社会人が「留学がしたい」と思ったとき、一番不安になるのが帰国後の仕事のことだと思います。
私は勤めていた職場を退職してロンドンに留学しました。6か月の留学を終え帰国してからは、瀬戸内の島で4か月ほどアルバイトなどをしながら島暮らしを満喫。
その後実家のある福岡に戻り、2か月ほど就職活動をして、現在勤めている環境コンサルタント会社に再就職しました。
今回は私の社会人留学の経験談を踏まえ、留学する前にすべきことや帰国後の就職活動についてみなさんに共有したいと思います。社会人の留学は不安や心配も多いと思いますが、少しでも前向きな気持ちになって頂けたら嬉しいです。
振り返ってみると、留学を思い立ち仕事を辞め、留学に行って帰ってきて再就職するまでの間、一番考え、悩み、もがいたのは、仕事を辞めるまでの間だったような気がします。
覚悟を決め退職した後は、準備して前に進むだけなので、留学するかしないか、仕事を辞めるかどうかを悩んでいた頃より、気持ちはずっと楽になりました。
私の場合は、留学のために仕事を辞めるという道を選択しましたが、会社によっては休職して留学行くなどの手段もあります。
そのことについては、以前記事を書いているのでぜひ読んでみて下さい。
以下では、社会人が留学するにあたり、より充実した留学になるためのヒントを、留学前、留学中、留学後の3つに分けてご紹介いたします。
帰国後の生活に対する不安は可能な限り減らして、気持ち良く留学に行きたいですよね。そのためにも留学プランを立てる際、帰国後の数カ月分の生活費、及び就職活動費(人によっては起業資金など)を考慮し、資金に余裕をもたせておくことをおすすめします。
私は帰国してからもある程度の余裕を持って生活ができ、なおかつ自由な就職活動ができるだけの資金がしっかり残るように留学費用を調整しました。
留学費用の調整のポイントの1つは、留学先の国の選択です。国によって現地での生活費は異なります。生活費の安い国を選べば、その分の浮いた資金を帰国後の生活費など、別のことに回せます。
しかし、私の場合どうしても留学先はイギリスがよかったので、物価は高めの国ですが、そこは譲れませんでした。その代わり、学費を抑えることにしました。
語学学校の授業を午前中だけのカリキュラムにすることで、かなり学費を抑えることができました。学費は受ける授業数でも決まるので、朝から夕方までのフルタイムのプランに比べれば安くなります。その分午後からは自分で集中して勉強ができるように、自習室が充実した学校などを選ぶこともできます。
さらに留学期間でも費用は調整できます。当初は最長1年の留学も視野に入れて計画を立てていましたが、余裕を持った資金プランにするため、6か月に決定しました。ちょうど留学して5か月経った頃に、日本食や家族、友人が恋しくもなってきたので、6か月という期間は私にとってはちょうど良かったと思います。
その他にも、海外の生活に慣れている人なら、現地での家賃などの生活費を抑える術を持っているのかもしれません。家賃などは住む地域や家の形態(シェアハウスや間借り寮など)によっても異なります。
またエージェントさんなどのサポートを借りず、留学手続きなどすべて自分自身で行えばそれらの費用を抑えられるかもしれません。私の場合は、初めての留学、海外生活だったので安全第一と考えて、住む場所や家賃、エージェントサポート費用などは削減の対象としませんでした。
一言に留学と言っても、そのプランは留学に行く人の数だけ存在します。留学に求めるものやこだわる部分が異なるので、人によって適したプランが違うのです。社会人は留学にかける時間・費用も自分次第ですので、自由に計画を立てることができます。
だからこそ自分にあったプランをしっかり練り、帰国後のことも考えた余裕のあるプラン作りをおすすめします。
また留学前には、現状の英語力の目安としてTOEICやTOEFLなどのテストを受けておくと良いと思います。留学の前後でテストを受けることで、転職活動の際留学の成果として英語力をアピールしやすくなります。
仕事を辞めて留学することを知人に話したときに、『学生の時に留学に行っておけば良かったね』と言われたことがありました。しかし、それは違うと断言したいです。
1度日本の社会で、社会人として働いた経験があるからこそ、もう一度学生として学べる有り難さや喜び、学校生活に対するワクワクが違います!
