2021/4/16

オンライン授業がベースとなり、後期から一部語学と体育の授業が対面になったぐらい。通学は不要、身なりに気を使う必要もないと気楽だった半面、孤独感は否めない。構内に入るためにも予約が不可欠。例年は第2外国語のクラスで歓迎会や合宿など交流の機会が設けられるが、コロナ下ではそれもない。当然、友人の輪は広がらない。今もよく話すのは予備校の友人だ。

そんなとき、ある知人が駒場祭のミス東大コンテストに出場することを勧めてくれた。神谷さんはクラシックバレエや新体操などカラダを動かすことが好きな活発なタイプの女性。もしコロナ禍ではなく通常時だったら、そのような活動に忙しく、「ミスコンに出る暇はないよ」と二つ返事で断っていたという。

新たな人との出会いを求め、コンテストに参加することにした。ミス東大の神谷さんはコロナ下だったから誕生したわけだ。

次のステージのミス・オブ・ミスのコンテストには当初、出場する気はなかったが、「ミス東大が終わって寂しい」「また神谷さんを見たいな」というツイッター上の声に押され、出場を決めたという。多くの学生は長引くコロナ下に、孤立感を深めていた時期。家から出ない日々のつらさは自分も同じだからわかる。それだけにSNS上の応援コメントが心に染みた。

ミスコンをきっかけに見えてきた道

3月に開催された「ミス・オブ・ミス・キャンパス・クイーン・コンテスト2021」でグランプリに輝いた神谷さん

「人を笑顔に」という言葉は口先だけのきれいごとだと思っていた。しかしミスコンで様々な応援の声に励まされたことから、今では将来、人を笑顔にできる人物になりたいと本気で思っている。

ミスコン出場をきっかけに、テレビ番組にも出演し、実際の現場で働くアナウンサーの人たちと接することができた。仕事の楽しさややりがいをひしひしと感じた。これまでに培った知識を駆使し、しゃべったり、笑ったりして視聴者を笑顔にすることができる。しかし、在京キー局の女子アナの競争率は数千倍とも言われる超難関。ミスの称号を得たからと言って簡単に受かるわけではない。アナウンサーになるためのトレーニングを受けられる専門スクールに通い始めた。

ただ、大学2年生になったばかりの神谷さんはまだ明確にアナウンサーになろうと、将来のキャリアを決めているわけではない。「やりたいことがなかったからこそ、東大に来て良かったと思う。逆に今は選択肢が広がりすぎて、悩んでますけど」と笑う。

(代慶達也)

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