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【ストーリー解析】天体のメソッド 第3話「記憶のありか」
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【ストーリー解析】天体のメソッド 第3話「記憶のありか」

2014-10-26 17:51

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    変わらぬ想いと、裏腹な言葉。たとえ、それが現実だとしても。

    ■評価
    ★★ スタンダード


    [ニコニコチャンネル]http://ch.nicovideo.jp/sora-no-method

    ■総評
    第3話は汐音回。オリエンテーリングを舞台にして、乃々香と汐音の関係を描く。ストーリー構成は、第1話や第2話に比べるとやや混線気味。また、第3話はストーリーとして完結しておらず、その点でも若干強度が不足している。ただ、言葉に隠された気持ちの表現は相変わらず良いアクセントとなっている。あと、ノエルや柚季がかわいかった(小並感)。

    ■基本情報
    原作 - カレイドシフト
    原案・脚本 - 久弥直樹
    監督 - 迫井政行
    アニメーション制作 - Studio 3Hz
    →Wikipedia

    ■登場人物

    [主人公たち]
      古宮 乃々香(こみや ののか) - 夏川椎菜
      ノエル - 水瀬いのり
      水坂 柚季(みずさか ゆずき) - 豊崎愛生
      水坂 湊太(みずさか そうた) - 石川界人
      椎原 こはる(しいはら こはる) - 佳村はるか
      戸川 汐音(とがわ しおね) - 小松未可子

    ■ドライバー分析
    第3話のメインドライバーは、

    ①乃々香が汐音と仲良くなろうとするが、拒否される(E、L-F)

    である。また、サブドライバーとして、

    ②乃々香たちがオリエンテーリングで霧弥湖町を回る(P)
    ③乃々香が汐音を探して山道に迷う(E-G-E)
    ④汐音が乃々香が円盤を呼んだ「あの子」だとみんなに教える(E)
    ⑤乃々香が円盤を呼んだのが自分だと思い出す(P)
    ⑥ノエルが乃々香に自分が円盤だと教える(P)

    などがある。
    第3話は汐音回。オリエンテーリングを舞台にして、乃々香と汐音の関係などを描く。ストーリーには、「オリエンテーリング」、「乃々香と汐音の関係」、「ノエルと円盤の謎」という3つの流れがあり、そのどれもが主旋律とは言いづらい。そのため、全体的に何の話か分かりにくい印象を受ける。

    ただ、この中でも後々重要になりそうなのは「乃々香と汐音の関係」。その点に注目してストーリーを見てみよう。

    乃々香と汐音の関係は7年前に遡る。だが、ストーリーの時系列順に言えば、第1話で「今更何をしに戻って来たの?」と言われたのが始まりだ。なぜ冷たくされるのかが分からない乃々香は、第2話でもそのことを気にしていたし、第3話の基本的な流れは、乃々香が汐音を気にするという展開になっている。

    [汐音に理由を聞こうとする乃々香]

    ストーリーの前半で乃々香はオリエンテーリングの最中、汐音に何度か話しかける。しかし、汐音はことごとくそれを拒否し、乃々香は次第に落ち込んでいく。

    乃々香は汐音と友達になろうとしている。しかし、それが汐音には耐えられない。そこには、汐音なりの理由があるのだが、それが乃々香には分からない。

    その原因となっているものは、2人の間に生じた「記憶のギャップ」だ。

    本質的には、乃々香と汐音は相思相愛だ。しかし、乃々香の7年前の記憶が欠落している事で、誤解が生まれ、2人の関係はこじれている。こうした「記憶のギャップ」は第1話の乃々香とノエルの間にもあた。その点は第1話と似ている。

    [下の名前で呼んだらビンタすると脅す汐音]

    汐音は一見、乃々香を嫌い、遠ざけているように見える。しかし、それは汐音の本心ではない。「乃々香と汐音の関係」という視点でストーリーを捉えた時、最も重要なのは「汐音が乃々香のことをどう思っているのか?」だ。少し、汐音に関するシーンを振り返ってみよう。

    まず、冒頭の汐音が写真を貼りなおすシーン。父との電話の最中、汐音はコルクボードから剥がれ落ちた子供の頃の写真を拾う。そこには乃々香と汐音が写っている。そして、汐音はそれをボードに裏向きに貼り付ける。

    [汐音は剥がれ落ちた写真を裏向きに貼り直す。そこには『ともだち』と書いてある]

    このシーンから分かるのは、汐音が乃々香との写真をずっと大切にしてきたということだ。コルクボードの写真があった場所には日焼けの後があり、その写真が長い間そこに貼られ続けていた事が分かる。しかも、それはおそらく表向きに貼られていたのだろう。(裏の文字が「ともだち」と平仮名になっているのは、昔書いたからだろう。)

