「ユーザーブロマガ」サービスの終了(10月7日を予定)にあたり、残したいユーザーブロマガ記事への投票を受け付けています

【ストーリー解析】天体のメソッド 第2話「ふたりの約束」
閉じる
閉じる

【ストーリー解析】天体のメソッド 第2話「ふたりの約束」

2014-10-23 05:59
  • 4

残したいユーザーブロマガ記事への投票はこちらです

天体のメソッド第2話「ふたりの約束」のストーリー解析を行う。→前回 →次回
記事一覧

それは戻らぬものを取り戻すための物語――。

■評価
★★★ テクニカル


[ニコニコチャンネル]http://ch.nicovideo.jp/sora-no-method

■総評
第2話は柚季回。柚季と円盤の関係や、そこに隠された想い、柚季に協力する事を決める乃々香などを描く。ストーリー構成は極めて緻密で、テクニカル。特に、それをそれと語らず伝えていく手法は見事。ただ、初見だと意味不明な部分も多いので、若干強度不足になるか。繰り返し見ることでストーリーが強化されるタイプのストーリーなので、ぜひ何回か見て欲しい。

■基本情報
原作 - カレイドシフト
原案・脚本 - 久弥直樹
監督 - 迫井政行
アニメーション制作 - Studio 3Hz
→Wikipedia

■登場人物

[主人公たち]
  古宮 乃々香(こみや ののか) - 夏川椎菜
  ノエル - 水瀬いのり
  水坂 柚季(みずさか ゆずき) - 豊崎愛生
  水坂 湊太(みずさか そうた) - 石川界人
  椎原 こはる(しいはら こはる) - 佳村はるか
  戸川 汐音(とがわ しおね) - 小松未可子

[乃々香の家族]
  古宮 修一(こみや しゅういち) - 土田大
  古宮 花織(こみや かおり) - 茅野愛衣

■ドライバー分析
第2話のメインドライバーは、

①乃々香が柚季の「円盤追放」に協力することにする(P-E-G)

である。また、サブドライバーとして、

②柚季の背景の説明(P、E、F)
③ノエルが乃々香を待っている(L-F)
④乃々香がノエルに「円盤追放」に協力して欲しいと頼む(G、L-L、F、E)

などがある。
第2話は、柚季にまつわるストーリー。「円盤追放」という不可解な活動に秘められた柚季の想いに迫る。表面上のストーリーは何でもない内容だが、その背後にいくつかのストーリーが進行し、今回も多層的な構造になっている。

まずは、分かり易い表面上のストーリーから見てみよう。表面上のストーリーの時系列は次の通り。

(1)柚季が乃々香を「円盤追放」運動に巻き込む(P)

(2)乃々香は困惑しながらも柚季に付き合う(P)

(3)湊太に怒られる(E)

(4)乃々香が柚季の話を聞き、「円盤追放」に協力することを決める(G)

(5)メンバーを増やすため、乃々香はノエルに「円盤追放」に協力してほしいと頼む(G)

表面上のストーリーは、「円盤追放」という柚季の活動に乃々香が協力するという話。しかし、もちろん、これは第2話の一側面でしかない。より重要なのは、この中に隠された柚季や乃々香の心の動きである。

第2話には、柚季の繊細な心の内に迫る仕掛けが数多くなされている。視聴者はそれを追うことで、表面上のストーリーではない、心理的側面に触れることができるだろう。ここからは、それらの仕掛けに注目してみよう。

まず、ストーリーの中盤までは、(2)の柚季と乃々香の珍反対運動が続く。このあたりは単調だが、その後との比較のために、喫茶店での柚季のセリフを引いてみる。喫茶店で柚季は乃々香に、息荒く円盤の脅威を説明し、「町の安全は日に日に脅かされていっているの。手遅れになる前になんとかしないと!」と言っている。

[勢いでジンジャエールを飲み干した柚季]

その後の的外れの反対運動もあって、中盤までは柚季はちょっと頭のおかしい子に見えるだろう。柚季の表向きの主張は、円盤は悪い奴だから追放すべきという、いわば「円盤悪論」の立場に立っている。しかし、乃々香の言うとおり「町は安全そのもの」だ。だから、柚季の主張には説得力がない。

