政府も医師会も「何もやっていなかった」ことを反省するべき~新型コロナ「2類」見直しの前に
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年8月10日 11時30分
報道陣に公開された、新型コロナウイルス感染症患者を救急搬送する際、受け入れ病院が決まるまで一時的に待機してもらうための「入院患者待機ステーション」。ベッド脇には酸素吸入装置が置かれている =22日午前11時21分、大阪市内の医療機関敷地内 (代表撮影)
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月10日放送)にジャーナリストの末延吉正が出演。厚生労働省が新型コロナウイルスに関して、感染症法上の運用の見直しに着手したというニュースについて解説した。
大阪府が新型コロナ入院患者待機ステーション設置 ベッドと酸素吸入装置=2021年4月22日午前11時21分、大阪市内の医療機関敷地内 (代表撮影) 写真提供:産経新聞社
新型コロナ厳格措置見直しへ、厚生労働省が着手
新型コロナウイルスの感染者の入院勧告や就業制限などに関して、結核やSARS以上の厳格な措置をとる感染症法上の運用について、厚生労働省が見直しに着手したことがわかったと、8月10日朝に産経新聞が報じている。
飯田)医療関係者などから、感染症指定医療機関などでの対応が必要となるいまの扱いは、病床のひっ迫を招く一因だという指摘が出ていました。「指定感染症2類相当」というところの見直しが争点となっているようです。
2類見直しの前に、政府も医師会も厚労省も「何もやっていなかった」ことを反省するべき
末延)これは前からあった議論です。厳し過ぎるから、そのために病床が足りないのだということです。ただ、菅総理が「中等症も自宅で」と言った。新型コロナが感染拡大し始めてからもう1年半です。国民は病床確保のため、医療崩壊しないように外でのお酒も我慢してステイホームしているのです。政府も東京都も何をやっていたのかと思ったら、何もやっていなかったわけです。
飯田)何もやっていなかった。
末延)状況を見ながら、2類相当の見直しを議論するというのはいいのです。反省しなくてはいけないのは、世界に冠たる医療制度と言いながら、実は全然動いていなかったということです。その象徴が私は日本医師会、東京都医師会だと思います。政治家のように会長さんが出て来て言うけれど、コロナで頑張っていたのは公立病院の最先端の現場の医療従事者です。開業医の人でも頑張っている人はいるけれども、全体の行為として政府ときちんと話をしていたのか、厚労省はそこを詰めていたのか。民間病院がワクチンを打つというときも、打ち手が足りないとなったときに、歯科医師さんや獣医師さんに頼むと言うと抵抗があった。そこで診療報酬を上げるという話になったでしょう。
飯田)なりましたね。
末延)それを見て、医療従事者と言うけれど、「医療ビジネス」という従事者なのではないかと、私は不信感を持ちました。私などはどこかでお医者さんの倫理観や社会に対する正義感を信じている方です。でも見ていると、少し違うのかなと思いました。
飯田)医療ビジネスという従事者。
末延)2類の見直しの議論は必要ですが、同時に日本の病床がこれだけひっ迫して、「自宅を病院にしてください」などと小池都知事が言っていたけれども、何を言っているのだという話です。かかりつけ医などいろいろと言っているけれど、自宅にいてケアができる人は多くいませんよ。
飯田)家族でというのは難しいですよね。
末延)その辺を考えると、2類を外してしまえば医療体制は楽になるけれども、同時にいまのままの医療体制でいいのかと。病院の数はたくさんありますが、感染症に関しては何1つやっていなかった。そのことがこの1年半、何も進んでいない。そこは政府も医師会も厚労省も、関係者は謙虚に詫びて欲しいと思いますし、足元からきちんと積み上げてもらいたいと思います。
感染症に関しては何もできていない
飯田)大元のところを辿って行くと、かつて結核や感染症が猖獗(しょうけつ)を極めた時代は、感染したときは大量にベッド数が必要になるけれど、平時はベッドがそれほど必要ないから、公的な病院でやるという棲み分けがあったように聞きました。結局、そこも経費節減などの流れのなかで、かなり削減されて来たという歴史もあるようですね。
末延)小泉政権以降、いろいろなものを切って行ったなかで、有名なのはいま手が足りないと言われている保健所です。保健所を減らして行ったのです。民主党のときも含めて、いろいろなシステムをつくると閣議決定しながら、政治は何も変えていなかったのです。感染症に関しては、はっきり言って何もできていない。
「2類から外せばいい」という議論だけではなく、セットで議論すべき
末延)新型コロナは国の有事、危機です。このウイルスはミサイルが来たのと同じなのです。安全保障会議を開いて、政府が国民の命を守るために、全体で組織的に対応しなくてはいけない。しかし大臣が出て来ると、みんな違うことを言ったり、総理大臣の言葉もまったく届かないではないですか。「安全安心」の根拠を聞くと、「安全安心」と答えるという。壊れたテープレコーダーではないのだから、その辺で国民も気が付いてしまった。感染症で自分の命がいちばん大事なときに。
飯田)そうですね。
末延)野党側もその批判がオリンピック批判に行くのですよ。そもそもオリンピックと感染症は別なのです。2020年からオリンピックを含めて、ワクチンをまずやらなくてはいけないというときに、「Go to キャンペーン」をやっていたのです。判断が全部違っている。そういう部分の反省を抜きに、ただ「2類から外せばいい」という議論だけをやっても、何も改善されないまま終わるので、セットで話して行かなくてはいけない。
飯田)セットで。
末延)メディアもかつてワクチンの副反応のことばかりやり過ぎたために、感染症法で予防接種が任意になった。そういうこともあるので、確かに副反応は問題なのだけれども、もっとトータルに、冷静で科学的な議論をやらなければいけません。
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