消える水族館のラッコ 高齢化、輸入も規制
1984年から約30年間にわたって人気だったサンシャイン水族館(東京・池袋)のラッコの展示が2月末で終わった。最後の1匹になった雄が繁殖を目指し、他館に移るためだ。国内で飼育されているラッコの数は10匹余りとピーク時の10分の1まで減少。高齢化で繁殖は難しくなり、輸入は規制があり、日本で見られなくなる日は近づきつつあるようだ。
2月29日夕、サンシャイン水族館で開かれた展示終了のセレモニー。子供たちが雄のロイズ(10歳)の水槽に顔を寄せ、「バイバイ」と別れを惜しんだ。水槽のカーテンが閉じられるとすすり泣く人もいた。
パートナーだった雌のミール(13歳)が1月にがんで死に、残されたロイズを移すことが決まった。無事に引っ越して「新居」で展示ができるようになるまで、行き先は公表しないという。
日本動物園水族館協会によると、最初の国内での展示は82年、伊豆・三津シーパラダイス(静岡県沼津市)。おなかの上で貝を割る愛らしい姿が人気を呼んで「ラッコブーム」を巻き起こし、94年には全国28施設で122匹が飼われた。
しかし乱獲によって野生の生息数は減少。ワシントン条約で国際取引が規制され、アラスカなどの大生息地がある米国から日本へのラッコ輸出は98年で途絶えた。
国内で展示を続けているのは鳥羽水族館(三重県鳥羽市)や海遊館(大阪市)など。ラッコを貸し借りして赤ちゃん誕生を目指すが、年齢とともに繁殖能力は低下し、思うような結果は出ていない。専門家によると、ラッコは環境の変化といったストレスに弱く、近年は子供が生まれても無事に育つのが難しくなっているという。
国内の繁殖計画を取り仕切る鳥羽水族館の石原良浩さんは「水族館生まれのラッコはいわば温室育ち。子孫を残すという点では野生に比べて積極性に欠け『草食化』が進んでおり、繁殖も年々難しくなってきている」と話している。
▼ラッコ アリューシャン列島やアラスカなどの北太平洋に生息する。飼育下での寿命は雄で20年程度。かつては毛皮目的の乱獲で絶滅寸前まで減少した。国際自然保護連合は2000年、絶滅危惧種に指定した。〔共同〕