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だれでも
無題 Untitled げんみ
作者からも1つ。このシナリオを書こうと思った理由と、このシナリオが巻き起こした事について。ネタバレ注意。
悪質な作品を作る人は、悪質な人なんでしょうか?
まず、このシナリオを書こうと思った大きなきっかけ。
先日、東京オリンピックは無事に閉会式を終えました。これからパラリンピックなんかもありますが、それはひとまずとして開会式の前にさまざまなトラブルがあったりなんかして。
そして、2人のアーティストが、過去に起こした悪質な出来事について触れられ、舞台を降ろされる事になりました。
1人は、確実にアーティストその人が起こした悪意ある行動によるものでした。過去に起こしたその過ちを、今現在に至るまで反省しているのかいないのか、その姿勢を示してはきませんでした。
もう1人は、アーティストではなく作品の中の登場人物が悪質な発言をしました。ですがいくら作品の中とはいえ絶対に言ってはならない事を言っており、国際問題にまで発展しかけました。
2つの出来事は一見似ているようで真逆、「人が悪質」なのか、「作品が悪質」なのかという大きな違いでした。
今現在も議論になるような出来事だったと思います。
改めて最初の問いに戻るのですが、悪質な作品を作る人は悪質な人なんでしょうか?
少なくとも、作品と作家とは全く別の存在です。「悪意をテーマに作品を作りました!」と発表して、「この作家は悪意ある作品をばら撒いたぞ!」とバッシングされるのって、どうにもおかしくないでしょうか。
もちろん、世の中には触れるべきではない出来事は山のようにあります。つい先日も、とあるシナリオがバッシングを受けて非公開にまで追い込まれる事態になりましたね。
作品と作家は別です。そしていくら作品でも触れてはいけない物事というのは、確かにあります。悪意を含んだ作品を作るならそこの線引きはきちんとしなければいけない。
そして、仮に線引きを超えた作品がこの世に存在しても、その作品を通じて作家を攻撃する事は、許されない事です。
※カッコのついてる所は蛇足です。指摘があったので少し編集しました。
(私は、先日非公開にされたシナリオの、作者様の大ファンでした。その方の作ったシナリオでとても良い体験をしたと考えており、その続編をとても楽しみにしていました。
結果としてその続編には「いくら作品でも触れてはいけない物事」が含まれていました。それを注意喚起するネタバレが現れ、白日の元に晒され、作品は非公開になりました。これは仕方ないことと思います。
納得が行かないのは、作家をバッシングする声がある事です。もちろん触れてはならない題材に触れてしまった事、これは非難されて然るべきです。ですが、作品の中に含まれた悪意と作家の意思を同列に扱う事、これが許せません。)
(それに、オリンピックに関係する事柄を受けて作ったシナリオを公開した後、まさかTRPGの世界で全く同じ出来事が起きるとは思ってもみなかったので尚更です。)
※以下追記
(ちなみに本シナリオの公開は7月末、例のシナリオは8月入ってからの出来事だったので、まさしく寝耳に水です)
では、作家はどうすればいいんだろう。清廉潔白なものづくりだけを徹したらいいんだろうか。でもそんなことって可能なのか? 誰の事も傷つけない、誰にとっても悪意のないものを作り続けることって、不可能じゃないか?
シナリオなんか特にそうです。どれだけネタバレを禁じても、誓約書なんか用意したってそれを破る人が現れたら、簡単に破られてしまう。破壊されてしまう。
自分が気に入らないという理由で作品がもつ隠匿性を破壊し、バッシングし、非公開に追い込む。こんな事が恒常化すれば、TRPGの世界でシナリオを作って公開するなんて、恐ろしくてできなくなります。
では、それを恐れなくてよいものを作る事はできないだろうか。
つまり、全ての人に優しくない、悪意を向けるようなものを作ってもよいのでは?
もちろん「絶対に触れてはならないもの」は避けよう。その上で、人が悪意を感じる題材を用意して。
ネタバレで破壊されるなら、初めから破壊的なものを作ってしまえば、ネタバレで破壊されるリスクは消えるのでは?
