日本の森雅子前法相は11日、オンラインイベント「キリロムグローバルフォーラム2021夏」に出席し、カンボジア政府の上級顧問を務めるソック・シファナ弁護士と、同国での日本政府による法整備支援について意見交換した。経済発展に伴い日本からも投資が続くカンボジアで、投資家を保護する法整備支援の重要性を強調した。
森氏は9~11日に開催されたキリロムグローバルフォーラムのセッションの1つ、「日本からカンボジアへの投資を増やすための課題」に参加。日本政府が1990年代からカンボジアの法整備支援として、民法や民事訴訟法の起草のほか、同法の普及活動や人材教育などの支援を実施してきたと説明した。その上で、「今後は商法の整備や、ビジネスに特化した弁護士の必要性が高まっていく」と指摘。日本政府が関連法の起草支援から成立、運用までを支援する重要性を強調した。
これに対しソック・シファナ氏(アジアン・ビジョン・インスティテュート理事)は、「各国のさまざまな支援の中でも、日本の専門的な支援は一番包括的だ」と謝意を表明。「商法の制度整備についても、日本には大きな機会がある」との考えを示し、日本の全面的な支援に期待を示した。
同氏はまた、カンボジアの法制度の課題の1つとして、基本的に判例が公開されておらず、判決が下るまでの詳細なプロセスが確認できないことを挙げた。その上で、「判例を公開するシステムを根付かせ、判例を見ながら専門家が分析できる仕組みを作りたい」と話した。
キリロムグローバルフォーラムは、カンボジアでキリロム工科大学の運営事業などを手掛けるキリロムグループ(シンガポール、猪塚武最高経営責任者=CEO)が開催した。森氏はカンボジアでの法分野の人材支援として、キリロム工科大学に法学部を設置することを提案。猪塚氏は実現に向けて意欲を示した。
同フォーラムは起業家や投資家などが交流するイベントで、50のセッションが行われた。150人以上がスピーカーとなり、約900人が聴講した。
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