アイテム番号: SCP-2670-JP
オブジェクトクラス: Euclid Thaumiel
特別収容プロトコル: SCP-2670-JPはサイト-81██の低度機密実験室No.4にて、オゾン発生装置を入れた水槽に収容されます。
Code:Nyx発令後現在、SCP-2670-JPは研究サイト-81██の第2実験棟F-202にオゾン発生装置を入れた水槽の中に収容されます。また、同サイトの第1実験棟A-503にある対アノマリー収容技術開発部(以下、A-ActDDと呼称)本部に非活性化SCP-2670-JPのサンプルが保管されます。現在不測の事態に備え、非活性状態のSCP-2670-JPを再度活性化させる方法が模索されています。
展開されているSCP-2670-JP-1の防護壁(以下、SCP-2670-JP-2と呼称)は5日ごとに観測されます。SCP-2670-JP-2の欠落が確認された場合、SCP-2670-JP-1が封入されたBF-3-62型カプセルを欠落部分に打ち上げ、欠落部分を補完してください。
説明: SCP-2670-JPは菌糸からオゾン(Ozone)1を未知の変換機構により栄養素へ変換する元Anomalousアイテムに指定されていた菌類です。
SCP-2670-JPは大気中では大気エアロゾルに付着することにより、空中での生存、及び増殖を可能にしています。SCP-2670-JPの増殖は上限は存在しない為、特定条件下ではNK-クラス:"グレイ・グー"シナリオの発生の可能性が存在します。これによりSCP-2670-JPはEuclidクラスに再分類された上で、アイテム番号が割り振られました。また、SCP-2670-JPは実験の結果により、食用には向かない事が判明しています。
SCP-2670-JP-1はSCP-2670-JPの黒化個体です。SCP-2670-JP-1はSCP-2670-JP自体の保有する異常性に加え黒体(black body)2に酷似する性質を併せ持ちます。SCP-2670-JP-1に対する加負荷実験では約2000Kの高温、約150Kの低温、約2GPaの高圧下でも問題なく生存可能である事が判明しています。また、SCP-2670-JP-1は増殖する際に、必ず増殖した個体もSCP-2670-JP-1となる性質を有していることが判明しています。
補遺: 20█0年7月29日、財団が所有している太陽観測衛星"ダイダロス"から送られたデータより、太陽光線における紫外線と赤外線の数値の異常な上昇が確認されました。また、地上では紫外線の影響が大きくなり、生物のDNAを損傷させ、奇形生物が多く確認され、人間にも影響が出ています。また、赤外線の異常により、通信機器に支障をきたしています。この異常は夜間にも見られることから、月光も同様の影響を保持していると見られています。
この事態をO5評議会はR-H-クラス:"太陽光線異常"シナリオとして定義し、事態の収束に向け、Code:Nyxの発令を決定しました。
R-H-クラス:"太陽光線異常"シナリオへの早急な対処が求められ、財団は即効性、耐久性のあるSCP-2670-JP-1の性質に着目し、SCP-2670-JP-1を用いた防護壁をオゾン層に形成することをO5評議会の総意によって決定しました。
以下がA-ActDDによって作成されたBF-3-62型カプセルの詳細です。
ブラックカプセル:type3-試作品62号
設計時仮称: ブラックカプセル
説明: BF-3-62型カプセルは、対アノマリー収容技術開発部(A-ActDD)により製造されたカプセルです。
装置本体の大きさは直径約90cm、高さ約230cmであり、内部にはSCP-2670-JP-1を封入する空間があり、その部分に小型のオゾン発生装置が取り付けられています。オゾン発生装置にはリチウムイオン電池が使用され、目標高度到達までのSCP-2670-JP-1の生存を確立します。カプセル内部の感知装置により、設定された高度にまで達した際にSCP-2670-JP-1の封入部の密閉が解錠され、SCP-2670-JP-1の散布が開始される様に設計されています。現在、サイト-81██の第1実験棟高度機密実験室No.1はBF-3-62型カプセルを製造するプラントに改装されています。
以下は、BF-3-62型カプセルの製造に伴い採択されたCode:Nyxの詳細な内容です。
Code:Nyx
内容: SCP-2670-JP-1の黒体に類似する性質、及び高濃度のオゾンが存在する環境下において急速に増殖する性質を利用し、オゾン層に散布、空中で膜を形成し太陽光及び月光への防護壁を構築することにより防護壁下の地上の安全を確保。
計画: 英国標準時間20█0/08/06 12:00より決行。BF-3-62型カプセルを全世界423箇所から同時に原始的な推進力装置を積んだミサイルへ組み込み発射、目標高度にまで達した際に自動的に解錠されSCP-2670-JP-1の散布が開始される。カプセル及びミサイルは大気圏を突破することが予想されている。また、該当するミサイルへは現在財団の取れる対紫外線・赤外線加工が最大限組み込まれる。
全BF-3-62型カプセルの内、アメリカ大陸近くのミサイル34機が太陽光によって、オーストラリア大陸付近のミサイル11機が月光によってロスト、21機が機能不全を起こし装置が正常に作動しませんでした。他カプセルは高度約20km地点まで打ち上げられ、解錠されました。当初の計画通りSCP-2670-JP-1はオゾン層全体に急速に拡散し、SCP-2670-JP-2を形成しました。このことにより、太陽光線が一切地上に届かなくなったため、R-H-クラス:"太陽光線異常"シナリオの地球上における事態は収束しました。また、カプセル及びミサイルは大気圏を突破したと考えられています。
SCP-2670-JP-2の展開完了をもって、O5評議会は正常性のヴェール崩壊を宣言、LK-クラス:"捲くられたヴェール"シナリオを提言、正常性のヴェールは拭われました。
追記:
我々は他の人類が光の中で暮らす間、闇の中に立ち、人類が健全で正常な世界で生きていけるように奮闘してきた。しかし、太陽の異常により、もはや人類は太陽の光の下で暮らす事が出来ない状況へ陥った。そして、その異常は瞬く間に広がり隠す事の出来ない領域にまで至ってしまった。
Code:Nyxによって、これからの人類の歴史に、永遠に明けることのない、夜の帳が下ろされた。
だが、それでも我々は戦わなければならない、人類が闇の中だとしても健全で正常である世界の光を忘れずに生きられるように、我々は深淵の中に立ち、それと戦い、封じ込め、それらを今まで我々がやってきた様に人々から遠ざけなければならない。
確保、収容、保護。それの大元は人類への“奉仕”にあるのだ。 "管理者"