A3Dのココにあっぱれ&喝!
ボクは、A列車で行こう3Dの前作にあたるA列車で行こうDSをプレイした経験があります。買って数日はハマりにハマって一日中やってた思い出があります(いや今作も初日はずっとやってたけど)。
で、前作を知っているボクは、今作をプレイして、ゲームの前作からの長足の進化にたいへん感動させられました。
一方で、当然ながら完璧なゲームなんて存在しないワケで、少ないながら不満点もあります。
というわけで、今回はそういった点について、某張本さん気取りでコメントしてみたいと思います。
あっぱれな点①……ダイヤが組みやすい!
まずチュートリアルマップをやって感じたのは、前作に比べてダイヤが大幅に組みやすくなっているということ。
前作は時間の進みが早く、隣駅まで1~2時間の世界。それゆえ、列車の本数を増やしづらく、また駅から列車が出ていくまで時間がかかるため、ダイヤが組みづらくなっています。また、駅ではひとつの駅ごとにひとつの設定しかできませんから、上りと下りで退避駅が違う時なんかはとても苦労しました。
今作では、時間軸は現実に少し近づきました。短い路線なら全線で2時間以内で済むので、2本の列車を交互に往復させるだけでもそれなりの本数を稼げます。さらに駅のダイヤ設定では、偶数ホームと奇数ホームでダイヤ設定を変えることができます。だいぶ楽になりました。
ただ、これだと2面3線の駅の扱いに若干苦労します。まあ簡単なダイヤなら小手先でなんとかしますけれども。
あまり見た目が過密なダイヤを組むのは好きではないのですが、2時間に1本のダイヤを組むだけでも十分な本数を確保できるので、町を発展させるのが結構楽です。
それに関連して、前作ではほどんどトラックで輸送し、資材を隣町に大量に売るときだけ貨物列車を使うというスタイルでやっていましたが、今作では貨物列車を主体に使っています。
プレイを開始した当初は、トラックの使い勝手が前作より落ちたことに若干いらついていました。トラックはトラック駐車場でしか荷役ができず、場所をとらないバス停留場などでは不可。しかもマップが広くなったので、トラックだとちょっと長距離輸送がキツイです。さらに今作では運ぶ貨物が6種類もあるので、トラックに頼ると数が尋常じゃなくなります。
しかし、鉄道のダイヤ設定が楽になったので、貨物列車が使いやすくなりました。さらに貨車を6両まで引けるようになったので、輸送力も大幅アップ。
この点で、「大量なら貨物列車、少量ならトラック」という使い分けが一番ラクという調整になったので、より本質に近づいたといえるでしょう。
あっぱれな点②……正直者がバカを見ない!
だんだんゲームを進めていくと、前作の攻略がそのまま当てはまらないことがわかってきました。
まず、隣町への資材売りつけが万能ではなくなっています。隣町の資源価格は変動するので、売れば得とは限りません。
また、前作で横行した、ふたつの駅を隣り合わせに置いて列車をピストンさせまくる方法も、2駅を往復するだけの列車にあまり客が乗らないという仕様のために使えなくなっていました(そもそもこの方法ボクは使ったことないですけど)。
加えて、マンションなどを建てまくって売りさばく方法も、多少なら効きますが、大規模にやると、需要が減って売価が下がる上に、社員状況が著しく悪化します。
当たり前ですが今作では「資金増殖バグ」もありません。自由にやりたかったらマプコンでやれって話ですね。
しかしながら、一方で先述の通り鉄道のダイヤが組みやすく利益も上げやすいうえ、6種類の資源を活用すれば隣町に頼らず利益を上げることができるなど、正攻法で利益が上がりやすい設計になっています。
「正直者がバカを見る」という言葉がありますが、今作はむしろバカ正直に正攻法で開発した方が儲かるようになっています。完成度の高さが伺えますね。
この変化を受けて、ボクもバス・トラック・資材売りつけ・デパートばかりに頼る戦法を改め、鉄道を中心に各種子会社や資源などをミックスした王道の都市開発・会社経営にシフトしました。
あっぱれな点③……戦略性が求められる!
ボクは、思考するゲームプレイヤーです。単純な操作のスクロール形アクションやソシャゲでも、実力勝負の格闘ゲームでもなく、頭を使ってプレイするゲームを好みます。あるいは、様々な遊び方ができるゲームを、頭を使ってプレイします。
今作では、難易度を普通に上げた途端、結構高いレベルの戦略性が要求されます。
難易度やさしいと普通以上では何が違うか。最大の違いは、「社員状況」の概念だと思います。
今作では、社員が激務に追われていたり、逆に暇していたりすると社員のモチベーションが下がります。またリストラの一種といえる子会社の売却などによっても社員状況は悪化します。
社員状況の最大の要因と言える業務負荷は、最初の1年はたいてい高くなります。鉄道などの事業を大きく発展させるので、とにかく社員が足りなくなり、仕事がハードワークになっていきます。
そのため、初年度は常に人員増強(事業プラン)をし続けることになります。常に業務負荷100%をキープする必要はありませんしそんなの初年度はムリですが、150%くらいで耐えておかないとどんどん社員状況が悪化して首が回らなくなりますし、2年目の新入社員でも補いきれなくなります。
さらに、それをやりつつ様々な施策を矢継ぎ早に行うために、プランの枠を早めに増やす必要もあります。しかしそれには事業部の人数を確保する必要があり、マップによっては初期の社員が少ないために少し社員を増やしてからでないと事業部拡大ができません。
このように、難易度普通以上だと、社員状況との戦いを強いられます。
他にも、難易度は関係ありませんが、湖水に映る街などでは十分な計画を立てることが求められます。どこに鉄道を伸ばすか、子会社はどこまで投資するか、どのプランを優先するか、などなど……。
やみくもに鉄道を伸ばしたりマンションを建て売りしまくるだけでは、一部のマップは到底クリアできません。
思考するプレイヤーとしては、こうしたゲームほど楽しいものはありません。
結構頭を使うのでそれだけで大満足ですし、慣れてしまえば(もしくは理論を確立させてしまえば)スイスイプレイできます。頭脳でねじ伏せさえすれば、あとは素直にプレイするだけでよいのです。
当然ながらA列車で行こうはもともとそういうゲームですが、今作は特にそういった面が際立つ、完成度の高い箱庭ゲームなんです。
あっぱれな点④……リアルな経理の書類!
