『もうぬげない』
ヨシタケシンスケ
ブロンズ新社
ぼくのふくがひっかかってぬげなくなって、もうどのくらいたったかしら。
おかあさんが「おフロにはいろう」なんていうから。
「じぶんでぬぐ!」っていったのに、おかあさんがいそいでぬがそうとするから。
いろいろやってみたけれど、ちっともぬげない。
このままだったらどうしよう。
……でも、なんとかなりそうなきもする。
のどがかわいたらどうしよう……。
ネコのミータがおなかをコチョコチョしてきたらどうしよう……。
アイデアしだいで、どうにかなるよ。
感想
今、一番人気のある絵本作家と言っても過言ではない、ヨシタケシンスケさんのとってもかわいい絵本です。
シンプルな絵にシュールな展開。
服が引っかかってぬげなくなったことがある、世の中のほとんどすべてのひとに伝わるであろう、この面白さ。
ヨシタケシンスケさんの他の絵本『りんごかもしれない』や『ふまんがあります』等もまたどこかで紹介したいと思っているのだけど、あちらはわりと言葉数が多くて、ものすごく面白いのに読み聞かせをするにはちょっと大変なところがある。
この『もうぬげない』は、その点、文章がかなり短いので、ちょっとした時間の読み聞かせにはもってこいの作品。
しかも、図書の時間に読み聞かせをすれば、たいてい、笑いが起きてほしいところでちゃんと笑いが起きる。
それって、かなりすごいことだと思う。
読み聞かせのボランティアをしてくださっていた保護者の方にこれをおすすめしたときも、一読し、気に入ってくださった。
かわいすぎる……!
とおっしゃっていた。
お母さんから見ても、子どものこういう姿はきっと子育てあるあるなのだろうし、その思考がまたTHE子どもという感じで、親の心をくすぐるのかもしれない。
子どもも楽しく読めて、親もほっこりする絵本。
素晴らしいのひと言。
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