Dangerous~1~

周りがインフルエンザの集中攻撃を受ける中、一人、地味に風邪を引いてしまいました。

熱が出れば簡単に休めた学生時代が懐かしい・・・・・(泣)

今日はすっかり回復したので、前回の予告どうり「Black Or White」か「Dangerous」のどちらかを・・・・と思いますが、気分で「Dangerous」にしたいと思います。


「Dangerous」アルバム「DANGEROUS」(1991年)のタイトル曲であり、ラストを飾る曲でもあります。


デンジャラスデンジャラス
(2001/10/31)
マイケル・ジャクソン

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この曲はなぜか、いまでも時々中毒のように聴き続けてしまうことがあるんですよね。私にとってはまさに「危険」な曲(笑)

マイケルは生前、曲の制作過程について詳細を明かすのは好きではありませんでした。
「‘誰が何をやった’とか話すの嫌いなんだ」とインタビューでも話していました。
そのため、そういったことは周りのプロデューサーやクリエイターが後になって「こぼれ話」的に話すのが常でした。ところがこの「Dangerous」は、マイケル自身の証言が残っている珍しい曲です。
それはなぜかというと、この曲が無名(といったら失礼か?)の歌手により「盗作」だと訴えられ裁判になった際、その法廷?でのやり取りを録音したものが、なぜかネットに流出したことがあったんですね。

この裁判は、原告側が何の証拠も出せずに早々に終結したわけですが、一年間で300件とも800件とも言われたマイケルに対する訴訟の中には、「万が一勝訴できたら莫大な金が入り、負けても売名になるしマイケル・ジャクソンに会えるかも」なんてことを考えた輩によるものも多かったわけです。
(一度としてマイケルが敗訴したことがない、というのがそれを物語っていますが)
「訴訟大国」アメリカらしいですよね。

マイケルも多忙の中、弁護士と共に裁判への出廷やその準備などといった「雑務」もこなしていたわけで、その中でたまたま、この「Dangerous」の裁判の音声が流出してしまったわけです。(法廷でのマイケルは、ため息をつきながらも極めて紳士的に喋っているのですが。)
この流出の件に関しては、コアなファンの中ではもう広く知られていますし、マイケル自身の耳にも入っていた可能性も高いでしょうから、私が聞き取って訳したものをいくつか紹介しながら、今回は語ってみたいと思います。

この曲の聴き所は、なんといってもマイケルのスリリングでセクシーな語りでしょう。
「Dangerous」に限っては、歌よりも「語り」に重点が置かれているように思います。
それくらいマイケルの語りは聴き応えがあります。
もちろん、サウンド面でもあーだこーだ語りたい(マイケルにも語ってもらいたい)のですが、今日はまずは歌詞から、語っていきたいと思います。
すごく好きな曲なので長くなりますが、のんびりお付き合いくださいね(笑)


さて、「Dangerous」の作者にクレジットされているのは、マイケルとビル・ボットレイルテディ・ライリーというおなじみの顔ぶれですね。
裁判の中で、作詞とヴォーカル・メロディーに関しては、マイケルが「全て自分一人で行った」と話しています。

「Dangerous」の歌詞に登場するのは、主人公の男(マイケル)と「女」、そして男の本来の恋人。
一見よくある男女の三角関係の話のように見えますが、実は「Dangerous」という曲は、女に対する「肉欲」というものについて、非常に上手く描かれた曲です。

同じアルバムの「In The Closet」も同様にセクシャルな歌詞ですね。「Dangerous」の歌詞はあちらほど軽いノリではありませんが、性行為を渇望する根本的な「欲望」というもの自体にスポットが当てられていて、恋愛話とも一味違います。

「Heal The World」のマイケルが好きな方、こういう曲を書くマイケルもいるんですね。
マイケルも人間ですから、当然、理性と対極にある「怒り」だとか「性衝動」というものを生まれながら持っているわけで、マイケルはそれをこの曲で表現したのだと思います。
ものすごく激しくエロティック、かつ詩的な奥深さを感じるのが、私がこの曲で一番好きなところです。



ということで・・・・・・・さあ、未成年の良い子の皆さんは寝ましたかー????(笑)
ここからは大人の時間です。

歌詞の和訳をしてみましたので紹介したいと思います。
「語り」の部分はかなり詩的に書かれていますので、訳し方が難しいのですが、こんな感じで、とりあえずどうでしょうかってことで・・・・・。

(その語りの部分のみ、色をで書いてあります。メロディー部分は、今回は和訳のみ載せています。※後日全て載せています。 )

