あの涙の真相とは…。侍ジャパンが金メダルを獲得した決勝戦直後、Twitter上では「和田さん」が急浮上でトレンド入りした。NHKのテレビ中継に出演していた日刊スポーツ評論家の和田一浩氏(49)、宮本慎也氏(50)と、小島信行記者による忖度(そんたく)なしのクロストークです。
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小島記者 五輪での侍ジャパンの取材、お疲れさまでした。おふたりとも日本の試合はすべて現場まで行ってましたよね。見事な金メダルで本当に良かったです。
宮本 でも今回の企画は試合内容じゃないんでしょ?(ニヤニヤ)
小島 そうなんです。優勝した後、なぜ和田さんが泣いたかについて検証する企画です。
和田 それはやめてください。生まれてからうれし泣きは一度もしたことがなかったんですよ。一生の不覚です(笑い)。
小島 金メダル確定したあと、NHKの放送でコメントを求められ、ウルウルしていましたね。
和田 金メダルを取ったのもあるんですが、アテネで負けた時のこととか、いろいろと思い出しちゃったんですよ。
宮本 試合が終わってしばらくして「ベンちゃん(和田の愛称)が泣いたぞ」って聞いた。だから急いで一緒にいた新井ちゃん(新井貴浩氏)と動画を探した。そしたら本当に泣いてた(笑い)。
和田 やっちゃいましたね。でも中継で先輩(宮本)が解説してたじゃないですか。声とか聞いてたから思い出しちゃったんですよ。宮本さんが悪いんですよ(笑い)。
宮本 五輪は全試合、解説してたんだけど、ベンちゃんは「何を遠慮してんですか」とか言って、けしかけてた。それだけに仕返しするチャンスが訪れたって、うれしくなったんだよ(笑い)。
小島 確かに大会のレベルには疑問符がつきました。ランナーが出てもクイックしないピッチャーがゴロゴロいたのに、侍ジャパンも送りバントしてましたからね。
宮本 ちゃんと盗塁を狙った方がいいと話しましたよ。
和田 でもいつもと違う言い方。いつもの解説を聞き慣れている人からすれば、言ってないのと同じに感じちゃうんですよ。
小島 それはありますね。では「和田さんの涙」に話を戻しましょう。泣いたあとはどう思いました?
和田 ハハハ、さっき言ったように「やっちゃったな」です。球界ってとこは泣いたりすると“笑いもの”にされるじゃないですか。
宮本 そうそう。このネタでしばらくは食えるって思ったもん(笑い)。
和田 あのあと、まだ野球の仕事してないんですよ。電話とかLINEで話したりはするんですが、みんな気を使っているのが分かるんですよねぇ。それが恥ずかしくて…。すぐにからかってきたのは先輩ぐらいですけどね(笑い)。
小島 でもピュアな和田さんらしいエピソードですよ。ウエートリフティングを見てた時、選手と一緒になって体をよじりながら力んで見てましたよね。
和田 つい力が入っちゃうんですよねぇ。だから五輪を見ると疲れてしまうんです。
宮本 ベンちゃんらしいなぁ。でもそういう姿を見ると、心が洗われるよ。笑いも提供してくれたし。素晴らしい男だな。
◆アテネ五輪VTR 初のオールプロで臨んだが、準決勝でオーストラリアに0-1で敗れ、銅メダルに終わった。長嶋茂雄監督が大会直前に脳梗塞で倒れ、中畑清ヘッドコーチが指揮。キャプテン宮本(当時ヤクルト)は全9試合に2番で出場し、36打数18安打の打率5割。和田(当時西武)は主に8番としてキューバ戦で本塁打を放つなど、打率3割3分3厘、2本塁打をマークした。3位決定戦はカナダに勝利した。