山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信

ワクチンの有効性は?

ファイザー社製ワクチンの有効性

ファイザー社製mRNAワクチンは大規模臨床試験により新型コロナウイルスの発症を95%抑えるという高い効果が示されました。

その後、実際に大規模接種をいち早く開始した、アメリカ、イギリス、イスラエル、カタールからもReal worldでの高い効果が論文(多くは査読後)として相次いで報告されています。これらの論文では、アルファ(イギリス)型変異に対しても、従来型とそん色のない効果が報告されています。ベータ(南アフリカ)型やデルタ(インド)型に対しても、従来型やアルファ型に対してよりは効果が低下するものの、十分な効果があることが示唆されています。

日本のデータとしては国立感染研が5月10日に第1報を公表しました。ワクチンの先行接種を行った約110万人の医療従事者においてワクチン接種後の感染者の数を解析し、ワクチンの効果がまだ出現しないと考えられる1回目接種後0から13日目までに比べて、14日から27日目までにおいては約60%の、そして28日目以降(多くは2回目接種1週後以降)では、86%の効果があったとしています。査読を受けていないデータではありますが、日本でも高い効果が実証されつつあります。

以下に、主な査読後論文の結果をまとめてみました。Lancet誌のイギリスからの報告は、医療従事者約23000人に対して、2週間ごとのPCR検査と月1回の抗体検査を行い、無症候を含めて感染者の同定に力を入れていますが、感染そのものを85%程度抑制するという、非常に心強い報告です。

査読後論文のまとめ

アメリカ医師会誌 6月9日 カタール入国時の空港でのPCR検査。ワクチン接種群と非接種群で年齢や性別をマッチさせた10092人ずつの比較。ワクチン接種していない人において、90日以前に感染歴のある人と、感染歴のない人で年齢・性別等をマッチさせた7694名ずつについてもPCR陽性率を比較した。

期間

感染(空港でのPCR陽性)

2回目接種14日後以降 78%
前回感染90日以降 74%


アメリカ医師会誌 5月6日 アメリカ病院職員5217名の解析

期間 感染 無症状 有症状+濃厚接触
1回目
0-11日
41% 42% 40%
1回目
12日-2回目
58% 42% 70%
2回目
0-6日
80% 65% 91%
2回目
7日以降
96% 90% 100%

アメリカ医師会誌 5月6日 イスラエル医療従事者6710名の解析
期間 無症状 有症状
1回目接種7-28日 36% 89%
2回目接種7日以降 86% 97%
2回目接種21日以降 94% 98%


Lancet誌 4月23日 イギリス医療従事者23324名の解析
期間 感染
1回目
21日以降
70%
2回目
7日以降
85%


Lancet誌 スコットランド国民490万人の解析
期間 入院
1回目
14-20日
69%
1回目
21-27日
79%
1回目
28-34日
87%
1回目
35-41日
82%
1回目
42日以降
80%