仕事を辞めてまで(もしくは休職して)来たからこそ、そこで何かを得たい、学びたいという意欲は強いと思います。ましてや、自分で苦労して稼いだ大金を留学に費やすわけですから、自分の人生に対する責任もあります。
学生が留学して見えるものと、社会人が留学して見える景色、気づきは明らかに違うものだと私は思います。どちらが良い、悪いではなく、学生なら若さや純粋さゆえに感じられるもの、社会人ならその経験ゆえに気づけるものが違うということです。
せっかく留学に来たのですから、留学中は多種多様な人々と是非たくさん触れ合ってください。私は留学で、自分が今まで生きてきた環境が限定的で偏ったものであることを改めて実感しました。
語学学校のクラスには、国籍も年齢も経歴も文化も常識も価値観も、何もかも違う人々が1つの教室で肩を並べて英語を勉強しています。日本の常識はここではむしろ非常識です。こんな多種多様な人たちと、同じ立場で、クラスメイトとして話ができる機会なんてそうそうありません。
私にとってこの環境はとても奇跡的なものに感じました。いろいろな国の人と触れ合うことで、人生の考え方、働くということ、生きるということに対する価値観が変わり、選択肢が広がるはずです。その変化は留学終了後の生活にも大きな変化をもたらしてくれると思います。
もう1つの留学中の心得として、英語力を上達させるため、目標を設定することをおすすめします。例えば留学前に受けた英語のテストについて、留学後〇〇点を目指す、語学学校で2つクラスのレベルを上げるなど、より具体的なもののほうがモチベーションを保ちやすいです。
転職の際「留学に行った」という事実だけでなく「留学でこれだけ英語力が上がった」と言えることで、英語力を武器にすることができます!
6か月の留学を終え日本に帰国した時、私は無職。仕事をしてないことは、住む場所もこれから何をするかも自由、ある意味自分を縛るものがほぼ何もないような状態です。
その時私はまだ、自分が日本で何の仕事をしたいのか、前職と同じ職種か、あるいはまったく新しい職に挑戦するのか、決めきれずにいました。
そんな中、婚約者が瀬戸内の島に縁があり、そこでお仕事を始めるということだったので、島暮らしも素敵だなと思い、今まで訪れたことのなかった瀬戸内の島で4か月ほど海のアルバイトなどをしながら初の島暮らしを満喫しました。資金が許す限りはこの状況を楽しみ、自分が何をしたいか焦らず考えようと思ったからです。
そして瀬戸内の静かな海を見ながら、前職を生かせる分野、もしくは英語を生かせる分野で再就職しようと決めました。島で、人生の休暇のようなのんびりした4か月を過ごした後、福岡に戻り就職活動を始めました。
新卒の時の就職活動に比べれば、2度目の就活は心に余裕を持って行うことができました。あの頃のように、「企業が求める理想の学生象」を目指し自分を作り込んでいく必要はありませんし、姿も態度も自然体で臨むことができます。着慣れないリクルートスーツを着て、髪は真っ黒、長い髪は1つにまとめて、化粧は薄くシャツのボタンは上まで閉めて……など、余計なことを考えなくていいのです(笑)!
集団面接で限られた時間内に自己ピーアールをするような状況もないので、面接官に通常の会話に近い形で、落ち着いて自分のことを伝えることができました。
英語のスキルについては、私の場合TOEICなどの公式なスコアが出るテストを受けていなかったので、語学学校卒業時のクラスのレベルを履歴書に書き、補足としてそのクラスレベルがTOEICスコアのどの程度のレベルなのかを記しました。英語レベルがシビアに見られる分野で就職をお考えの方は、正式なテストなどを受けて、英語力をしっかりアピールして下さいね。
面接の際は、留学について聞かれたら話すエピソードをいくつか考えておくことをおすすめします。ただ留学に行ったという事実だけではアピールにはなりません。留学に行って、何を経験し何を感じたか、どう変わったのか、そして英語力はどうなのかを面接官に話して初めて自分の強み、アピールポイントになります。
私は上記の「留学中の心得」に書いた、社会人だからこそ留学で気づけたことや、外国人と日本人の文化、生活、価値観の違い、そこから学んだことを学校生活での具体的エソードを交えて話しました。みなさんも、留学について聞かれた際に話せる留学中の具体的なストーリーを準備しておくと、面接官の心をつかめるかもしれませんよ!
ちなみに私は前職を生かせる専門分野と英語を生かせる分野の双方で就職活動をした結果、双方の分野で幸運にも内定を頂くことができましたが、悩んだ末、前職を生かせる専門分野への就職を決めました。
社会人の留学は、けっこう勇気がいるものだと思います。漠然とした不安があるからです。その原因は、帰国後の自分が想像しにくいことにあると思います。
また日本では社会人留学生の数はまだまだ少なく、学生に比べ事例が少ないことも、不安にさせる要素の1つかもしれません。
人それぞれ取り巻く環境が違うので、私の体験談が役に立つかはわかりませんが、留学に憧れを持ちながらも帰国後のことが不安で悩んでいる人が、私の体験を1つのサンプルとして、少しでも前向きな気持ちになってくれればいいなと思います。
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