写真:泉 よしか
地図を見る10月も半ばを過ぎると、鹿児島県出水市には遥かロシアのアムール川沿いから長い空の旅を経て、ツルたちが渡来し始めます。途中、中国や朝鮮半島の湿地帯などで羽を休めながら、はるばる3,000キロメートル近い距離を約1ヶ月かけて飛んできます。
鹿児島県出水市の荒崎地区は世界有数のツル渡来地であり、人の生活圏で間近に野生のツルを観察できる場所として、非常に稀な環境であると言えるでしょう!
出水のツルは江戸時代から保護されてきました。冬も温暖なこの地域の干拓地で餌を得て、春には再び北を目指して飛んでいきます。しかしこの出水で冬を越すツルたちも、太平洋戦争の時代にはぐっと数を減らしています。今こうして沢山のツルたちが出水に戻ってくるようになった背景には、餌を与え、環境を守る活動を続けてきた出水市の努力があったのです。
写真:泉 よしか
地図を見る出水に渡来するツルと市内の245haの土地は、1952年に「鹿児島県のツルおよびその渡来地」として国の特別天然記念物に指定されました。また1987年には「出水・高尾野鳥獣保護区(集団渡来地)」として国指定鳥獣保護区の対象にもなりました(高尾野町は2006年に合併し、現在は出水市となっています)。さらに1996年には環境庁(現在は環境省)の選定した「残したい日本の音風景100選」にも「出水のツル」として選ばれています。
こうした保護の取り組みにより、冬の間は出水市のあちこちの田んぼなどでツルの姿を見ることができます。
写真:泉 よしか
地図を見る出水に渡来するツルたちを観察するなら、ぜひ出水市ツル観察センターに行ってみましょう。ここは市が運営する公共観光施設で、毎年11月1日から翌年3月第4日曜日までの期間限定でオープンしています。
2階建ての観察センターは、1階が売店、2階と屋上がツル展望所になっています。また2階にはツルに関して学べる資料の展示スペースもあります。
写真:泉 よしか
地図を見るツル観察センターの入館料は大人210円、小人100円とかかりますが、展望所からの眺めにはそれ以上の価値があるでしょう。警戒心の強いツルたちが、冬の間安心して生活できるよう整備された土地には、ものすごくたくさんのツルの姿が・・・。
正直なところ、ツル、多すぎなんじゃないか?とびっくりするほどです。こんな風景は絶対にここでしか見られないでしょう。
写真:泉 よしか
地図を見るツルと聞いて多くの人がイメージするのは北海道の釧路湿原などに生息するタンチョウヅルかもしれません。が、出水に渡来するツルは種類が違います。
一番多いのが鍋底の煤のように首から下が黒っぽいナベヅル。二番目に多いのが目の周りが赤く、体はナベヅルより色が薄く青みがかった灰色のマナヅル。
この他に年に数羽、カナダヅル、クロヅル、ナベクロヅル(雑種)なども確認されています。
そしてごく稀にソデグロヅルやアネハヅルも渡来します。ソデグロヅルは全身がほぼ白(目の周り、クチバシ、足は赤っぽい)、袖、すなわち翼を広げた時の先端が黒。
アネハヅルは黒い顔の目の後ろから白く長い飾り羽が出ています。
この二種類は出水ではとてもレアで、特にソデグロヅルは世界でも生息数が非常に少なく絶滅が心配されています。ツル観察センターに行ったらぜひ探してみてください。
また、大きいツル2羽と小さいツル1~2羽が群れをつくっていたら、それは子供を連れたツルの家族です。
写真:泉 よしか
地図を見る鹿児島県出水市の冬の風物詩、シベリアから渡来する1万羽を越すツルたちを見に、ぜひ出水市ツル観察センターを訪ねてみてください。
なお、鳥インフルエンザ防疫のため、ツル観察センター駐車場前の道路で通行車両の消毒を行っておりますので、車で来館する方は係員の指示に従い通行車両のタイヤを消毒してください。
<基本情報>
住所:鹿児島県出水市荘2478番地4
電話番号:0996-85-5151
開所期間:11月1日~3月第4日曜日
開館時間:9:00~17:00
定休日:開所期間中は年中無休
アクセス:JR出水駅より車20分、またはツル観光周遊バス24分
2017年10月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2021/8/21更新)
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