しかし、次第に、その言葉の裏に見え隠れする柚季の個人的な想いが見えてくる。その流れが始まるのが、役所から撤退した後の柚季のセリフ。

「あの島だって昔は遊覧船で渡れたんだよ。それなのに危ないからって立ち入り禁止になって……。そんなのやっぱりおかしい。このままでいいわけなんてない。取り戻さないと……、私たちの街を」

このセリフを言葉どおり捉えると、柚季の主張は喫茶店のときと大して変わらない。しかし、このセリフを聞いていると違和感がある。語気強く主張していた喫茶店の時に比べ、このセリフのトーンはあまりに切実なのだ。

[あまりに真剣な柚季とそれを見る乃々香]

柚季が見ているもの。それは街のことではないかもしれない。「やっぱりおかしくて、このままではいけなくて、取り戻さないといけないこと」。柚季はそれを見つめている。

その後のこはると湊太のシーンで、こはるは湊太に「柚季のこと怒らないであげてね。気持ちも、分かるから」と言っている。聞き流しそうになるが、こはるは「気持ちも、分かるから」と言っている。それは、もちろん円盤追放運動の主張のことではない。こはるは「柚季がそうする気持ち」が分かると言っている。つまり、こはるは柚季の真意を少なからず知っているのだ。
(おそらく柚季もそのことに気がついている。だから、こはるに見つかった際にそそくさと退散したのだろう。)

では、柚季の真意、あるいは柚季が取り戻そうとしているものとは何だろうか。それが垣間見えるのが続く柚季の家のシーンである。ここで柚季はペットボトルロケットを探すために入った押入れの中で、子供の頃の写真の入ったアルバムを開いている。そこには、湊太と2人で写った写真が沢山収められている。

[アルバムの写真を見る柚季]

子供の頃仲が良かった柚季と湊太。特に、柚季はおそらく7年前と思われる夏祭りの写真に反応している。どうして柚季は、その写真を切なそうに見つめるのだろうか。

この事から分かるのは、柚季には湊太に伝えたい何か特別な想いがあったということ。そして、それが円盤の出現によって、大きく壊されてしまったということだ。柚季の行動の動機には、少なくとも湊太の存在が大きく関係している。

しかし、その想いに反するように、部屋には円盤反対のチラシを持った湊太が入ってくる。湊太は「何やってんだ」「人に迷惑をかけるな」「どうせまた下らないことなんだろ」と柚季を叱る。それに対し柚季は「くだらなくない」「湊太には関係ない」と食い下がる。柚季の「くだらなくない」は本心だし、「湊太には関係ない」は嘘だ。しかし、湊太には、それが他人に迷惑をかけているようにしか見えない。

[柚季を叱る湊太]

伝えられない想いと、すれ違いケンカしてしまう現実。「やっぱりそうだ。やっぱりそう!全部円盤とあの子のせい!」と言って柚季は部屋を飛び出す。湊太には意味が分からないが、そこには柚季の動機がありありと語られている。乃々香は、そんな柚季の本気さを感じ取り、後を追う。

実力行使として島に乗り込むという柚季に、乃々香はどうしていいか分からない。それを受けて、柚季は「いいよ、私一人でいくから。今までずっと一人だったんだから」と言う。ここで少し考えてみると、柚季が一人なのは必ずしも円盤反対という変な主張が原因ではないだろう。柚季が一人で戦ってきたのは、柚季にとって7年前に抱えた想いが、誰にも打ち明けられないものだったからだ。

[地団太を踏む柚季]

ボートが揺れた拍子に乃々香と共に湖に落ちて、ずぶ濡れになった後、乃々香は柚季に「どうして、そこまでして円盤を追い出したいの?」と聞く。それは柚季にとって最も答えにくい質問だ。もしかすると、色々な人がそれを柚季に尋ねて去っていったのかもしれない。乃々香は無表情だが、柚季が何かを抱えていることを確かめるために、あえて質問をしているように見える。

[柚季に活動の動機を尋ねる乃々香]

それに対する柚季の答えは、

「7年前に円盤が現れて、それで変わってしまって。今でも戻らないものがあるから。祭りの時、湖に花火が上がってたの。そんなに大掛かりなものじゃなかったけど、湖にうつる花火がすごくきれいに見えた。でも、もうやらなくなっちゃった」

