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オンラインでしつけだワン 在宅狙い新サービス

2021年8月17日

 新型コロナウイルスの感染拡大で“おうち時間”が増える中、大阪市内のITベンチャーがドッグトレーニングをオンラインで受講できるユニークなサービスを始めた。自粛生活の長期化でペット需要が大幅に伸びる一方、飼育放棄も急増している実態が背景にある。飼い主がしつけに手こずっているとみており、「知識不足による飼い主の負担を軽減したい」と展望している。

ドッグトレーナーと飼い主とをオンラインで結んだ一室=大阪市天王寺区

 「付いてきているときは、ほめの言葉もしっかり伝えてあげてください」-。

 同市内にあるビルの一室。専門のドッグトレーナーが犬の鼻先にごほうびを付けながら行動を促す「おやつの誘導」を実演してみせた。テレビ会議システム「Zoom(ズーム)」を用い、犬との関係性を築くトレーニングの初歩を示す一こまだ。

 運営するのは、「そば打ち」などオンラインの体験教室を手掛ける「hobbys(ホビーズ)」(大阪市天王寺区)。“犬の学校”を運営する「プルミエール迎賓館」(同区)と互いのノウハウを共有し、7月から新サービスを始めた。

 初歩は、服従訓練を意味する「オビリエンス」から。「伏せ」「待て」など基本動作から始め、正しいほめ方や叱り方など対話を通じて飼い主との信頼関係を築くことで「『ほえ』や『かみつき』といった問題行動を予防できる」とトレーナーの田口俊介さん(27)。発展すれば「トリック」と呼ばれる一発芸も習得できるという。

 外出自粛に連動したペットブームの影で、飼い主による責任放棄も後を絶たない。一般社団法人ペットフード協会の全国犬猫飼育実態調査によると、2020年に新たに飼育された犬は前年比で14%増、猫は16%増えた。一方で、ホビーズによると、「ほえる」「留守番ができない」などと動物愛護団体への相談が急増しており、これが開発の背景にある。プルミエール迎賓館にも飼育やしつけで苦労する人の相談が増えているそうで、松永哲至社長(44)は「飼い主の理解不足が大きい」と指摘。さらに「緊急事態宣言が解除されると飼育放棄が増えるのではないか」と危惧する。

 「しつけが『限界に来ていた』という声もあり、サービスが求められていると感じている。1回受講すれば実感してもらえる」と松永社長。地方でも受講できるオンラインならではの必要性を強調している。

 ◇料金は初回が1500円、2回目以降は3千円(いずれも税込み)。