元徴用工訴訟、三菱重工の債権差し押さえ命令 韓国地裁

ソウル=神谷毅
[PR]

 韓国大法院(最高裁)が三菱重工業に元徴用工らへの賠償を命じた判決をめぐり、水原地裁安養支部は18日までに同社が韓国企業「LSエムトロン」に対して持つ物品代金の債権約8億5千万ウォン(約7900万円)の差し押さえと取り立ての命令を出した。元徴用工訴訟で第三者企業への債権の差し押さえが認められるのは初めてとみられる。

 三菱重工業側は即時抗告でき、直ちに現金化されるわけではない。賠償に充てる資産が第三者に対する債権にまで広がったことで、今後、差し押さえの対象が広がったり、元徴用工訴訟の被告となった日本企業の韓国での事業に影響が及んだりするおそれがある。

 裁判所は原告側から今月初めに申請を受け、12日に命令を決定。18日にLS社に伝達して効力が発生した。LS社は三菱重工業に代金を払えなくなる。原告側の弁護士は「事実の認定と謝罪を求めて協議をするつもりだが、三菱重工業が拒むなら命令に基づいてLS社に直接取り立てる」としている。(ソウル=神谷毅)