である。
このセリフの中でも特に「湖にうつる花火がすごくきれいに見えた」という部分に注目してもらいたい。「きれいだった」ではなく「湖にうつる花火がすごく“きれいに見えた”」である。花火はもちろんきれいだが、これは、その時柚季が花火がすごく輝いて見えるような心理状態にあったことを示している。それこそが柚季が湊太に伝えたかった想いだろう。

[乃々香の質問にはっきりと答えられない柚季]

それを聞いて立ち上がる乃々香に、柚季はやっぱりダメだと膝に顔をうずめる。しかし、乃々香の反応は、他の人とは正反対のものだった。

「飛ばそう、これ、飛ぶんでしょ?ロケット、飛ばしてみようよ」そう言って乃々香は柚季にロケットを差し出す。このクライマックスは非常に詩的だが、このロケットは柚季の気持ちを乗せたものだ。柚季のセリフ、「がんばれー!」と「あー、全然届かないや……」は、期待する気持ちと、想いが全然届かない現状の両方を表している。

[島に向けて飛ぶペットボトルロケット]

柚季にとって、大切な想いは大切すぎて口にはできない。だが、乃々香はそこに隠された柚季の想いを感じ取る。言葉にはならないけど、伝わるもの。それが柚季と乃々香を結びつけている。

[協力してくれるという乃々香に『ありがとう』と言う柚季]

少し振り返ってみると、柚季にはもう一人こはるという協力者がいる。しかし、こはるは柚季の想いを知っているからこそ、乃々香のようには協力できない。本当の動機を明かさないからこそ築かれる乃々香と柚季の関係は面白い。

第2話のストーリーは、柚季の心理面を引き出しながら、それを直接伝えられない乃々香との間の心の交流を描いている。手法としては極めて暗喩的であり、相変わらずセリフが上手い。唯一難点を言うなら、表面上の「円盤反対」というストーリーの強度が足りない事だが、それは心理的ストーリーが補完されれば補えるだろう。

また、今後過去の出来事や、柚季の気持ちがはっきりと明かされたとき、ストーリーはより鮮明なメッセージを持つだろう。そのとき、第2話のストーリーはその分だけ強化されることになる。初見では、細かいところまで追えないだけに、やはり繰り返し見る事を前提に作られているようだ。是非、心理的ストーリーの部分を追ってみて欲しい。

■ノエルに関するストーリーについて
さて、第2話のストーリーについてもう1つ触れておかなければならない部分がある。それは、ノエルに関するストーリーだ。特に、気になるのはノエルに円盤追放運動に協力を求めたラストシーン。元々、第2話のノエルは待ちぼうけで悲しい感じだが、ラストシーンはさらに悲しい。

ラストシーンは、円盤反対のストーリーの延長として位置づけられており、乃々香が協力者を増やす為にノエルに協力を頼むというシーン。しかし、これはノエルに出て行って欲しいと言っているようなものだ。ところが、ノエルは健気にもそれを受け入れる。

[『もう少しだけ待っててくれたら(いいよ)』と答えるノエル]

ノエルは基本的に乃々香の言うことを何でも聞き入れる。問題は、乃々香がノエルにとっての円盤追放の意味を分かっていないことだ。「もう少しだけ待っててくれたら」というセリフも意味深で、ノエルとの別れを感じさせる。

この辺りの、形式的には間違っていない行動にミスリンクが仕込まれる手法は、天体のメソッドの特徴かもしれない。天体のメソッドは「約束」や「誤解」など、色々な仕掛けがあるが、それらの手法は中々巧みだ。そのあたりに注目してみても良いかもしれない。逆に言えば、超常的な出来事で何かが変わったり、解決したりといった展開は少なそうな印象だ。

■残された伏線

①乃々香と花織の約束とは何か?
花火の日の回想シーンで、花織は乃々香に「お母さんとの約束守ってる?」と聞き、それに対し乃々香が「守っている」と答えている。しかし、第2話のストーリーからは、それが何の約束であるのかは読み取れない。これは明らかな伏線と言えるだろう。第1話からの継続で見ると、回想シーンは乃々香の記憶の断片を集めていくプロセスにも見える。回想のたびに、徐々にピースがはまっていくという計画のようだ。

[花火の日の花織の乃々香]

②柚季に関係する夏祭りや円盤の出来事とは?