攻略のページでも触れていますが、今作では貸借対照表と損益計算書がリアルです。
この記事を書いた時点ではボクは経理の勉強はしていませんが、前に会社法の教科書で一応これらの書類についてはちょこっと勉強しています。それと照らし合わせても、かなりリアルです。
とくに減価償却や繰延資産の概念を導入したのはスゴい。単純に携帯ゲームでそこまでやるのがすごいですし、お陰で固定資産処分損や事業プラン費用を1年にまとめなくて済むので、黒字が出しやすい。まあかえって節税はやりづらいですが、そこは増収戦略でカバーできます。
とある大学の先生が、「経理はA列車で学んだ」って言ってましたが、今作こそ最も経理の勉強になっちゃうゲームでしょうね。
喝!な点①……路面電車が坂を登れない!
ではここからは不満点を。ただしバグの話はここではしません。
まず、路面電車について。使い勝手がすこぶる悪く、オマケ感すらある路面電車ですが、特に困るのが平地しか走れないこと。
このせいで、たとえば広島がモデルと考えられる「いくつもの河を越えて」で路面電車を中心に据えたプレイができません。オマケだからといわれれば何も言えませんが、とにかく使える場面が大きく限られてしまいます。
また、ゲーム購入前に「函館市電を再現したら面白いだろうなあ」と思っていましたが、これもちょっと厳しくなりました。そもそも停留場が島式ホームなので札幌・函館の両市電と違っちゃうという。
「しょせん路面電車なんてそんなもんさ」って話なのかもしれませんが、せっかく実装するならもう少し使えてもいいのになあ、と思うんです。
喝!な点②……211系の顔がない!
今作はA列車で行こうDSと同様、実在の車両が再現できません。その代わり、オリジナルの車両を作成することができます。
今作では車両性能を自在に決められないのが多少困りますが、そんなことより1985年以降はJR東日本の通勤列車っぽい顔の車両とJR九州885系っぽいヤツしか出ません。
表現の幅を考えると、211系や719系のような顔の車両を作ることができると非常に助かるのですが、それがないので、私鉄の無料特急みたいなのを走らせるときも、平べったい顔の車両を使うか、一昔前のデザインが野暮ったい近郊型を使わなければなりません。
まあそれはボクがJR北海道や京急が好きだから平面顔の優等列車がしっくり来ないだけともいえます。私鉄優等列車っぽい車両を作れないというボクの文句は、「東武50000系って知ってるかい」って言えば鎮めることができますからね。
喝!な点③……客車の色が変えられない!
列車関連でもうひとつ。客車の色がデフォルトの茶色主体のものから変えられません。
ボクは発売前に公開されていたスクリーンショットで、緑色の列車の画像を見て、それが客車だと思い(なんとなくトワイライトエクスプレスのカラーリングのように見えたんです、ボクには。実際は初期型旅客列車だったワケですが)、客車も色を変えられるものだと思っていました。
しかし現実は甘くはありません。客車の色は固定で、ブルートレインやレッドトレインは作成できません。
まあ客車も言ってしまえば「オマケ」でしょうから、あまりこういうところに文句を言っても仕方ないかもしれませんけれどね。通勤列車を走らせるゲームなんですから。
喝!な点④……マプコンの操作が「もう一歩」!
最後はマプコンモードについて。今作は3マップクリアすればすぐ遊べるようになるので大変嬉しいのですが、マップ作成時の操作についてちょっとだけ不満点を。
住宅を敷き詰める際、「ランダム」を選択すると、普通の住宅にアパート、それに農家や漁家までもが含まれます。これが厄介。
たとえば市街地を作るときに、ランダムで住宅を敷いていくと、農家や漁家が混ざってしまいます。特に農家の一部は茅葺きなので、都市部にあると違和感がすごくなってしまいます。そのため、農家や漁家が出てしまったら、そのマスはもう一回タッチして他の住宅に変えなければなりません。
これは正直面倒なので、「農家・漁家を除く戸建の住宅」だけからランダムで、というのがあると楽になります。ここは改善点だと思います。
良いと思った点も多いですが、細かいながら不満な点がある、というのをお話してまいりました。でも不満点はそんなにないし、あっても細かいものばかりなので、やっぱり全体の完成度はかなり良いと思います。ホントいいゲームに巡り合ったもんです。
まあそんなワケで、とりあえず今回はこのへんで。また何か気づいたら、ここに付け足すか、別にページ作ります。