写真:泉 よしか
地図を見る八丈島は八丈富士と呼ばれる西山と三原山と呼ばれる東山の二つの火山からできています。今回はこのうち、富士山型の美しいシルエットを見せる八丈富士の登山をご案内します。この山は三原山より若く、1万数千年前に活動を開始し海中より隆起した成層火山、標高は854.3mで伊豆諸島最高峰です。
麓からではわかりにくいのですが八丈富士は二重火山で、火口はぽっかりと直径400~500mほどの大きな穴。そしてその中にもう一つの中央火口丘があります。といっても火山活動はここ400年ほどは休止しており、今は山頂も火口もすっかり緑に覆われているのですが。
この八丈富士は山頂まで登り、お鉢巡りと称して火口の縁を一周することができちゃいます。しかもその登山道はなんと階段!麓から登るわけではなく、中腹の鉢巻き道路までは車で行かれますので、特別な登山技術や装備が無くても手軽に1時間ちょっとで登れます。ただし、靴は履きなれた滑りにくい運動靴などを用意してくださいね。
写真:泉 よしか
地図を見る八丈富士登山のスタートは緑のゲートからです。なお、登りはじめたら「水」「トイレ」「日影」はありませんので、必ず登る前に準備をしておきましょう。登山道入り口近くの鉢巻き道路沿いに「ふれあい牧場」(入場無料)がありますので、必要な方はこの牧場のトイレや自動販売機を利用して下さい。
ゲートの前に車が数台停められるスペースがありますので、レンタカーで来た方はここに停めておきましょう。さあ準備はよろしいですか?出発しますよ!
写真:泉 よしか
地図を見る歩き出して始めのうちはわずかな木陰もありますが、すぐに木々の背丈が低くなり日影らしい日影はなくなってくるでしょう。植生は亜熱帯。本州の山とは違った南国の雰囲気が楽しめます。
写真:泉 よしか
地図を見る八丈富士の山頂へ続く階段はなんと1280段。しかもこの階段、溶岩を利用して作られているんですよ。よくもまあ火口の縁まで階段を作ったものだと驚いてしまいます。階段の横にはスロープもあり、登りは階段よりもこちらのスロープを使った方が楽かもしれません。ただし、きっと下りは階段があって良かったと心から思うことでしょう。
写真:泉 よしか
地図を見る登り始めて10分ぐらいすると、思ったより階段が急で足が辛くなってくるのでは。そんな時、後ろを振り返って見ると元気が出るかもしれません。麓の景色が開けて爽快な見晴らし!見えているのは底土港(神湊港)のある三根地区の辺りです。
写真:泉 よしか
地図を見る足元にも注目してみましょう。例えばこちら、何の変哲もないアザミに見えますが、実は八丈薊(ハチジョウアザミ)といって、伊豆諸島の固有種です。
写真:泉 よしか
地図を見る歩きはじめて30分位で中間地点を通過します。筆者は写真を撮りながら、でもあまり休まず登って25分でここに到着しました。八丈富士火口まであと半分です。頑張りましょう!
登山道はずっと階段ですが、特に急な箇所はこのように手すりがついていて安心です。手すり設置地点は3ヵ所ほど。下りで足が疲れた時にも手すりのありがたさが身に沁みますね。
写真:泉 よしか
地図を見る途中に素朴な木の鳥居も建っています。八丈富士も富士と呼ばれていますので、祀られているのは富士山を信仰の対象とする浅間神社。神社は八丈富士の火口の中にあり、登山道の階段を上った後、火口の縁から片道徒歩10分ほどで参拝することができます。ただし、火口の浅間神社を参拝する場合は、決して参拝路を外れないように注意してください。自然保護及び、危険な場所に踏み込まないようにするためです。
写真:泉 よしか
地図を見る時々振り返ると麓の景色がせり上がってきているように感じます。途中に二つ目のゲートありますのでドアを開けて通過しましょう。三つ目の手すりまでくればあともう少しです。
写真:泉 よしか
地図を見る最初のゲートから約1時間程度で火口の周縁に到着。ここからは道が分かれます。八丈富士の火口の周りを一周する「お鉢巡り」コースと、火口の内側に向かう浅間神社への道です。
「お鉢巡り」の所要時間は約50分、浅間神社への道は先ほどご紹介した通り片道約10分。そしてお鉢を一周しないで山頂(お鉢巡りのコース上にある八丈富士の最高地点)まで行く場合は片道約15分ほどです。
写真:泉 よしか
地図を見る八丈富士の火口を縁から見下ろすと、原生林が生い茂る中、小さな池もあります。ここは八丈富士噴火の際にできた溶岩ドーム。お鉢巡りをしていると、片側にこの緑の溶岩ドームが、反対側に紺碧の海が見えて、天上の一本道を歩いているような不思議な気分になるかもしれません。
写真:泉 よしか
地図を見る八丈富士の山頂から見下ろす町並みや空港、三原山の景色も絶景。お鉢巡りの道は階段状の登山道より荒く、山頂に向かう道はところどころ亀裂もあり危ないので、気を付けながら歩いてください。また山頂から先は滑りやすい場所やガレ場などもあるため、不安がある場合は途中で引き返すのも手です。少しコースを歩いてみるだけでも十分に景色が楽しめますよ。下りの体力と相談しながら決めてくださいね。
ADVERTISEMENT
写真:泉 よしか
地図を見る八丈富士を下山したら、登山道入り口近くの「ふるさと牧場」で休憩してはいかがでしょうか。ここは登山前のトイレと飲み物調達にもお勧めした入場無料の牧場で、眺めの良い展望台と二階建ての休憩舎があります。疲れた足を休めるにももってこいです。
休憩舎は通常は無人ですが、ゴールデンウィークと夏期にはアイスクリーム・ソフトクリームの販売が行われます。また八丈島の酪農の歴史を記したパネルや、八丈島観光マップ・パンフレット等を置いたコーナーもあります。
写真:泉 よしか
地図を見るこのふれあい牧場は、八丈富士中腹の広大な牧場の一部分を一般開放しているもので、飼育されているのは主に食肉用の黒毛和牛。島内畜産農家から預かった乳牛がいることもあります。大人の牛だけでなく可愛い子牛もいるかもしれませんが、肉牛なのでいずれ出荷されてしまう運命かも!?
写真:泉 よしか
地図を見るふれあい牧場の展望台からは先ほど山頂から見ていた街並みと海が見えるでしょう。高さが違うだけで随分印象も違うと思いますが、のどかな牧草地越しの青い海も八丈島を訪れたらぜひともカメラに収めたいフォトジェニックな景観です。
伊豆諸島・八丈島の八丈富士は、階段を使って1時間程度で手軽に登ることができ、お鉢巡りもできるお勧めの山です。しかし階段とは言え山登りですから、ご自身の体力と相談して登ってください。また、風の強い日、霧の日などは転落事故に繋がりますので絶対に登らないでください。
登山の際は、サンダルやヒールではなく歩きやすい靴と、体温調節できる動きやすい服装を着用し、必要な水分をご持参ください。階段はごつごつした溶岩で、山頂は草が茂っていますので、長ズボンまたは登山用のハイソックスの着用をお勧めします。また登山道以外の場所には立ち入らないようにしてください。
それではぜひ山頂からの360度の絶景を楽しむために、八丈富士を登ってください。眼下の青い海に、遠く外海に向かう船が白い水脈を引いて遠ざかっていく姿も見えるかもしれません。
この記事の関連MEMO
- PR -
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索
(2021/8/21更新)
- PR -