「米国の失敗」 20年間のアフガン戦争の大義どこに
アフガニスタンのイスラム主義勢力タリバンが首都カブールを制圧し、米国が支援してきた政権は崩壊した。2001年の同時多発テロを機に米国がアフガンで始めた「対テロ戦争」の20年間は何だったのか。現地取材を重ねてきたジャーナリスト西谷文和さん(60)=大阪府吹田市=に聞いた。
「米国の完全な失敗だ」。タリバンのカブール制圧が報じられた16日、西谷さんは取材にこう言い切った。
今年発足した米バイデン政権はアフガンからの米軍完全撤退を決め、7月には最大の軍事拠点であるバグラム空軍基地を撤収した。
タリバンはその前から急速に支配地を拡大していた。西谷さんは「タリバンを政治に参加させるしくみを作る一方、武装解除も進めるといった出口戦略が必要だった。撤退だけではこうなることは予想できたはずだ」と話す。
米国は01年9月の同時多発テロを機にアフガンへの武力介入を始めた。西谷さんはテロ直後から昨年10月までに10回以上、アフガンで取材を重ねてきた。
01年に当時のタリバン政権は崩壊し、新政権が発足した。西谷さんは米オバマ政権が現地情勢の緊迫化を理由に米軍増派に踏み切った09年以降、治安の悪化を強く感じていたという。
タリバンとアフガン政府との…
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