何より、私は「清廉潔白で誰の事も傷つけない作品を作り続けます」なんて、言えません。私の作るものはこれからも誰かに嫌われて、酷評され、悪意があると非難されて然るべきなんです。
そして、その中でも私の作るものを「良い」と言ってくれる人のために作る方が、誠実なんじゃないだろうか? そう思ったわけです。
初めから悪意があり初めから破壊的で、初めから非難されるべくして生まれる、後ろ暗い作品。それを作ろう。悪質で、悪意の込められたものを、作ってみようじゃないか。
で、今回のシナリオです。
「無題 Untitled」という作品には、人が悪意でもって発生させた、とある現象をモチーフにしたギミックがあります。
一応、ここより下でその事柄について触れます。改めて、ネタバレ注意です。
それは「チェーンメール」や「不幸の手紙」と呼ばれるものです。
TRPGをよくプレイする人なら、特にKPもPLもよくやる方なら、一度はこういう経験があるはずです。
「このシナリオ回してもらったから、次は私が誰かに回そう」
このポジティブな感情は、チェーンメールとよく似たものではないでしょうか。本シナリオは、その部分を切り取ったものであるに過ぎません。
チェーンメールとは、まさしく連鎖する、人の悪意。人が次の人間を犠牲にするために人を呼び込む、悪意の連鎖です。
意外なほどに歴史は古く、1500年以上前にも同じようなものが流布していたようです。もはやこれは、人の精神に根付いた「悪意の文化」とすら言えるものでしょう。
ですが、チェーンメールという悪意の文化は、現在では廃れました。理由は様々あると思いますが、単純にコミュニケーションツールとしてのメールが若い世代にはそれほど利用されなくなったということもあるんだと思います。
それに、チェーンメールの多くは虚偽の情報をばら撒くためのものだったようですが、現代ではその情報が虚偽か本当かを確かめるのはとても容易になりました。
結果として、チェーンメールや不幸の手紙というものは次の世代には定着せず、悪意の連鎖は絶たれたことになります。
私は、この現象をシナリオに落とし込めないかと考えました。まさしく前述の通り、悪意そのものという作品作りならこんなに適した題材はありません。
本シナリオを、結局ただのチェーンメールではないかと非難する声もありました。
大筋でそれは間違いではありません。ですが、本シナリオには実際のチェーンメールが持つ「実害」というものは、ほぼありません。
デマや間違った情報を流布しているわけでもなければ、メールサーバーに大きな負荷をかけ続けているわけでもありません。まして、一度メールを回した人の元に戻ってくる事があるわけでもありません。
探索者は大きなロストに晒される。それを承知で本シナリオに望むわけですから、この連鎖を止める事もできる。もちろん、探索者の犠牲で。
これを実害と取りますか? だとしたら申し訳ない。セッションをなかったことにして、探索者を取り戻してあげてください。
どうでしょう。実害は残らず、ただ悪意の連鎖としての性質だけが取り出せる。そして、誰もその実態を掴めない。もはや私も掴めない。ただ「終わりと始まりがシームレスに繋がったシナリオ」として、無題はこの世に生を受けることになりました。
悪意のある作品を作る作家は、悪意のある人でしょうか。
このような悪意丸出しの作品を世に送り出し、その現象をこの世に起こした私は、悪意ある人間でしょうか。
もちろん、それを判断できるのは、私以外の全ての人だけです。
応援してくれた人々に、心から感謝を述べます。無題 Untitledは、公開されると同時にその隠匿性を失い、チェーンメールシナリオとしての性質は失われる事でしょう。
およそ1ヶ月ほどの、この大きな悪意のうねりを私は決して忘れません。これを皮切りに、私はまだまだ人を驚かせる物作りに徹し続けるつもりです。
でも、次は悪意なんかないシナリオ出します。
※8/18 22時 追記
ひとつ、追記します。
このシナリオを非難している皆様、あなた方が抱いた違和感は、嫌悪感は、正しいものです。
KPがPLを騙して陥れ、次のKPとするこの構図は、当然ですが愉快なものであるはずがありません。
ですので「このシナリオは悪質だ」という感情は、いたって健全で当然のものです。作者である私や、作品に対するあらゆる非難は全て正当性があります。
ですが今現在、このシナリオを楽しんでプレイしている人に対して、剥き出しの悪意をぶつけている人が散見されます。さすがにそれはどうでしょう。
もちろん、そうやって楽しんでくれてる人達は、悪事に加担をしているわけではありません。このシナリオに込められた悪意を「ただの作品」と理解し、KPもPLも、共々楽しんで遊んでいます。
野良卓で声を掛け合って、新たな人間関係が生まれた例もあるようです。
もちろん逆もあるでしょう。人間関係への悪化は懸念されます。何せ悪意をぶつけるシナリオです、そこに悪質性を感じた方もいるでしょう。
ですが、それと現在楽しんでいる人とは全くの無関係です。
それどころか、シナリオでもTRPGセッション上でもなくただ「自分は良くないことと思ったから」と、楽しんでいる人に剥き出しの悪意をぶつけてしまえば、それはもはや私の介入できる余地はないです。その人の問題です。
作者、および作品に対する非難、批判は正当です。ですが楽しんでいる人への攻撃は認められません。絶対にやめてください。
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