ちなみにご存知でない方のために触れておきたいのは、この「Dangerous」の歌詞には、マイケルが尊敬してやまなかったフレッド・アステアへのオマージュが含まれている、ということです。
マイケルが生まれる前の古い映画ですが、「The Band Wagon」という映画に出てくるセリフ、「She came at me in sections」は有名ですね。
興味のある方は、そちらも観ていただきたいと思います。きっとマイケルも、何度も観たのでしょう。


Dangerous

The Way She Came Into The Place
I Knew Right Then And There
There Was Something Different
About This Girl

彼女の登場の仕方
僕にはすぐ、その場でわかった
この娘には
特別な「何か」がある、と

The Way She Moved
Her Hair, Her Face, Her Lines
Divinity In Motion

彼女の立ち振る舞い、
髪、顔立ち、体のライン・・・
動きに神々しさすら感じた

As She Stalked The Room
I Could Feel The Aura
Of Her Presence
Every Head Turned
Feeling Passion And Lust

彼女が部屋を闊歩すると
僕は彼女から発せられるオーラを感じた
誰もが熱情と肉欲を感じ、
彼女を振り返ったんだ

The Girl Was Persuasive
The Girl I Could Not Trust
The Girl Was Bad
The Girl Was Dangerous

その娘は圧倒的だった
その娘は信用できない
その娘はヤバイいよ
その娘は危険だったんだ



I Never Knew But I Was
Walking The Line
Come Go With Me
I Said I Have No Time
And Don't You Pretend We Didn't
Talk On The Phone
My Baby Cried
She Left Me Standing Alone

僕はわかっちゃいなかった
危ない橋を渡っているということを
「私と一緒に来て」
僕は「時間がないんだ」と言った
彼女は言った
「電話で話したこと、知らない振りしないでよね」
僕の恋人は泣き
僕を残して出て行ってしまった


(サビ)
She's So Dangerous
The Girl Is So Dangerous
Take Away My Money
Throw Away My Time
You Can Call Me Honey
But You're No Damn Good For Me

彼女は危険すぎる
あの娘は危険だ
僕の金を奪い
時間も無駄に費やすだけだ
僕のことを「ハニー」と言うのは勝手だが
お前は僕にふさわしい女じゃない



She Came At Me In Sections
With The Eyes Of Desire
I Fell Trapped Into Her
Web Of Sin
A Touch, A Kiss
A Whisper Of Love
I Was At The Point
Of No Return

彼女はその体で僕に迫って来た
欲望の目を光らせて
僕は、彼女の罪深い罠にハマってしまった
彼女の感触、キス、愛の囁き・・・・・
僕はもう、
後戻りできなくなっていた

Deep In The Darkness Of
Passion's Insanity
I Felt Taken By Lust's
Strange Inhumanity

情欲の狂気という
深い暗闇の中、
僕は肉欲に込められた、
奇妙な残酷さに囚われていた

This Girl Was Persuasive
This Girl I Could Not Trust
The Girl Was Bad
The Girl Was Dangerous

その娘は圧倒的だった
その娘は信用できない
その娘はヤバいよ
その娘は危険だったんだ




I Never Knew
But I Was Living In Vain
She Called My House
She Said You Know My Name
And Don't You Pretend
You Never Did Me Before
With Tears In Her Eyes
My Baby Walked Out The Door

僕はわかっていなかったが
空虚な人生を送っていたんだ
彼女は僕の家に電話を掛けてきて言った
「私を知ってるでしょ?
 前に私としたこと、知らないなんて言わせないわ」
目に涙を溜めて
僕の恋人はドアから出て行ってしまった


(サビ)
She's So Dangerous
The Girl Is So Dangerous
Take Away My Money
Throw Away My Time
You Can Call Me Honey
But You're No Damn Good For Me

彼女は危険すぎる
あの娘は危険だ
僕の金を奪い
時間も無駄に費やすだけだ
僕のことを「ハニー」と言うのは勝手だが
お前は僕にふさわしい女じゃない

Dangerous
The Girl Is So Dangerous
I Have To Pray To God
'Cause I Know How
Lust Can Blind
It's A Passion In My Soul
But You're No Damn Lover
Friend Of Mine

危険だ
あの娘は危険すぎる
もう神に祈るしかない
僕にはわかっているんだ
肉欲がいかに人を盲目にするか
僕の魂に潜む情欲の問題なんだ
でも、お前は僕の恋人なんかじゃないし
友人ですらないんだ

I Can not Sleep Alone Tonight
My Baby Left Me Here Tonight
I Cannot Cope 'Til It's All Right
You And Your Manipulation
You Hurt My Baby

今夜はとても一人じゃ眠れない
恋人が僕を残して出て行ってしまった
それがなんとかならないと、対処できないよ
君と、君の巧みな策略に
君は僕の恋人を傷つけたんだ



And Then It Happened
She Touched Me
For The Lips Of
A Strange Woman
Drop As A Honeycomb
And Her Mouth Was
Smoother Than Oil
But Her Inner Spirit And Words
Were As Sharp As
A Two-Edged Sword

そして、それは起きた
彼女が僕に触れたんだ
こぼれ落ちる蜜のような
知らない女の唇で
そして彼女の口の動きは、
オイルよりも滑らかだった
でも内に秘めた魂と言葉は
両刃の剣のように鋭かった

But I Loved It
'Cause It's Dangerous

でも、僕はその虜になったんだ
それが危険だったからこそ!