③乃々香の願いとは何か?
④ノエルや円盤とは何か?
⑤乃々香の母親は病気だったのか?
⑥汐音はなぜ乃々香に冷たくしたのか?
⑦なぜ乃々香たちはお互いのことを忘れている風なのか?(単に忘れているという説も)

■ストーリー詳細

(天文台)

P 天文台でノエルと再開した乃々香。ノエルは「乃々香の願いを叶えるためにいる」と言う。しかし、乃々香はノエルが7年前にあった少女だとはまだ信じられない。

(乃々香の家)

P 乃々香が朝ごはんの準備をしていると、修一が始業式だと教える。
P それを聞いた乃々香は急いで学校へ行く準備をする。

(登校中)

P 登校中、乃々香はノエルに話しかけられるが、学校のためバス停で別れる。
P 乃々香はバスでこはるに出会う。

(学校)

P 乃々香は、こはるや汐音、柚季と同じクラスになる。
E 乃々香は、汐音に先日のことを聞く。しかし、また汐音に冷たくされてしまう。

(湖)

P ノエルが乃々香を待っている。

(学校)

P 放課後。乃々香は柚季に「円盤が好きか、嫌いか」と問い詰められる。

(喫茶店)

P 柚季は円盤を目の敵にしており、それを乃々香に力説する。
P 乃々香は柚季に押されて円盤反対活動を手伝うことに。

(しいはら本舗前)

P 柚季と乃々香はしいはら本舗前で観光客相手に円盤反対のビラを配る。
P しかし、こはるに見つかり柚季が逃げ出す。

(湖の辺)

L 乃々香は柚季に「ついてきてくれてありがとう」と言われる。

(役場)

P 柚季と乃々香は役場で円盤反対の抗議をする。しかし、柚季があまりにめちゃくちゃなので乃々香が止めに入る。

(しいはら本舗前)

P 湊太がやってくる。こはるは、湊太にビラの件で柚季を怒らないでほしいと言う。

(柚季の部屋)

P 柚季は押入れから“武器”を探している。
P その途中、柚季は湊太と写った写真のアルバムを見る。
P 柚季が押入れからペットボトルロケットを見つける。

P 部屋に湊太がやってくる。湊太はビラについて柚季を叱る。
E 柚季は「円盤とあの子のせいだ」と言って飛び出していく。

P 湊太は乃々香に「もう相手をしなくていい」と言う。しかし、乃々香は柚季の後を追う。

(湖の辺)

E 柚季がむしゃくしゃして地団太を踏んでいる。
E 柚季は“実力行使”で湖にある島に乗り込むという。

GE 乃々香は柚季を引き止めようとする。しかし、2人は湖に落ちずぶ濡れに。

G 柚季が乃々香に謝る。

G 乃々香は柚季になぜ円盤を嫌っているのかと尋ねる。
P 柚季は、7年前に円盤が現れて今でも返らないものがあるからと答える。

G 乃々香の提案で、乃々香と柚季は湖に向けてペットボトルロケットを飛ばす。

G 乃々香は柚季に「円盤を追い出すことに協力する」と言う。

(帰り道)

(回想、花火の日)

P 乃々香と花織が湖の花火を見ている。
L 花織が乃々香に「お母さんとの約束守ってる?」と聞く。
L 乃々香は「守ってるよ」と答える。

(回想終わり)

P ノエルが乃々香に会いに来る。

L(F、E)乃々香はノエルに「友達のために円盤を町から追い出したいから協力して欲しい」と言う。
L(F、E)ノエルは少し顔を曇らせながらも「もう少ししたらいいよ」と言う。

(つづく)

→前回
→次回
記事一覧


広告
×
2話を見そびれてしまったのでこれは助かる~
83ヶ月前
×
>>1
ニコニコだと生放送だけなのでシビアですよね。天体のメソッドは良く出来ているので、沢山の人に見てもらいたいです。
83ヶ月前
×
天体のメソッド結構面白いです。
ノエルに癒される〜
83ヶ月前
×
「もう少しだけ待っててくれたら・・・」 ラストシーンのノエルのセリフ 2回目の視聴で意味が理解でき物語の結末を予感しました  見事な構成です  (悲しいですが)
81ヶ月前
コメントを書く
コメントをするには、
ログインして下さい。