    第1話で、汐音は乃々香に「今更何をしに戻って来たの?」と言った。その響きは悲しいが、よく考えてみると、汐音はそれが乃々香であると一目で見抜いたことになる。それが出来たのは、おそらく汐音が乃々香の写真をずっと見続けてきたからだ。

    [当時のメンバーで乃々香のことを覚えていたのは汐音だけだった]

    ストーリーの終盤、汐音は柚季たち7年前の円盤を呼んだメンバーに、

    「円盤を呼ぶのを私たちに手伝わせて、町から消えた。7年間ずっと円盤を見るたびに後悔してたでしょ。何でこんな事したんだろ?って。それなのに今更戻ってきて『友達』?馬鹿にしてるとしか思えない」

    と言っている。しかし、このセリフは汐音の心の底を表してはいない。もし、汐音が「円盤を呼ぶのを手伝わせて消えた」ことを本気で恨んでいたとしたら、決して部屋の(それも中央に)乃々香の写真を貼ったりはしないだろう。汐音にとって、乃々香が友達であることは、円盤の件があっても変わらない。

    そのことは、ストーリーの序盤の乃々香が汐音を下の名前で呼ぶシーンでも分かる。このとき、汐音は「汐音」と呼ばれたことで、乃々香との思い出を思い出す。注目して欲しいのは、それが乃々香と写真を撮った場面だということだ。それは、きっと汐音にとって一番大切な思い出だろう。汐音にとって、乃々香のイメージはずっと写真のまま(友達のまま)止っている。

    [汐音が思い出した風景。乃々香が恥ずかしがる汐音に写真を撮ろうと促している]

    汐音が乃々香を遠ざけ、怒るのは、その汐音の気持ちとは裏腹に乃々香が汐音のことを覚えていなかったからだ。乃々香は汐音と「友達」になろうとしている。しかし、汐音にとって乃々香は7年前から「友達」であり続けていた。そのことが汐音には耐えられない。

    [乃々香が自分たちを馬鹿にしていると言う汐音。それは愛情と裏腹だ]

    7年前、汐音の前から乃々香が消えた後、汐音は乃々香に「裏切られた」のか、それとも「何らかの事情があったのか」ということを考え続けてきたことだろう。なぜ、乃々香は「別れも告げずに去ってしまった」のか。そのことが汐音の心の中には残っている。

    ストーリー展開的に言えば、乃々香が汐音と改めて友達になるには、7年前のことを思い出し「記憶のギャップ」を埋めなければならない。

    大切なのは、汐音が「なぜ乃々香は、別れも告げずに去ってしまったのか」と考えるのと同じように、乃々香もまた「みんなに別れを告げられなかった」という悲しみを抱いていた事だ。その点は、第1話および第3話の回想で、何度も説明されている。

    ・突然泣き出した事
    ・冬になったらもう会えなくなるかもしれないと言った事
    ・円盤を呼ぼうと言った事
    ・もう一度円盤を呼ぼうと言った事
    ・みんなの背中に向かって「私ね、引っ越すの」とつぶやいた事
    ・父にまだ「みんなにお別れをしていない」と言った事

    それらすべては、乃々香が汐音も含め、みんなを友達と思っていたことの証拠だ。想いが強すぎて伝えられない事。乃々香にもそれがあった。円盤はそのことと繋がっている。

    [円盤を呼んだ日。乃々香は引越しのことを伝えられないでいた]

    だから、神の視点から言えば乃々香と汐音は同じ想いだ。ただ、今はそれがお互いに分からないだけなのだ。もしかすると、それをつないでくれるのがノエルなのかもしれない。

    最後に、「私が円盤なんだから」と言ったノエル。ノエルは、7年前にすれ違った5人をつなぎ止める鎖かもしれない。そのストーリー上の役割は次第に明らかになっていくだろう。

    [自分が円盤だと乃々香に言うノエル]

    第3話は、形式的にも、心理的にも完結していない。また、オリエンテーリングという要素が心理的ストーリーと関係していないなど、いくつかの点においてストーリーの強度は不足気味だ。だが、作品のテーマ性はより明らかになってきたかもしれない。これからも乃々香の記憶が戻るたび、ストーリーは進み、次第にノエルや円盤の意味が明らかになっていくだろう。「願いに導かれ、巡り会う運命」、それを見届けよう。

    ■残された伏線

    ①汐音の撮ったノエルの写真は伏線?
    汐音は終始、写真を撮っており、写真が趣味のようだが、汐音と写真というテーマは今後も重要になってくるかもしれない。もし、今後みんながノエルのことを忘れてしまうという展開があるなら、ノエルの写真が伏線になる可能性があるだろう。