(サビ)

Dangerous
The Girl Is So Dangerous
Take Away My Money
Throw Away My Time
You Can Call Me Honey
But You're No Damn Good For Me

危険だ
あの娘は危険だ
僕の金を奪い
時間も無駄に費やすだけだ
僕のことを「ハニー」と言うのは勝手だが
お前は僕にふさわしい女じゃない

(リピート×3)

Dangerous
The Girl Is So Dangerous
I Have To Pray To God
'Cause I Know How
Lust Can Blind
It's A Passion In My Soul
But You're No Damn Lover
Friend Of Mine

危険だ
あの娘は危険すぎる
もう神に祈るしかない
僕にはわかっているんだ
肉欲がいかに人を盲目にするか
僕の魂に潜む情欲の問題なんだ
でも、お前は僕の恋人なんかじゃないし
友人ですらないんだ

(訳・テト)



色で分けるとよくわかりますが、自分が肉欲に溺れていく本能の部分が「語り」によって描かれ、それに抗おうとする理性の部分が、メロディーで歌われています。
それが入れ替わりながら進行していくことで、ドラマティックかつスリリングな展開になっているんですね。

そしてこの曲のクライマックスといえる部分は、こちらの部分でしょう↓


そして、それは起きた
彼女が僕に触れたんだ

こぼれ落ちる蜜のような
知らない女の唇で・・・

そして彼女の口の動きは
オイルよりも滑らかだった

でも内に秘めた魂と言葉は
両刃の剣のように鋭かった

でも、僕はその虜になったんだ
それが危険だったからこそ!



「危険だったのに」愛してしまったのではなく、「危険だからこそ」愛してしまった。
女の内面はといえば、金も時間も搾取し、鋭い言葉を浴びせる冷淡なものでしかないのに、反面、その体が持つ艶かしさ。それに欲望を感じてしまう自分。

宗教的に罪とされることもある「Lust」という欲求について、時にそれに抗えない、強い衝動を人間は感じることがあるのだということを、この曲はとても上手く描いているように思います。
いかにもな直接的な文言がないのに、すごくエロティックな情景が浮かんできますよね。

この部分を語るマイケルの声は、この曲の中で一番熱を帯びていますね。
特に最後の2行、「But I loved it 'Cause it's dangerous (でも、僕はその虜になったんだ、危険だったからこそ)」は、ものすごく低くてセクシーな声。
この曲で一番の聴きどころだと言っていいでしょう。

そして歌が終わってからラストまでの部分、マイケルの強く低い吐息は、肉欲に溺れる感情を表しているように聴こえませんか・・・・?

この「Dangerous」という曲は、作家や評論家など、各方面から高い評価を得た曲だったと記憶しています。
作詞家としてのこういうマイケル・ジャクソンも、魅力の一つですよね。


さて、ここからが本題、曲の製作過程の様子やサウンド面についてですが、こちらに関しては先ほど触れたように、マイケル直々の証言がありますから、そちらを交えていきたいと思います。
それからこの「Dangerous」に関しては、ダンスも語らないわけにはいかないですよね!


ということでまだまだ続きますが、一旦休憩させていただきます・・・・・。

この記事へのコメント

  • TITLE:
    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    ここではじめてデンジャラスの歌詞の意味知ったけどやっぱマイケル天才だわ。
    2015年04月07日 21:06
  • 加穏留

    TITLE: 詳しい解説ありがとうございます
    SECRET: 0
    PASS: 49364024087be8485304f40c472bb526
    6月27日にフラッシュモブで
    Dangerousを踊る予定です。
     
    歌詞も覚えたいし、
    仲間にも内容を知って欲しかったので、
    FBのグループ内で
    このページを紹介させていただきました。
     
    詳しい説明をありがとうございます!
    踊りに気持ちが込められそうです(*^-^)
    2015年06月14日 21:59
  • テト

    TITLE: Re: 詳しい解説ありがとうございます
    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    はじめまして。コメントありがとうございました^ ^
    今後も是非、見に来てくださいね。
    2015年06月17日 14:53

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