
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L 柚季と湊太、こはるは天文台に向かう。
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(天文台の近くの向日葵畑)
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L 乃々香は向日葵畑の中に導かれる。
L そこに柚季、湊太、こはる、汐音たちもやってくる。
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L 汐音の帽子が舞い落ちてくる。
L それを青い髪の人物が拾い上げる。
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(エンディング挿入)
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L 乃々香はノエルに「おかえり」と言う。
L ノエルは笑顔で「ただいま」と言う。
|
(おわり)
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自分は12話からNorth Methodが流れるまでのストーリーとその後は半ば分断されていて、前半は11話でノエルと別れきれなかった乃々香が、母のとき出来なかった『今この瞬間の喪失を受け容れる』負の物語、後半はシンプルに6人の願いが叶えられる話、と考えていました。
これを『いつまでも気持ちがつながっていられる』という正負を包括したテーマと捉えるのは非常にしっくりときました。全体の流れに一体感と繋がりができ、とても美しい物語になると思います。
ginji様の分析力の高さには感嘆させられるばかりです……。
とても丁寧な解析をありがとうございました。 また別の作品のストーリー解析も楽しみにしてます!
毎週本当に楽しく、興味深く読ませていただいておりました。
ginjiさんの緻密で的確な分析のおかげで、天体のメソッドを倍楽めたと感じています。
実は私も考察の真似事をしていたのですが、まず自分の文章を完成させてからginjiさんの解析を読むようにしていました。先に見るのはカンニングのような気がしてまして(^_^;)
そして、読ませていただく時は答え合わせのような気分でした(笑)
13話、そして作品全体のテーマが「いつでも(いつまでも)気持ちはつながっている」であるというのは、私も全く同じ解釈をしました。 しかし、乃々香が花織との約束を回想したことや、「会えるよ」と空に向かって言ったことの意味まで捉えきれていませんでした。ginjiさんの考察でそこを認識し、改めて話の作り込みの深さに感心してしまいました。
やはり、何度も見直して味わえる作品なのでしょうね。
今後も様々な作品でのストーリー解析を楽しみに待っております。
cacoさん、はじめまして。ginjiです。実は、第1話のときからずっとcacoさんの記事を拝見しておりました。共に完走できてとても嬉しいです。私も影響を受けないように書き終わってから読まさせていただいていたので、「やっぱりそうだよなあ」とか「それは知らなかった」ということが多々ありました。(お互い答え合わせみたいな感じですね。)
天体のメソッドは本当に良い作品だと思うので、自分以外にも考察する人がいたことはその証明になった気がします。
アニメは週1だったのでcacoさんの記事も含めて毎週の楽しみが減っちゃいましたが、今は最終回の余韻の中にいる感じです。コメントありがとうございました!