    [写真に写るノエル。ちゃんと写るらしい]

    ②乃々香と花織の約束とは何か?
    ③柚季と夏祭り、円盤に関する出来事とは?
    ④乃々香の願いとは何か?
    ⑤ノエルや円盤とは何か?
    ⑥乃々香の母親は病気だったのか?
    ⑦汐音はなぜ乃々香に冷たくしたのか?
    ⑧なぜ乃々香たちはお互いのことを忘れている風なのか?(単に忘れているという説も)

    ■今週のノエル
    あぁ^~円盤がぴょんぴょんするんじゃぁ^~。

    [看板に興味津々のノエル。怪獣の両面制覇です]

    ■ストーリー詳細

    (汐音の家)

    P 汐音が父と電話している。
    P 部屋のコルクボードから、子供の頃の汐音と乃々香が写っている写真がはがれ落ちている。
    E 汐音はその写真を裏向きに張りなおす。写真の裏に「ともだち」と書いてある。

    (学校のオリエンテーリング、湖の近く)

    P 乃々香達はオリエンテーリングの授業で、霧弥湖町のいくつかのチェックポイントを回っている。
    P 乃々香達の班は、乃々香、柚季、こはる、汐音の4人。
    E 乃々香は距離を置く汐音を気にしている。

    (途中)

    G 乃々香は先日の湖でのことを気にしており、汐音を下の名前で呼び止める。
    P(回想)汐音は下の名前で呼ばれたことで、瞬間的に7年前のことを思い出す。

    G 乃々香は汐音に、先日の湖での出来事について聞く。
    E しかし、汐音は乃々香に「今度下の名前で呼んだらビンタする」と言う。

    P こはるは乃々香に汐音の性格や霧弥湖出身であることを教える。

    (しいはら本舗前)

    P しいはら本舗がチェックポイントになっている。そこにノエルもいる。

    (湖の辺)

    G 乃々香はもう一度汐音に話しかける。乃々香は、昔霧弥湖町に住んでいたが、当時の事は覚えていないという話をする。
    E それを聞いて、汐音は苛立つ。さらに約束どおり乃々香をビンタする。

    (しいはら本舗前)

    P 乃々香達がしいはら本舗前のチェックポイントに着く。
    P 乃々香や柚季はそこにいたノエルとたわむれる。

    P こはるは汐音に乃々香に冷たくする理由を尋ねる。
    P 汐音は「私たちは馬鹿にされてる」と言う。

    P 柚季がノエルを連れて行く。

    (山道)

    P 乃々香達が山道を歩いている。
    E 乃々香は汐音の姿がないことを気にかけ、来た道を探しに戻る。

    E しかし、しばらくしてから別ルートを通っていた汐音が現れる。

    G ノエルが乃々香を探しに行く。

    (山中)

    E 汐音を探していた乃々香が足を滑らせる。

    (山道)

    P こはるたちは、先にオリエンテーリングを終えた湊太と合流する。

    (霧弥湖幼稚園跡)

    P 乃々香は霧弥湖幼稚園の跡地に迷い込む。

    (別の場所)

    P こはる、湊太、柚季、汐音の4人が乃々香を探している。

    P 4人は久しぶりに揃い、こはるが「あの頃はもう1人いた」と言う。
    E 柚季は円盤を呼んだ張本人である「あの子」の話題を嫌う。
    E 汐音は柚季に「だったらどうしてあの子と仲良くしているのか」と聞く。

    (霧弥湖幼稚園跡)

    P 鼻歌を歌ってうずくまっていた乃々香の元にノエルがやってくる。
    P 乃々香は昔の事を思い出す。

    (回想、7年前、天文台)

    F 7年前の天文台。乃々香は引越しのことを考えている。
    P そこに汐音が乃々香を呼びに来る。

    P 汐音が呼びに来たのは、乃々香の温泉まんじゅうを湊太が食べようとしているからだった。
    F 乃々香はまんじゅうを食べる事ができたが、涙を流す。汐音はそれに驚く。

    P 乃々香は汐音にみんなで円盤を呼ぼうと提案する。
    F 乃々香は引越しの事を汐音に話すつもりだったが、いい出せなかった。

    (回想終わり)

    (別の場所)

    E 汐音から「7年前のあの子」が乃々香だと聞き、柚季は「そんなわけない」と食い下がる。

    P そうこうしている内に4人は乃々香のいる霧弥湖幼稚園跡に辿りつく。

    (霧弥湖幼稚園跡)

    P 乃々香は自分が円盤を呼んだことを思い出したと言う。
    P ノエルは乃々香に、自分が円盤だと告げる。

    (つづく)

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