「米国の失敗」 20年間のアフガン戦争の大義どこに

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細見卓司
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アフガニスタンのカブール国際空港に押し寄せ、航空機の上にのぼった人ら。西谷文和さんが現地にいる通訳者から画像を入手した=2021年8月、西谷さん提供
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 アフガニスタンのイスラム主義勢力タリバンが首都カブールを制圧し、米国が支援してきた政権は崩壊した。2001年の同時多発テロを機に米国がアフガンで始めた「対テロ戦争」の20年間は何だったのか。現地取材を重ねてきたジャーナリスト西谷文和さん(60)=大阪府吹田市=に聞いた。

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アフガニスタンのカブール国際空港に押し寄せた人たち。西谷文和さんがアフガンにいる通訳者から画像を入手した=2021年8月、西谷さん提供

 「米国の完全な失敗だ」。タリバンのカブール制圧が報じられた16日、西谷さんは取材にこう言い切った。

 今年発足した米バイデン政権はアフガンからの米軍完全撤退を決め、7月には最大の軍事拠点であるバグラム空軍基地を撤収した。

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アフガニスタンのカブール国際空港に向かう道では大渋滞が起きていた。西谷文和さんが現地にいる通訳者から画像を入手した=2021年8月、西谷さん提供

 タリバンはその前から急速に支配地を拡大していた。西谷さんは「タリバンを政治に参加させるしくみを作る一方、武装解除も進めるといった出口戦略が必要だった。撤退だけではこうなることは予想できたはずだ」と話す。

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タリバンがアフガニスタン北部クンドゥズに迫り、高齢者を避難させる政府軍の兵士。西谷文和さんが現地にいる通訳者から画像を入手した=2021年8月、西谷さん提供

 米国は01年9月の同時多発テロを機にアフガンへの武力介入を始めた。西谷さんはテロ直後から昨年10月までに10回以上、アフガンで取材を重ねてきた。

【動画】カブールの国際空港には国外脱出を望む群衆数千人が押し寄せた。米軍の特別機が運航を休止するなど混乱に拍車がかかっている

 01年に当時のタリバン政権は崩壊し、新政権が発足した。西谷さんは米オバマ政権が現地情勢の緊迫化を理由に米軍増派に踏み切った09年以降、治安の悪化を強く感じていたという。

 タリバンとアフガン政府との…

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