1-7-4. 鈴虫でもわかる貸借対照表の見方 / A列車で行こう3D攻略情報
ご注意……このページで説明しているのは、ゲーム「A列車で行こう3D」における貸借対照表の見方です。一般の会計事務における貸借対照表についての説明ではございません。
貸借対照表は、会社の全ての資産と、その元手を示すものです。一般に、会社の資産を左側に、元手となった負債と純資産を右側に書きます。左右の合計が必ず同じになるので、「バランスシート」とも呼ばれ、しばしば"B/S"と略されます。
この見方がわからないと、少々不都合なことになります。ここでは、この貸借対照表の見方を、できるだけ簡単に説明してみようと思います。
忙しい人のための貸借対照表の見方
お急ぎの方は、右側だけ見てください。
右側の構成要素は、主に負債・資本金・剰余金です。
負債は、借金と未払いの税金、その他ちょこちょこ。債務が資産総額より多い状態は「債務超過」と呼ばれ、倒産寸前と言えます。
まず借金ですが、ここには元本のみが表示されます。利子は「銀行」で見てください。
次に税金です。ここは4月~5月以外はほとんどゼロだと思います。ここに表示される税金は、6月1日に持っていかれるため、それが終わると未払いでなくなり、ここには計上されなくなるからです。4月~5月は、ここを見れば6月1日にいくら税金を払えばいいかがわかります。
資本金の話に移ります。資本金は、会社を設立したときに出資者に発行した株式の対価として会社に払い込まれた金額です。つまり最初に出資された額です。最低でもこの額相当の資産を持っていないとマズイです(資本維持の原則)。
最後に剰余金。これは、「資産総額(左側の総額) - 負債 - 資本金」の額です。ここがプラスなら、元手以上の資産を持っているということなので、利益があがっているという評価になりますが、マイナス(この場合「欠損金」と言います)だと元手以下の資産しかないということなので結構マズイです(ゲーム開始直後は仕方ありませんが)。
貸借対照表のポイントはここです。剰余金が増えていれば、取り敢えずバッチグーってなモンです。
以上のことがわかれば、ゲームプレイに支障は出ません。お急ぎの方はここでお帰りいただいても結構です。
資産の部の見方
ここからは左側の見方です。先述の通り、左側には会社の資産がすべて書かれます。
では上からいきましょう。まず流動資産。これは、比較的短い期間でやったりとったりする資産です。典型例は現金です。自社の土地に置いてある資源も、ここに記載されます。
次に、固定資産です。流動資産の逆で、事業のために長く持っているものです。典型例は土地や建物です。鉄道会社なので、車両も大きなウエイトを占めます。
前のページで説明しましたが、このゲームには減価償却の仕組みが搭載されています。だから、建物などは劣化の分を毎年費用に計上します。その分はこの固定資産の項目から差し引きます。したがって、劣化する固定資産については、償却(=費用計上)が済んでいない部分の金額だけがこの項目に計上されているというワケです。
残るは繰延資産。これは前のページでチラッと触れましたが、車両開発や新幹線などの大きなプロジェクトの経費を数年かけて償却している残りです。これは既に支出されたもので、現に持っている資産ではありません。
注意点その1
左側は、必ずしも現に持っている資産の総額とは一致しません。
これは繰延資産のせいです。前述のように繰延資産には実際には既に使ったはずのお金を計上します。ということは、この時点ですでに持っている資産以上の額が左側に書いてあるということになります。
また、持っている資産をすべて売却して現金にしたとしても、売却額によっては損が出ます。したがって、左側の総額と同額の現金を用意できるとは限りません。繰延資産に加えてこのようなことがあるので、「左側の総額=現金で用意できる金額」ではないことに留意してください。
注意点その2
負債についてです。
負債は流動負債と固定負債に大別されます。流動負債はわりとすぐに払わなければならない負債で、固定負債は長期的な負債です。
銀行からの借入金は、固定負債に計上されます。本来ならば、返済期限が1年を切ると流動負債に移ります。しかし、このゲームでは移りません。
流動負債に行ってないからといってまだまだ返済までに時間があると勘違いしないようにご注意ください。返済期限は「銀行」で確認!
結構リアルなんです
損益計算書と同様、貸借対照表もリアルです。やはり会社法の教科書にふつうに書いてあります。
繰り返すようですが、ホントいい勉強になります。経理を学びたい方には真剣にオススメできます、ホント。
リアルさはわかりやすさとトレードオフですから、少々煩雑です。初心者の方は理解に時間がかかるかもしれませんが、やっているうちにわかるかと思うので、ここらへんでわからないことがあっても放っておいて大丈夫かな、と。
わかりやすく、と言っておきながらちょっとわかりづらい説明になってしまいましたが、計算書類の説明は以上です。実際に書いてみてこんなに説明がムズいとは思わなんだ……
次のページは、証券の話です。今回ほど難しくはないと思います。