韓国で大人気 「国産」の高級ぶどう

日本でも人気の高級ぶどう「シャインマスカット」。
平均糖度19度の甘さが特徴で、日本の研究機関が30年かけて開発した、まさに“日本が誇る”品種だが、実は今、このシャインマスカットが韓国でも大人気なのだという。

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ソウル市内のスーパーマーケットでは、果物コーナーの目立つ場所に山積みにされるなど、その人気が見て取れるシャインマスカット。
そのおいしさが「海を越えた」と思いきや…箱に書かれていたのは、「国産」の文字。

実は、このシャインマスカットは全て韓国産、日本に無断で栽培されたものなのだという。

“無断栽培”はなぜ合法?

“無断栽培”のシャインマスカットが堂々と店に並べられている、ぶどうが特産品の韓国中部・金泉(キムチョン)市。
しかし、無断栽培を行っている農家を直撃すると「シャインマスカットを栽培すると値段がいいんですよ。盗んだとかではないでしょう、それは無いと思う。外国から違法で何かを持ってくることはできない」と、作っているぶどうが無断栽培にあたるとは知らない様子を見せた。

金泉市のキム・ジェギョン農畜産課長は「日本で(シャインマスカットが)開発された当時、品種登録を韓国でしなかったのが、日本の残念なところかもしれない」とコメント。韓国でシャインマスカットを栽培することは違法ではないという。
そのため、金泉市では「シャインマスカット栽培技術マニュアル」を制作し、シャインマスカットの栽培をバックアップしているのだ。

なぜ、韓国で日本の品種であるシャインマスカットを栽培しても違法ではないのだろうか。

実は、シャインマスカットを開発した日本の農研機構は、2006年に日本で品種登録を実施。
その際、輸出を想定していなかったため、海外での品種登録を行わなかったのだという。

海外での果物の品種登録は国内での登録から6年以内に行うことが国際条約で定められている。
そのため、すでに申請期限を過ぎてしまった今、開発コストを全く負担していないにも関わらず、韓国ではシャインマスカットが“作り放題”となってしまっているのだ。

相次ぐ「日本ブランド」の流出…日本の農家を守れるか?

日本の“ブランドフルーツ”の海外流出はこれだけではない。
平昌オリンピック・カーリング女子の「もぐもぐタイム」で注目されたイチゴも、韓国が日本の品種を掛け合わせて作ったもので、韓国がこのイチゴを海外輸出しているため、日本はおよそ220億円もの輸出機会を失ったとみられているのだ。

金泉市が今年100トンほどの輸出を見込んでいるシャインマスカットも、その価格は日本の3分の1ほどだという。

この現状に、農家には危機感が広がっている。

山梨・甲州市のぶどう農家は「シャインマスカットの人気というのは、ぶどうの生産農家にとっては非常にありがたくて、救世主のような品種。それを(海外に)無断使用されて、逆に国内の農業がつぶれるようなことはあってはならない」と語った。

農水省は、海外で品種登録を行う際の経費の支援などを通じて品種の流出を防ぐとしているが、果たして、「日本ブランド」を守ることはできるのだろうか。

(「プライムニュース イブニング」11月9日放送分より)